The Rest Room of ISO Management
ISO休戦
小さいことは良いことダ!―“アナ物語”を読んで
この本、世界一小さな穴開けに成功した 岐阜県可児市にある小さな会社の物語です。
書名が少々変わっていますので 予約していた本屋さんで“何と言う本で?”と聞かれて、“アナ物語”と言いつつ、思わず顔を赤らめてしまいました。この表題も 著者の ある種の狙い目でしょうか。
“社長!できました!0.02ミリの穴ができました!” という冒頭の書き出しからこの本の話が始まります。
その前、表紙の次のページ、口絵に その0.02ミリの穴の電子顕微鏡写真が出ています。バリやムシレのない 小さな見事な “穴” です。
内容は 著者である㈱ダイニチの社長の半生と 会社の成長についてです。また、概要については ㈱ダイニチのホームページに紹介されています。
非常に 読みやすい 総頁゛数150ページで 活字も結構大きい本です。
実務家の平易な 文章で 淡々と書かれています。いかに遅読の私でも正味4時間程度で読了しました。
残念というか 当然のことだとは思うのですが、0.02ミリの穴あけの技術的ポイントには 全く 触れられていません。
この本には 私の考える21世紀型ビジネスというか 特に 日本の中小企業が目指すべき姿が 書かれていると思うのです。
コア・コンピタンスを突き詰め、深耕し、関連技術で裾野を少し広げ、他を引き離し オンリー・ワンとなる。本来、如何に オンリー・ワンとなって、他社を寄せ付けないポジションを構築できるかが あらゆる企業の基本戦略なのですが、ここには その究極の典型モデルの1つがあるように思います。
そして 著者である社長は“工場をこれ以上大きくしません”と言い切っています。“徐々に仕事も増えて、事業を拡張していくにしても人間一人が目の行き届く範囲はせいぜい25人ぐらいまでということがわかりました。”ということです。“もしも25という単位の枠を超えて、新しい事業展開ができる仕事に辿り着いたら、やはり新たな25の単位の組織を作ればよい。そんな風に考えています。それがどんどん成り立つのであれば、完全に責任を持ってやれる新しい体制のもう一つの会社を興したらいい。それがベターな方法だと思うのです。”
社長には この25人規模は 絶対条件のようです。それを《従業員の定員制》 だ とおっしゃっています。
それが この社長の目の届く範囲、自信を持って 全事業を運営できる範囲なのでしょう。そして おそらくそこには一般的な法則性が あるような気がします。これは企業で一般的に言われる 部や課の規模ではないでしょうか。
社長は 恐らく従業員の実に細かなことも 把握可能でないと 気が済まない方なのでしょう。
“一見、人手不足経営だとお客様に迷惑が掛かるように思われるかもしれません。しかし、よく考えてみてください。お客様にはちょっと待ってもらうだけでよいのです。そうすれば順番待ちのできる繁盛店ならぬ、順番待ちができる工場となることでしょう。”
“忙しいからといって雇用した人たちは、今度暇になったときに余剰人員になってしまいます。・・・したがって、私は 《人手不足経営》が理想だと常々考えています。”
会社を大きくすることは、これまでは経営の安定化に繋がるものであるとされて来ました。しかし、規模を大きくすることで、いつの間にか 特徴の無い普通の会社になってしまうのではないでしょうか。規模を大きくすることが、今度は 特長を失い、オンリー・ワンの存在感を喪失してしまうことになって、他社との激しい競合に巻き込まれていってしまうことになるのではないでしょうか。
つまり、会社の規模を大きくすることが 実は経営の不安定化に繋がるのであることを この社長の言葉は 端的に示しているのではないでしょうか。そもそも ビジネスにはそれに見合うマーケットがあり、そこには《従業員の定員》があるということでしょう。会社を大きくすることは、“余剰人員”を作ることに繋がるというのです。
1つの個性ある他の追随を許さない技術を開発し、それを維持発展させるのには それに見合う適正規模があるというのは説得力ある論理であるように思います。そして、情報化したIT社会の現代では、単一機能であっても個性的企業である方が 多くの顧客を世界中から引き寄せる可能性を これまでの時代より持てるようになっていると思うのです。
これは、個性の無い多細胞型企業よりも 他と隔絶した特長の有る有能な単細胞型企業である方が 小回りか利き、現代企業としては優位であることを示しているのでしょう。そして、個性有る単細胞同士のネットワークが 多細胞の単一企業のように機能すれば非常に強力な企業集団になりうる可能性が あるのではないでしょうか。さらに、そのネットワークは 常に変転するビジネス環境に合わせて プロジェクト・チームのように参加メンバーを変更し、変化し続けるということが可能となり、そうすることで、逆に ネットワークを構成する個々の単細胞型企業の持続的発展が 期待できるようになると思うのです。
そういう ネットワークでの中核企業として、㈱ダイニチは 存在し、発展し続けるのではないかと思うのです。
そして こういう展開が 21世紀的ビジネスの発展ではないかと 私は思っています。

