The Rest Room of ISO Management
ISO休戦
自動車会社の大変
先週、トヨタの業績発表があった。先々週 ホンダと日産の業績発表が有り、これで日本のビッグ・スリーの業績が判明した。日産とホンダは損益で黒字化したのだが、トヨタは未だ赤字のようだ。それぞれの自動車販売台数の変化を 見ると 日産は販売台数を落としている。しかし、何とか瞬間 黒字化した。トヨタも回復しているかのようなグラフに なっているが これは次の四半期の予想数値。いわば “捕らぬタヌキの皮算用”で、本当にそうなるのか。

こう見ると トヨタは相当に大変だ。実は、先々週の週刊東洋経済2009・7/25特大号に“トヨタ土壇場”の特集が載っていた。設備稼働率が世界各地で軒並み半分程度。記事を読むとトヨタの設備投資が無謀だったかのような論調だが、そこに掲載されたデータによれば、トヨタだけではない。日本のビッグ・スリーは いずれも同様の状態なのだ。
じゃぁ、日産やホンダに比べて トヨタは何が悪いのか。生産規模が 日産やホンダの2倍なのが良くないのか。そんなことはあるまい。ところが、どこを読んでもトヨタが 日産やホンダと比べて悪化している原因は良く分からない。

それにしても、今年4月の 日経ビジネスの記事は何だったのだろう。トヨタの不調はチョットした 判断ミスだったが、今回の景気後退を奇貨として、人材の教育充実で希薄化しかけている社員の教育・訓練を充実させることができ、これで本来のトヨタに戻れるという、はなはだ暢気な論調だったように記憶している。この日経ビジネスの記事を読んで、半ば安心した次第であった。私の印象が間違っているのだろうか。私は あの時、一方では、この記事内容に不満も述べた。つまり、この記事では トヨタの北米法人の財務内容に十分に切り込んだ分析が出来ていないのではないかと。今にして思えば、日経ビジネスも まさにそこに メスを入れていれば、トヨタの現状を的確に指摘できたのではないか、と思うのだ。専門誌なのに、観察力、分析力が 意外に弱い。
事実、この週刊東洋経済では ホンダのLOL戦略を取上げ その中でホンダが販売金融から最も遠い存在だったと指摘している。要するに ホンダは安売りはせず、きちんと顧客は取り逃がさずに自社に乗り換えてもらう戦略だという。
だが、トヨタの拙かった本質は何だったのか不明だ。ホンダを支えたのは LOL戦略、二輪車や、真面目な車作りだったと言うが、じゃぁトヨタは不真面目だったのか。それに、日産は 目下売れない車種ばかりで、どう財務をやりくりしたのか、私には不明のままだ。
トヨタとホンダといえば ハイブリッド車が 有卦に入っている。この週刊東洋経済には プリウスとインサイトの比較が図解で掲載されていた。この図解が 気に入って この週刊誌を買ったのだった。
今一度 改めて これを見てみると、ふと インサイトのシンプルな動力システムに 始めて気が付いたのだ。どうも 本当はこちらの方が よりロバストなシステムではないのか、と思うようになった。世間の評価では プリウスの方が 能力的には 上であるかのような印象だが、本当にそうなのだろうか。複雑で 部品点数の多い プリウスの方が 今後 多くの問題を生むのではないかと思うようになった。老朽化段階での メカのメンテナンスで プリウスの方が不利になることはないのか。
インサイトの方が燃費は26km/lと32.6km/lのプリウスに劣るが、ガソリン・エンジンと電動モーターをプリウス並みに 大きくすれば 容易に解決できる問題かもしれない、と素人なりに思ったのだ。勿論、両メカの絶妙のバランスが必要なのだろうが。ちなみに、プリウスのエンジンとモーターは1797cc,60kWに対し、インサイトのそれは1339cc,10kWなのだ。この差に加えて、プリウスは 発電用モーターと動力伝達の方式を変更する遊星ギアなどの複雑なメカニズムを備えている。この差が、車体重量1,310kgと1,190kgの差となり 価格205万円と189万円の差になったものと思われる。外形寸法はプリウスの4460(全長)×1745(全幅)×1490(全高)に対し インサイトの4390(全長)×1695(全幅)×1425(全高)と ほとんど変わらないにもかかわらず、である。
