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ひろ さちや・著“日蓮を生きる”を読んで

トランプ関税の交渉が始まった
その究極の狙いは、実は中国なのか?一部の懸念が示すように中国の崩壊を狙っているのだろうか。それは、台湾危機を想起させる。それで大丈夫なのか?
その中国が米国債を売ったのか?
トランプが日本に無理難題を押し付けるのであれば、日本も米国債を売るということはあり得て良いのではないのか。
米国債を売ってその金で第7艦隊と太平洋・インド洋の海兵隊を購入すると言えば、どうなるのか?
トランプは“米国に投資せよ”と言いながら、日鉄がUSスチールを買収すると言えば、“それはダメだ!”という。そんな身勝手がまかり通るのか?
結局トランプ政治は、古い米国を残すことにあり、しかも世界政治には責任を持たないというのだ。このトランプ反動政治は、結局のところ米国の世界覇権の衰退を招くのではあるまいか。世界は変わりつつあるのだろうか。悪い意味でトランプ政治が世界を変えるのであれば大問題なのだ。米国の国内政治の動向で世界を変えられるのではたまらない。

ところで、このブログ投稿のページ脇に“この度、2025年11月18日をもちまして、goo blogはサービスを終了することとなりました。”とあるのに初めて気付いて大変ショックを受けている。このブログ投稿で、ある種“生きる”糧になっていたのが、失われることになるからだ。11月以降、どのように生きて行くのか、少々考えなければならない、こととなったのだ。
ついでに気付いたのは、何故か4月7日投稿の“前月25年3月に鑑賞した映画の紹介”の記事が消えていたのだ。これもショックで、いつから消えていたのか、そこまで常に注意深く見てはいなかったので、驚き、再投稿しておいた。それとも当初から投稿もできていなかったのだろうか?



さて、前々回3月31日の投稿は、『松尾剛次・著“日蓮―「闘う仏教者」の実像”を読んで』だったが、“読み終えた感想は、残念ながら何だか時系列の事件・事績紹介に終わってしまった印象だったのだ。それでは生涯略年表の提示と同じではないか。日蓮の思想・信条の説明が希薄だった”、として略年表を付けて終わった。そして、次のように言っている。“日蓮は法華経を尊重したとあれば、最澄との基本的な違いはどこにあるのだろうか。・・・まぁ、そのあたりをもう少し明らかにするには、やっぱり ひろさちや氏の著書に頼らなければならないような気がしてきた。”
この度は、そのひろさちや氏の著書『日蓮を生きる』を読んだので、紹介したい。
例によって本の概要を紀伊国屋書店のウェッブ・サイトの紹介によって以下に示す。

[出版社内容情報]
日蓮聖人(1222-1282)の生涯と思想を紹介しながら、その生き方や考え方が現代に生きる私たちにどのような示唆を与えてくれるかを解明する。「いかにして仏教を人生に活かすか」を探究してきた著者の思索の集大成。

[目次]
第1章 人情家=日蓮
第2章 誕生、立教開宗、そして鎌倉へ
第3章 『立正安国論』
第4章 伊豆流罪
第5章 佐渡流罪
第6章 身延への退隠
第7章 日蓮の最後
第8章 日蓮に学ぶ「生き方」
日蓮略年譜

[著者等紹介]ひろさちや(ヒロサチヤ)
1936年(昭和11年)、大阪市に生まれる。東京大学文学部印度哲学科卒業、東京大学大学院人文科学研究科印度哲学専攻博士課程修了。1965年から二十年間、気象大学校教授をつとめる。退職後、仏教をはじめとする宗教の解説書から、仏教的な生き方を綴るエッセイまで幅広く執筆するとともに、全国各地で講演活動をおこなう。厖大かつ多様で難解な仏教の教えを、逆説やユーモアを駆使して表現される筆致や語り口は、年齢・性別を超えて好評を博する。2022年(令和4年)、逝去

この本、読み終えた感想はやっぱり、ひろさちや氏を読んでみてそれなりの成果があったと言ってよいと思った。

“まえがき”で著者は、“日蓮聖人――。この人ほど毀誉褒貶の激しい人物は珍しい”と指摘し、在世当時は本書本文によるが、近代に入ってからの日蓮系人物による社会的運動の影響も大きいのが顕著である。田中智学の国柱会創立による国家主義的国体顕現運動があり、牧口常三郎の創価学会創立による公明党の政治活動、久保角太郎の霊友会設立、庭野日敬・長沼妙佼の霊友会から岐れた立正佼成会の設立があった。これら組織に対する既成の仏教教団の反発も大きいものであり、それだけに大きな社会的影響を及ぼしているという毀誉褒貶の落差が激しい、と評している。何故、そうなのか――には言及していない。

