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福島原発災害―“マネジメント無策”

先週に引き続き、福島原発が酷い状況であり、俯瞰的に見れば一向に事態は改善していないが、マスコミによれば あたかも良い方向に向かっているかのような印象を与えられているように思う。事実、先週から新たな問題として、関東地域の上水道の放射能汚染が浮上しきた。しかも、半減期の短い放射性ヨウ素ばかりを強調しているが、半減期の長いセシウムの汚染はどうなっているのかは不明のまま情報の垂れ流しが続いている。これらの問題や不安の根源は福島原発の事故状況が好転しないことにある。

一方、原発の事故自体は全く改善の傾向にあるとは明確には言えない状態が引き続いている。しかも、弛緩した東電の現場指揮により、現場作業者が被災した。いやその現場では指揮管理が無かったのではないか。危険作業・非定常作業前のKY(危険予知)は常識だが 果たして済々とやっているのか。そして、その被災事故により現場の復旧作業は一時中断しているようだ。その間、事態は刻々と悪化しているにも関わらずである。スリー・マイル島の事故は1週間で終息したというが、今回は既に2週間以上経過している。しかも その終息の端緒すら見えていない。その点でも大事故と言えるのではないか。
震災に関わる政府系の“災害対策本部”は現在6箇所もあるという人がいる。この内、どれが原発事故対策本部なのだろうか。消防庁が福島原発出動するに当たって“一時待機”の命令を出した“本部”が あったと言う。ところが、それまで自衛隊、警察の部隊が 外部冷却のため放水対処し、埒が開かず消防が出動し始めてようやく軌道に乗った。それまで1週間が無為に過ぎた。放水は 勿論消防が専門家ではないか。
その後、ようやく外部電源が届き、そこからようやく周辺機器の通電点検をやっている。周辺機器の通電点検は、電源が届く前にも実施できたのではないか。いや、それより現場の放射能汚染の実態はどうなっているのか。既にそのような作業のできる状態ではないのではないか。ならば“復旧”を言うこともできない状態ではないのか。もし、それが本当であれば、早急に現場放棄を宣言し、どんな汚染にも耐えられる広域処置をするべきではないのか。米国の指摘より広い地域の退避を急ぐべきではないのか。そういう調査もせずに現実を無視した復旧方針では被災者が無用に増えるだけではないのか。事実、煙ひとつ出て原因不明で騒ぎ、作業者が被災して騒ぎ、その都度 作業は中断し、時間だけが過ぎている。もっと事前に放射線監視装置や小型の監視カメラを無人小型ヘリで運び、屋上や要所に配置し、現場の放射能汚染や火災の状況くらい 連続的に監視・観察できるようにはしないのは何故だろうか。特攻・突撃を繰り返して、無用の死者が大量に出てからでは遅い。
復旧の目標、方針があるとは言えず、その計画すら聞いたことが無い。いつまでに何をするのかを指し示す計画を明らかにする必要がある。そうすることで、現状の問題点を明らかにし、障害を除去するための方法が見えてくるはずだ。また復旧活動のマンパワーの問題も見えてくる。東電の足下の従業者の精神的疲弊が相当なものであるとの報道もあり、それが安全管理をおろそかにしている原因となっていないか。実は そういうものはあるが公表していないだけだということなのだろうか。だが、もしそうならそういう姿勢こそ問題ではないのか。
とにかく現状の場当たり的対応にしか見えないことからすると復旧作業のマネジメントがあるとはとても思えない。このような状態では世界各国が不安な目で日本を見るのは当然である。しっかりしたマネジメントが無いため、マフィア国家のロシアに“情報隠し”を言われ、化学物質汚染大国の中国には“放射能汚染”を言われ、本当に情けない。

マネジメントの無いまま 無為に時間が過ぎている。その間、原子炉の内部温度や圧力は設計基準を超えた状態で何とか小康を保っているように見える。だが実は、設計基準を超えて長時間経過することは、機器に過酷な状況を与えているのは確実だ。基準を超えた機内圧力は、接合部の不具合が顕著にするだろうし、基準を超えた容器温度では 計測や制御のための配線が不通になる可能性は高くなる。特に、電気配線は従来の仕様では使えないかも知れない。いや高温下で放射能もあるのでは復旧工事は本来不可能ではないのか。
そういう問題は既に生じているので高濃度汚染の報告が次々と上がって来ているのではないか。今後も放射性物質の外部漏洩が継続して行く懸念は否定できない。ならば、周辺への放射能汚染は蓄積し、酷くなる一方のはずである。漏洩原因が分からない内は 最悪を疑うのは常識だ。そういう点で、非常に危機的状態なのだが、報道で解説する学者は 無責任にも問題は小さく、“安全”であるかのような発言を繰り返している。それが最悪の場合の逃げ遅れを助長し、被害者を増やす原因になりはしないのか。

政府は最悪シナリオを想定しているのであろうか。最悪シナリオにどう対処するかを首相以下が今一番に考えるべきことだろう。現状の復旧活動が継続可能で しかるべき時期(概ね1ヶ月以内)までに復旧可能であるのか否か早急に見極める必要があるが、そういう姿勢にあるのだろうか。
最早、どうすることもできないにも関わらず無為に時間を過ごし、犠牲者累々の中で絶望的撤退となるのだろうか。このままではマネジメントのない国家・日本の敗亡が待っているだけではないか。そのマネジメントの欠如の原因が政治家の容喙にあるとすれば お話にならない。政治家こそマネジメントの要諦を熟知しているべきだが、KKDや“ニコポン”(現場視察)をマネジメントだと思い込んでいるのなら、早急にその地位を退いていただきたいものだ。
嘆くには遅すぎるのかも知れない。この国の幸運を祈るばかりだ。

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