いずれ、両者が どのように進化していくのか、期待されるが、何となく インサイトの方が スマート(抜け目なく賢明)な 印象に映るのだが どうなのだろうか。
その意味で マツダが プリウス方式の導入支援要請をトヨタに要請したのは 正解だったのだろうか。
或いは、ハイブリッドよりも 日産や三菱のように電気自動車に 早々に重点移行して 電池の開発を待つのが正解なのだろうか。様々な化学物質の組合せを探って 新しい電池の開発に期待するのが正解なのだろうか。今更、この分野での 驚異的な新展開は期待できないのではないか、開発の余地は無いのではないかと 私は思っている。自動車搭載のためには 何より軽量でなければ意味がないのだから、非常に難しい。安全性も確保しなければならない。リチウム電池のように発火する可能性が高いようであれば問題外なのだ。
そういう意味で 相当な自信があるという日産のLiBのお手並み拝見だ。当面 リチウム電池で問題になっているのは 価格らしく、日産はリースを考えているらしい。三菱もそれで悩んでいる、とのこと。だが、それは問題の本質ではなく、枝葉末節だ。そのようなことより 要求性能が出ていないのが問題の本質なのだ。
むしろ 従来型の化学反応に頼る二次電池より、物理的な蓄電方式の方が期待できるように思うが、その有力な方式は未だ見つかっていない。だからこそ、基礎的技術開発における発想の抜本的転換が必要ではないかと思うのだ。
いずれにせよ、強力な蓄電システムが 開発されない限り、ハイブリッド車こそ ガソリン車の後を引継ぐ 正統者であろうし、その時代は当分続くのではないかと思っている。どうやらゴーン社長自身もそう言っているらしい。
こういった開発見通しに基づいて、不確定要素を見込んで3~5個程度のシナリオを用意し、世界の自動車メーカーは開発戦略を構築するべきなのだろうが、各社どのように 考えているのだろうか。特に、日本のビッグ・スリー以外の自動車メーカー三菱や マツダはどのようにするのだろうか。彼らは 開発力に余裕は無いはずだからだ。
特に、エネルギー水素化のムードが遠のいてしまった現在、水素ロータリー・エンジンのマツダにとっては非常に不利な状況に見える。早々に 水素ステーションの全国展開は 期待できないし、まして世界中の展開となるとほとんど絶望的なのだ。そして、エネルギー供給の不自由な自動車は存在価値がない。
いや それより 目下の不況を 財務的にどのように乗り切るかが、各自動車会社にとっての大きな課題だろう。とにかく、短期、長期の戦略を巧妙に組合わせて 巧みに乗り切らなければならない。特に、自動車会社にとっては 現今非常に辛い時期に さしかかっている。
チョット舵取りを誤ると GMやクライスラーのようになるのだ。不祥事も起こす余裕もない、内部統制・コンプライアンスも重要だ、国際会計基準も気になる、実に微妙な時代になった。
M&Aで単純に大きくなれば 済むといった状態ではないのは言うまでもない。いきなり大きくなれば 内部統制が非常に困難になるからだ。哀れなクライスラーは いずれ消えてなくなるのだろうか。
だが、ともかくも自動車産業は裾野が広いので 上手く乗り切ってもらわないと 皆が困るのである。
その週刊東洋経済に 次の言葉が載っていた。それは、15年以上前に トヨタのある役員は こう言ったというのだ。
“われわれはとめどなく成長しつづけるという悪循環から脱け出す必要がある。・・・本当は、ビジネスの質の高さが第一にくるべきで、絶えざる成長の追求や販売量の拡大だけではいけないのだ。”
ここで“ビジネスの質の高さ”が強調されている。会社経営で やるべきことをやりつくして、会社が頂点に立った時、それまでの“勝つための方法”だけでは生き残れないと言っているように聞こえる。私は ある歌詞を思い出した。
♪勝つと思うな、思えば負けよぅ~
