おシャカ様は、八万四千と言われる法門をお示しになっておられますが
その内容を大別すると三つに集約することが出来ます。
これを 「三法印(さんぼういん)」 と言っています。
その一つ目は 「諸行無常」、二つ目は 「諸法無我」
三つ目は 「涅槃寂静(ねはん じゃくじょう)」 というお言葉です。
「諸行無常」 とは、人をも含めて一切すべてのものは、ひと時として
同じ状態はなく移り変わっているということです。
ヨーロッパにも昔、「万物(ばんぶつ)は流転(るてん)する」 と説明された
哲学者がいました。
しかし、それでは移り変わっている様子を眺めたり、その事を知っている
立場の人がいることになります。
おシャカ様のお示しの 「諸行無常」 と 「万物は流転する」 とでは
大変な相違があるのです。
「諸行無常」 を引き継いだお言葉に 「諸法無我」 というのがあります。
この無我の 「我」 というのは、私たち人間(にんげん) につける固有名詞
ではありません。
諸法(いっさいすべてのもの) は 「無我」 であるということです。
中心となるべき存在は何もないということです。
「坐禅」 を例にとれば、「今日は坐禅に集中出来た」
と言うと、自分の状態を常に眺めている人があるということになります。
しかし、そういうことは、本来出来ないことをやっていることになるのです。
三法印(さんぼういん)1 2015・7・10