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この1週間で感じたこと―日本の蔭りと退潮傾向

週末のニュースでは、軽自動車の大手メーカーであるスズキの検査不正による200万台のリコールと、大和ハウス工業の2千棟を超える住宅で施工の不備が伝えられた。まだまだこのような巨大な不正が温存されていたとは、驚きだ。日本産業界の組織マネジメントはどうなっているのだろうか。日産に引き続き、日本株式会社の監査役の業務怠慢が問われる事態ではないだろうか。このような報道がいつになったら根絶されるのだろうか。
否、否。自動車会社はISO9001どころかそれより厳しいISO/TS16949 (IATF 16949)を満足していなければならないはず。いや、それは自動車メーカーに部品納入する業者に適用されるものであって、自動車会社自身が遵守するべきルールではない、というのならこれほど人を小バカにした話はない。納入業者はISO/TS16949 (IATF 16949)どれほど悩まされているのか、自動車メーカーは考えたことはあるのだろうか。日本企業の道徳的退廃が極まっているのではなかろうか。
住宅メーカーも同じだ。一体、何のための確認検査なのだろうか。工事に手抜きがあっても検査で発見できれば問題ないのだが、そこでも手抜きがあったのだろうか。それとも規定通りの検査をしたのだが、今回はその規定外での問題だったのだろうか。
報道では何故かそういったチェック体制の根本問題に踏み込んでの内容を伝えることはない。報道関係者にそういった現代の常識となっている知識・情報は一切ないのだろうか。彼らは“お勉強”しているのだろうか。だから、私は日本の報道関係者の発言には信頼を置けないのだ。中には、報道関係者が大学教授におさまる例も多くみられるが、“お勉強”していない者が現役を退いた後、教育事業に乗り出すのはいかがなものか。デモシカ教授のお出ましダ。日本の教育の退廃がここにもあるのではないか。
とにかく、検査不正が行われるのには生産技術の不全問題が背景にあると見て良いのではないか。生産技術が不全で生産能力が不満足となり、注文・納期に及ばないために起こる問題なのだ。生産能力不足のままで、納期を順守するために検査をいい加減にする。生産性の高い技術を開発できない姿がある。

ところで、先述とは別の自動車メーカーのテレビCMだが、これまでボーっと見ていたのだが、その逸早く開発されたはずの衝突安全装置ついての次の説明が気になった。
“機能には限界があります。心掛けてください。安全運転を追突安全事故発生率84%減少、歩行者事故発生率49%減少。2030年死亡交通事故ゼロへ。”
感情的に言うと、“何だ、半分しか減らねぇーのか。これじゃぁー有っても無くても一緒。余程ボーっとした高齢者対策か。”特に、歩行者事故発生は過半を超えて改善できている訳ではない。この製品、調べてみると2008年に実車搭載され商品化されたようだ。既に10年経過していてこのレベルか。製品化当初は驚きがあったが、自動運転が話題となる昨今、この程度の性能では驚くレベルではない。99%削減でなければ注目できるレベルではあるまい。そして“2030年死亡交通事故ゼロ”では遅すぎるのではないか。部外者、素人の厳し過ぎる意見だろうか。

週初めには、豊洲で死亡事故、エレベータのドアに挟まれたという。どういう安全対策だったのか。安全装置のないエレベータが最新の施設にあっていいのか。これが現在の日本の中心都市東京に有ってよい事件なのだろうか。安全最優先が日本の産業界のモットーではなかったか。今やそれがないがしろになってはいないか。まさか危険な作業は、これからは外国人労働者にさせればよい、などと考えているのではないだろうな。

今や豪華客船のクルーズが世界の流行になっている。豪華客船の建造の様子をEテレで1週間前放映していた。番組ではイタリアの造船所での様子を取上げていた。船体は南部イタリアで建造し、全体組立仕上の工程は北部ジェノヴァで行う。南部イタリアから組立前の船体を海上曳航してジェノヴァへ運び込むのだ。これではコストも工期もかかるが、日本では考えられない建造法だった。
しかし、振り返ってみれば、日本に豪華客船を建造する実績は無い。どういうことか。一時造船王国だった日本では豪華客船は建造されないのだ。情けないが、そのノウハウは無いのだ。タンカーや貨物船の受注ばかりでは、韓国、中国に対する価格競争力はあるまい。省エネ船体や消音スクリューを造る世界に冠たる技術はあるが、豪華客船を建造する能力は無いのだ。これでは下請け体質ジャパンではないか。しかし、イタリアではしっかり造船業が生き残っていたのだ。驚くべき事実ではないか。
旅客船ばかりではない。旅客機の製造に三菱重工は四苦八苦している。それほどレベルの高い工業国とは思えないブラジルは平気で作っているが、日本では中々できない。
日本には、そういう“儲かる高度な産業”がついに育たなかったのだ。それにも拘らず、未だに日本人は日本を高度産業化社会である勘違いして間違ったまま、それを自負してはいないか。実に滑稽で憐れなことではないか。アジアの開発途上国と同質の産業社会のまま価格競争力に負けて行くということではあるまいか。

