フォレストみずなみカントリークラブ 中央アルプスを望む
2日から3日にかけての北海道の暴風雪は9人もの犠牲者を出した。
3日午前7時、湧別町で53歳の漁師の父と娘小3(9歳)が、乗っていた軽トラックから300メートル離れた牧場倉庫前で倒れているのが発見された。
天声人語は近くの民家までわずか70メートルという距離が、何ともやりきれないと書いた。
父は9歳の娘を抱くようにして命を守り力尽きたという。
テレビで見るとたどり着いた倉庫は鍵がかかって入れなかったように見えた。哀れでならない。
今朝の喫茶店で読んだ読売新聞は、朝日の天使人語に相当するコラム「編集手帳」も追悼文だった。
旅人の宿りせむ野に霜降らば 吾(あ)が子 はぐくめ天(あめ)の鶴群(たずむら) 万葉集(巻9)
作者は遣唐使随員の母と分っているのみの歌という。“鶴よ私の子が凍えぬように翼で包んでおくれ”という意味だそうだ。「焼野の雉(きぎす)、夜の鶴」というように、情愛の深い鳥だという。消防員はこの父は娘に自分のジャンパーをかけていたという。
この歳の離れた親子は、一昨年妻であり母をがんで亡くして、二人暮らしだったという。ホタテやカキの養殖で朝早くに家を出ることが多かったが、娘のための朝食も用意したし、娘の好きなハンバーグを作っていたという。
そして暴風雪の前、1人娘のためにひな祭りのケーキを予約していたという。つつましい2人だけのひな祭りの前夜の悲劇だった。
やるせなくて涙なくして読めない。この娘、夏音(なつね)ちゃんを誰が、これから面倒みるのだろう。
幼くして両親を失ったこの子に幸いあれと祈らずにはおられない。合掌