ところで、日蓮の思想は、佐渡流罪の前と後で変わったとされる。それを佐前、佐後という表現でなされることが多いのだという。そして、佐前は預言者として、佐後は宗教者としてあった、とひろ氏は評している。
“佐前の日蓮は「天台沙門日蓮」を名乗っていた”、即ち天台宗の僧との認識で、佐後になると天台宗という宗派意識を捨てて「本朝沙門日蓮」と名乗った。
佐前は日蓮は「預言者」であって、本来、日蓮は『立正安国論』に依って幕府に3度諫言したつもりであったが、一向に幕府側が聞かないので、佐渡流罪から赦免になった後、幕府を見限ったのだという。これは“日蓮は「預言者」をやめる決意をした”ことを意味するという。ここで、彼は“たんなる仏教者・宗教者になった”という。
ここで、『立正安国論』は世間は「予言書」と見ているが実は「預言の書」であった、という。「預言」というのは、“ユダヤ教やキリスト教の言葉で、神から預かった言葉を人々に伝えること”である。ここでは、「釈迦の言葉を預かる」ことであり、“『立正安国論』は、釈迦から預かった言葉を為政者に伝えた書”だというのだ。“彼は止むに止まれず預言者となり、『立正安国論』を書いて釈迦の言葉を為政者に伝えた”のである。
幕府は当然のことながら、国の全勢力を挙げて国難を突破しようと考えて、日蓮を赦免したが、日蓮は自身だけに任せないと、堕落した勢力と共に対処・祈祷しても効果がないと断じて許さなかった。
そして、“『立正安国論』を預言書と見たとき、はじめて日蓮は宗教者になる”とも著者は言っている。それは著者の言う、政治と不可分のユダヤ教との重ね合わせから来るのであろうか。

しかしやはり、日蓮には法難が多過ぎるがこれは自己顕示が強過ぎるためであり、自己顕示が強いのは宗教者特に仏教者として不適切な態度ではないかとの疑念が湧く。
現に、著者は“日蓮は戒を無視していることが気になる”と言っている。そして、平気で飲酒していることを指摘*1する。さらに自賛毀他戒――自分を褒めて他人を貶してはいけない――も、「四箇格言*2」に見られるように“他人を貶しまくり、自分でなければ日本は救えないと、自分を褒めている”とまで指摘している。しかし、著者は日蓮の動きを許容している。

*1:日蓮が属していた天台宗は大乗戒を採用していて、大乗戒では「不飲酒戒」ではなく「不酤酒戒」であり、“不酤”は“酒を売る”ことだという。
*2:日蓮が他の仏教宗派を批判した言葉である。所謂、念仏無間(ねんぶつむげん)、禅天魔(ぜんてんま)、真言亡国(しんごんぼうこく)、律国賊(りつこくぞく)の4つを言う。

日蓮は自身を“法華経の行者”と規定し、お題目として――南無妙法蓮華経――を唱えよとし、帰依するように言っている。そこで、この法華経に照らして日蓮の破戒と思われる行為を検証している。
キィ・ワードは――諸法実相――だという。“「諸法」とは、もろもろの事物”である。その“もろもろの事物の実相はわれわれには分からない。もろもろの事物の実相を知っておられるのは仏だけだ”。だから、“今、目の前にある姿(相)を実相だと信じる”ことで、現実に対処することなのだ。
そして、法華経のいう――仏子――が大事だという。“この全世界は釈迦仏(わたし)の所領だ、そしてそこに生きる衆生はすべて釈迦仏(わたし)の子だ――今、この三界は 皆、わが有なり。その中の衆生は 悉くこれ吾が子なり。”
“赤ん坊であれば、すべてを親にまかせて、あとはにこにこ笑っていればいい。苦しい時は、「お父さん、助けて」と泣き叫べばよい。赤ん坊は何もしない。ただ親を信じて、泣き、笑っているだけ”で良いのだ。だから“金持ちは金持ちのまま、貧乏人は貧乏なまま、健康な人は健康なまま、病人は病人のままで幸福になれる。それが諸法実相”なのだという。
ただひたすら“『法華経』を信じ、わたしたちは仏の子であることを信じればよい”のだ。“そして――のんびり・ゆったり・ほどほどに――生きるようにすればよい”。
それは何だか阿弥陀様を信じて、ただひたすら「南無阿弥陀仏」を称えていればよい、というn念仏教を想起させるではないか。どこに違いがあるのだろうか。日蓮は念仏を目の敵にしていたのだが・・・・・。

さらに何よりおもしろいと感じるのは、日蓮は人生最悪の流罪先の佐渡において、“阿仏房夫妻、国府入道夫妻、一谷入道一家など、多くの念仏者に助けられていた”という、著者の指摘だ。「預言者」一筋に生きてきた日蓮は、念仏信者のうちにも、温かい人情家がいることに、「仏教者」としての生き方に気付いたのだろうと言っている。逆に、かの念仏者はその教えを忠実に守っていたのだろうと想像できるのだ。

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