“勝つ”ことにこだわり過ぎれば 負けるのだ。目指す事業の本質にこだわるべきなのだ。その事業哲学が求められるのであり、そこに“ビジネスの質の高さ”がなければならない。それは会社を大きくする前から持っているべき哲学なのかもしれない。


こう見ると トヨタは相当に大変だ。実は、先々週の週刊東洋経済2009・7/25特大号に“トヨタ土壇場”の特集が載っていた。設備稼働率が世界各地で軒並み半分程度。記事を読むとトヨタの設備投資が無謀だったかのような論調だが、そこに掲載されたデータによれば、トヨタだけではない。日本のビッグ・スリーは いずれも同様の状態なのだ。
じゃぁ、日産やホンダに比べて トヨタは何が悪いのか。生産規模が 日産やホンダの2倍なのが良くないのか。そんなことはあるまい。ところが、どこを読んでもトヨタが 日産やホンダと比べて悪化している原因は良く分からない。

それにしても、今年4月の 日経ビジネスの記事は何だったのだろう。トヨタの不調はチョットした 判断ミスだったが、今回の景気後退を奇貨として、人材の教育充実で希薄化しかけている社員の教育・訓練を充実させることができ、これで本来のトヨタに戻れるという、はなはだ暢気な論調だったように記憶している。この日経ビジネスの記事を読んで、半ば安心した次第であった。私の印象が間違っているのだろうか。私は あの時、一方では、この記事内容に不満も述べた。つまり、この記事では トヨタの北米法人の財務内容に十分に切り込んだ分析が出来ていないのではないかと。今にして思えば、日経ビジネスも まさにそこに メスを入れていれば、トヨタの現状を的確に指摘できたのではないか、と思うのだ。専門誌なのに、観察力、分析力が 意外に弱い。
事実、この週刊東洋経済では ホンダのLOL戦略を取上げ その中でホンダが販売金融から最も遠い存在だったと指摘している。要するに ホンダは安売りはせず、きちんと顧客は取り逃がさずに自社に乗り換えてもらう戦略だという。
だが、トヨタの拙かった本質は何だったのか不明だ。ホンダを支えたのは LOL戦略、二輪車や、真面目な車作りだったと言うが、じゃぁトヨタは不真面目だったのか。それに、日産は 目下売れない車種ばかりで、どう財務をやりくりしたのか、私には不明のままだ。
トヨタとホンダといえば ハイブリッド車が 有卦に入っている。この週刊東洋経済には プリウスとインサイトの比較が図解で掲載されていた。この図解が 気に入って この週刊誌を買ったのだった。
今一度 改めて これを見てみると、ふと インサイトのシンプルな動力システムに 始めて気が付いたのだ。どうも 本当はこちらの方が よりロバストなシステムではないのか、と思うようになった。世間の評価では プリウスの方が 能力的には 上であるかのような印象だが、本当にそうなのだろうか。複雑で 部品点数の多い プリウスの方が 今後 多くの問題を生むのではないかと思うようになった。老朽化段階での メカのメンテナンスで プリウスの方が不利になることはないのか。
インサイトの方が燃費は26km/lと32.6km/lのプリウスに劣るが、ガソリン・エンジンと電動モーターをプリウス並みに 大きくすれば 容易に解決できる問題かもしれない、と素人なりに思ったのだ。勿論、両メカの絶妙のバランスが必要なのだろうが。ちなみに、プリウスのエンジンとモーターは1797cc,60kWに対し、インサイトのそれは1339cc,10kWなのだ。この差に加えて、プリウスは 発電用モーターと動力伝達の方式を変更する遊星ギアなどの複雑なメカニズムを備えている。この差が、車体重量1,310kgと1,190kgの差となり 価格205万円と189万円の差になったものと思われる。外形寸法はプリウスの4460(全長)×1745(全幅)×1490(全高)に対し インサイトの4390(全長)×1695(全幅)×1425(全高)と ほとんど変わらないにもかかわらず、である。
いずれ、両者が どのように進化していくのか、期待されるが、何となく インサイトの方が スマート(抜け目なく賢明)な 印象に映るのだが どうなのだろうか。
その意味で マツダが プリウス方式の導入支援要請をトヨタに要請したのは 正解だったのだろうか。