最近、日本の鉄道は止まることが多くなった、と感じないか。技術の高度化と社会の安全性要求に日本の鉄道運営技術の総体が追い付いていないのではないだろうか。だからJR西日本の社長のように“何かあったら、積極的に止めろ!”などと鉄道事業の本質を見誤った指示を出さざるを得なくなっている。これは鉄道事業者として明らかに、目的と手段を取り違えている、としか言いようがない。
それにも拘わらず、未だに日本の鉄道運営は“世界一”と信じ込んでいないだろうか。その慢心が懸念される。実は、鉄道事業は技術革新によって、大いにリニューアルされ見直され、これからの中長距離輸送の核となる可能性があると見られる。ネット社会ではラスト・ワンマイルを電気等のエコ自動車で中長距離は鉄道で、一人一人が思うがままの旅程を組むことが可能になると考えられる。日本の鉄道も世界の潮流に乗り遅れることはないのか。

しかし、そのネット社会の技術革新の中にあって、5G化の競争でも日本産業界はその戦いでスタートラインに立てなかった。米、中、韓に完全に出遅れている。
下手すれば、全てをGAFAやHUAWEI、SAMSUNGに牛耳られ、日本の企業は彼らの下請けとなるのではないだろうか。事実その傾向が日本の産業界にある。自らのブランドを作り出せないままでいる。これが21世紀の日本の工業技術水準なのだ。独創性に欠け、若い自由な発想とチャレンジがないのだ。
1997年のアメリカ映画“コクーン”では、世界各国共同で異星ヴェガへの移動装置が建設されるが、当時工業水準では世界を牽引していると見られた日本は何故か下請けに満足して移動装置製作のみに協力するという位置付けになっている。ハリウッドの映画人は20世紀最後に日本の姿をこのように見ていたのだ。これは私は“日本の本質”を“予言”しているかのように見て取ったのだが、どうやら現実のものになる可能性は高い。

かつて世界のGDPの16%を占めていた日本経済は、今や6%のシェアだという。かつてから60%強減少した、半減より酷い状態なのだ。劣化した工業技術水準では稼ぐ力は失われているのは当然だろう。日本の産業人の心理もチャレンジングではなくなって来ているのではないか。コンペティターを出し抜くほどの迫力は感じられない。
にもかかわらずアベノミクスは上手く行っているかのような宣伝に、国民は踊らされているのではないか。インチキな経済政策に騙されていないか。世界中は第三の矢がいつ放たれるのかと見守っているという。もういい加減に現政権下での第三の矢などはないのだ、と早く気付くべきではないか。

日本株式会社の長期低落傾向、これを何時になれば歯止めをかけられるのか。それには、正確な自己認識が必要だが、現政権は徹底してマスコミに圧力をかけているという。モリカケ報道したマスコミ関係者は新年度にかけて多数パージされた、という噂もある。日本の工業技術ばかりではなく、日本の民主主義も腐敗しつつあるのか。
パリに本部を構える国際NGO団体“国境なき記者団”の発表する“報道の自由度ランキング”で、日本は2017年72位。2018年で67位、勿論、主要7カ国(G7)のなかで連続最下位、だという。ちなみに、アジアの台湾は2017年45位、2018年度で42位。韓国は2017年63位、2018年度で43位。これをどう考えるのか。香港は2017年73位、2018年で70位。日本は中国の支配が強まる香港に追い抜かれそうな勢いだ。日本はこのように“報道の自由で未開発国”であり、“自由のない国”なのだ。こんな国に活力は生まれまい。
日本の報道関係者は“お勉強しない”のではないかと、先ほど言ったが、“お勉強の必要がない”のだ。政権の出す情報を伝達すれば済むからだ。なのでさすがに羞恥心があるのか、この事実を問題視し報道していない。つまり一般国民には秘匿している。そして政権に忖度し“不都合な真実”は伝えないのだ。伝えればパージが待っているだけだ。
こうしてテレビは暗い事実は伝えず、オチャラケとお笑い、グルメであふれている。しかも高齢者しか見ないので、業界は低落傾向にある。この頃CMの時間がやたら長くなったと感じないか。
若者はこれも真偽不明の質の悪いネットの噂話や、興味のある分野のニュースばかりで思考が視野狭窄に陥っているのではないか。ネット報道の負の側面の悪い影響をもろに受けているのではあるまいか。

先週、知った事実に日本が衰退する要素ばかりが特に目立つので、感想を羅列してみた。ブログ投稿でマクラを書いている内、長くなってしまい、引っ込みがつかなくなった。そのマクラをそのままに投稿することにした。
日本の退歩は次第に深刻さを増している印象だが、どうだろうか。さて、これをどうすれば良いのか。

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