「広島、長崎のデータなどから、100ミリシーベルト以下では人体への悪影響がないことは分かっている」 という記事をよく見る。
テレビに出る専門家も 「100ミリシーベルト以下の被曝は問題ない」 と言う人が多い。
これは、「100ミリシーベルト以下の被曝では激烈な急性症状は出ない」という意味であり、「人体への悪影響がない」、「問題ない」ということではない。
100ミリシーベルト以下は安全だとする説は、ここ数年でほぼ誤りだとされるようになっている。
広島、長崎で被爆した人の追跡調査では50ミリシーベルト以下の低線量被曝でも発がんによる死亡増加を示唆する研究結果が出た。
世界15カ国で40万人の原子力施設作業員を調査したところ、被曝量が50ミリシーベルト以下でも発がん率は上昇していた。
被ばく量が1シーベルト上がるごとに、がんによる相対過剰死亡数が率にして0.97(97 %)増える計算だ。
放射線はわずかな線量でも、確率的に健康に影響を与える可能性があり、今後日本人は低線量被曝の格好の実験モデルとして医学的に追跡される。
また人間は放射線被曝だけで発がんするわけではない。
「発がんバケツ」という考え方がある。
それぞれの人が容量に個人差のある発がんバケツを持っていて、放射線だけでなく、タバコや農薬など、いろんな発がんの原因がバケツにだんだんとたまっていき、いっぱいになってあふれると発がんに至ると考える。
バケツの大きさ、たまっている量が違えば、今回の被曝量が同じでも、発がんする、しないに違いが出る。
バケツの容量の小さい人、既に溢れそうになっている人にとっては100ミリシーベルト以下、以上という基準は意味がない。
日本人なら日に米を2度か3度は食べるだろう。
米が汚染していればバケツはすぐに一杯になる。
500ベクレル/kgという基準は受け入れられるものではない。
現在TPPに参加するかどうかが議論になっている。
日本が参加してアメリカと米の自由貿易協定を結べば、アメリカ米が10kg1000円で売られることになるという。
全粒検査をしない福島県産米が市場に出るなら、「外国産米は安全性に不安があるからTPP反対」という主張は根拠を失う。
国民は、「500ベクレル以下は安全」とうそぶき、産地が偽装されている国産米よりは、アメリカ米を選ぶだろう。
価格は1000円でも10000円でも関係ない。
子どもが日に3度、365日食べる物は、安全を信じられるものでなくてはならない。
福島県二本松市では、新米対象の放射性物質予備検査で500ベクレル/kgの放射性セシウムが検出された。
その後本検査で規制値を下回ったことで10月18日、ついに新米が初出荷された。
地区内には自家米のみで販売用は作らなかった農家もあった。
子供用には他県のコメを買っているという農家もある。
10月18日、イトーヨーカ堂はコメのプライベートブランド(PB)で、放射性物質の自主検査を始めたと発表した。
同社のコメの売り上げの約60%を占める「あたたかのお米」の平成23年産の新米が対象で、19日入荷分からは同PBのすべてが検査済みとなる態勢を整えた。
まず宮城県や新潟県などの産地にある玄米の保存倉庫で、玄米の入荷ごとに検査を実施。
その後、首都圏近郊にある精米工場で月1回のぺースで検査を行う。
同時に「ゲルマニウム半導体検出器」を持つ第三者機関に検査を依頼し、放射性物質を検出しなかったコメのみを販売する。
「あたたかのお米」の産地は秋田と宮城が多いという。
新米はとりあえずイトーヨーカ堂で買おう。
「新米が危ない」 了