或いは、ハイブリッドよりも 日産や三菱のように電気自動車に 早々に重点移行して 電池の開発を待つのが正解なのだろうか。様々な化学物質の組合せを探って 新しい電池の開発に期待するのが正解なのだろうか。今更、この分野での 驚異的な新展開は期待できないのではないか、開発の余地は無いのではないかと 私は思っている。自動車搭載のためには 何より軽量でなければ意味がないのだから、非常に難しい。安全性も確保しなければならない。リチウム電池のように発火する可能性が高いようであれば問題外なのだ。
そういう意味で 相当な自信があるという日産のLiBのお手並み拝見だ。当面 リチウム電池で問題になっているのは 価格らしく、日産はリースを考えているらしい。三菱もそれで悩んでいる、とのこと。だが、それは問題の本質ではなく、枝葉末節だ。そのようなことより 要求性能が出ていないのが問題の本質なのだ。
むしろ 従来型の化学反応に頼る二次電池より、物理的な蓄電方式の方が期待できるように思うが、その有力な方式は未だ見つかっていない。だからこそ、基礎的技術開発における発想の抜本的転換が必要ではないかと思うのだ。
いずれにせよ、強力な蓄電システムが 開発されない限り、ハイブリッド車こそ ガソリン車の後を引継ぐ 正統者であろうし、その時代は当分続くのではないかと思っている。どうやらゴーン社長自身もそう言っているらしい。
こういった開発見通しに基づいて、不確定要素を見込んで3~5個程度のシナリオを用意し、世界の自動車メーカーは開発戦略を構築するべきなのだろうが、各社どのように 考えているのだろうか。特に、日本のビッグ・スリー以外の自動車メーカー三菱や マツダはどのようにするのだろうか。彼らは 開発力に余裕は無いはずだからだ。
特に、エネルギー水素化のムードが遠のいてしまった現在、水素ロータリー・エンジンのマツダにとっては非常に不利な状況に見える。早々に 水素ステーションの全国展開は 期待できないし、まして世界中の展開となるとほとんど絶望的なのだ。そして、エネルギー供給の不自由な自動車は存在価値がない。
いや それより 目下の不況を 財務的にどのように乗り切るかが、各自動車会社にとっての大きな課題だろう。とにかく、短期、長期の戦略を巧妙に組合わせて 巧みに乗り切らなければならない。特に、自動車会社にとっては 現今非常に辛い時期に さしかかっている。
チョット舵取りを誤ると GMやクライスラーのようになるのだ。不祥事も起こす余裕もない、内部統制・コンプライアンスも重要だ、国際会計基準も気になる、実に微妙な時代になった。
M&Aで単純に大きくなれば 済むといった状態ではないのは言うまでもない。いきなり大きくなれば 内部統制が非常に困難になるからだ。哀れなクライスラーは いずれ消えてなくなるのだろうか。
だが、ともかくも自動車産業は裾野が広いので 上手く乗り切ってもらわないと 皆が困るのである。
その週刊東洋経済に 次の言葉が載っていた。それは、15年以上前に トヨタのある役員は こう言ったというのだ。
“われわれはとめどなく成長しつづけるという悪循環から脱け出す必要がある。・・・本当は、ビジネスの質の高さが第一にくるべきで、絶えざる成長の追求や販売量の拡大だけではいけないのだ。”
ここで“ビジネスの質の高さ”が強調されている。会社経営で やるべきことをやりつくして、会社が頂点に立った時、それまでの“勝つための方法”だけでは生き残れないと言っているように聞こえる。私は ある歌詞を思い出した。
♪勝つと思うな、思えば負けよぅ~
“勝つ”ことにこだわり過ぎれば 負けるのだ。目指す事業の本質にこだわるべきなのだ。その事業哲学が求められるのであり、そこに“ビジネスの質の高さ”がなければならない。それは会社を大きくする前から持っているべき哲学なのかもしれない。

コメント ( 0 ) | Trackback ( )

« 役所のコンプ... | 残暑お見舞い... » |
コメント(10/1 コメント投稿終了予定) |
コメントはありません。 |
![]() |
コメントを投稿する |