勿忘草 ( わすれなぐさ )

「一生感動一生青春」相田みつをさんのことばを生きる証として・・・

水辺の仙人

2008-02-12 23:19:43 | Weblog
 古代中国では、水辺に咲く気品のある花を“水辺の仙人”にたとえたという。

 春まだき寒風が運ぶ甘い香りに、思わずあたりを見まわすと、おのれの美しさに酔うが如く、水仙が白く誇らしげに咲いていた。


 雪中花とも呼ばれる水仙は、水面に映る我が身に恋した少年の化身であり、ナルシストの語源にもなったことはあまりにも有名である。

 房総半島、淡路島に並ぶ水仙の三大群生地のひとつ越前海岸は、その規模では日本一だという。


 水仙は福井県の県花でもあり、越前海岸の“水仙伝説”によると、海で溺れていた娘を助けた若者とその娘は愛し合う。しかし木曽義仲の軍に従った兄と、この美しい娘をめぐって争うことになり、それを嘆いた娘は越前海岸から身を投げてしまう。後に海岸には清らかな水仙の花が咲き乱れたのだった。(山と渓谷社「野草の名前」から)

 春を待つ花、水仙の甘い香りには、こんな悲話が隠されていたのでした。