書名が少々変わっていますので 予約していた本屋さんで“何と言う本で?”と聞かれて、“アナ物語”と言いつつ、思わず顔を赤らめてしまいました。この表題も 著者の ある種の狙い目でしょうか。
“社長!できました!0.02ミリの穴ができました!” という冒頭の書き出しからこの本の話が始まります。
その前、表紙の次のページ、口絵に その0.02ミリの穴の電子顕微鏡写真が出ています。バリやムシレのない 小さな見事な “穴” です。
内容は 著者である㈱ダイニチの社長の半生と 会社の成長についてです。また、概要については ㈱ダイニチのホームページに紹介されています。
非常に 読みやすい 総頁゛数150ページで 活字も結構大きい本です。
実務家の平易な 文章で 淡々と書かれています。いかに遅読の私でも正味4時間程度で読了しました。
残念というか 当然のことだとは思うのですが、0.02ミリの穴あけの技術的ポイントには 全く 触れられていません。

この本には 私の考える21世紀型ビジネスというか 特に 日本の中小企業が目指すべき姿が 書かれていると思うのです。
コア・コンピタンスを突き詰め、深耕し、関連技術で裾野を少し広げ、他を引き離し オンリー・ワンとなる。本来、如何に オンリー・ワンとなって、他社を寄せ付けないポジションを構築できるかが あらゆる企業の基本戦略なのですが、ここには その究極の典型モデルの1つがあるように思います。
そして 著者である社長は“工場をこれ以上大きくしません”と言い切っています。“徐々に仕事も増えて、事業を拡張していくにしても人間一人が目の行き届く範囲はせいぜい25人ぐらいまでということがわかりました。”ということです。“もしも25という単位の枠を超えて、新しい事業展開ができる仕事に辿り着いたら、やはり新たな25の単位の組織を作ればよい。そんな風に考えています。それがどんどん成り立つのであれば、完全に責任を持ってやれる新しい体制のもう一つの会社を興したらいい。それがベターな方法だと思うのです。”
社長には この25人規模は 絶対条件のようです。それを《従業員の定員制》 だ とおっしゃっています。
それが この社長の目の届く範囲、自信を持って 全事業を運営できる範囲なのでしょう。そして おそらくそこには一般的な法則性が あるような気がします。これは企業で一般的に言われる 部や課の規模ではないでしょうか。
社長は 恐らく従業員の実に細かなことも 把握可能でないと 気が済まない方なのでしょう。
“一見、人手不足経営だとお客様に迷惑が掛かるように思われるかもしれません。しかし、よく考えてみてください。お客様にはちょっと待ってもらうだけでよいのです。そうすれば順番待ちのできる繁盛店ならぬ、順番待ちができる工場となることでしょう。”
“忙しいからといって雇用した人たちは、今度暇になったときに余剰人員になってしまいます。・・・したがって、私は 《人手不足経営》が理想だと常々考えています。”
会社を大きくすることは、これまでは経営の安定化に繋がるものであるとされて来ました。しかし、規模を大きくすることで、いつの間にか 特徴の無い普通の会社になってしまうのではないでしょうか。規模を大きくすることが、今度は 特長を失い、オンリー・ワンの存在感を喪失してしまうことになって、他社との激しい競合に巻き込まれていってしまうことになるのではないでしょうか。
つまり、会社の規模を大きくすることが 実は経営の不安定化に繋がるのであることを この社長の言葉は 端的に示しているのではないでしょうか。そもそも ビジネスにはそれに見合うマーケットがあり、そこには《従業員の定員》があるということでしょう。会社を大きくすることは、“余剰人員”を作ることに繋がるというのです。
1つの個性ある他の追随を許さない技術を開発し、それを維持発展させるのには それに見合う適正規模があるというのは説得力ある論理であるように思います。そして、情報化したIT社会の現代では、単一機能であっても個性的企業である方が 多くの顧客を世界中から引き寄せる可能性を これまでの時代より持てるようになっていると思うのです。
これは、個性の無い多細胞型企業よりも 他と隔絶した特長の有る有能な単細胞型企業である方が 小回りか利き、現代企業としては優位であることを示しているのでしょう。そして、個性有る単細胞同士のネットワークが 多細胞の単一企業のように機能すれば非常に強力な企業集団になりうる可能性が あるのではないでしょうか。さらに、そのネットワークは 常に変転するビジネス環境に合わせて プロジェクト・チームのように参加メンバーを変更し、変化し続けるということが可能となり、そうすることで、逆に ネットワークを構成する個々の単細胞型企業の持続的発展が 期待できるようになると思うのです。
そういう ネットワークでの中核企業として、㈱ダイニチは 存在し、発展し続けるのではないかと思うのです。
そして こういう展開が 21世紀的ビジネスの発展ではないかと 私は思っています。

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