Feb.11 2006 さらば夏

2006年02月11日 | 風の旅人日乗
2月11日 土曜日。

いよいよ、ボルボ・オーシャンレース第3レグのスタートが明日に迫った。
次のゴールは、ニュージーランドのウエリントン。ボルボ・オープン70にとっては4、5日で走りきってしまう、スプリント・レースだ。
レース参加艇がブラジルのリオデジャネイロを目指してウエリントンをスタートするのは、1週間後の2月19日。ウエリントンには僅か2日しか滞在しない。

メルボルンのあと、そのままウエリントンに行こうかとも迷った。ついでにオークランドに行って、友達に預けっぱなしにしている車のこととか荷物のことを話す用事もあるし。
しかし、今回はニュージーランドに行くのはやめた。
理由は2つある。

一つは、ウエリントンに飛行機で行くのがどうしても嫌だったこと。

ウエリントンに飛行機で行ったことありますか?
あそこの空港に降りるには、命を3つばかり持って行った方がいいと思います。
ウエリントンは、ニュージーランドの北島の南端にある町で、ニュージーランドの首都だ。

ニュージーランドは北島と南島に別れているが、その間にある海峡がクック海峡。
この海峡の風がすごく強い。
ウエリントン空港はこのクック海峡に面しているのだが、滑走路の南と北に小高い山があって、そのために、ただでさえ強いクック海峡の風が、滑走路上空で収束して、怒涛の強さになる。

着陸態勢に入ってからの飛行機の揺れの恐さと言ったら、ディズニーランドのどんなアトラクションでさえ及ばない恐怖である。その恐怖がウエリントンを訪れるたび、毎回なんである。映画『トップガン』でキリモミ状態になっているトム・クルーズの恐怖をも上回るはずだ。

アルゼンチン大使としてウエリントンに赴任したあるお方が、最初に一度飛行機で到着して以来、一切飛行機に乗らなくなった。ニュージーランドのどこに行くにも車か列車で移動した。そして任期が終わって国に帰るときも、オークランドまで車で行き、オークランド空港から飛行機に乗って帰った、という話は、ウエリントン空港着陸の恐怖を茶化した話としてニュージーランドでは有名であるが、ぼくはその人の気持ちが痛いほど分る。

ニュージーランドの人はウエリントンの恐怖を笑って話すのだが、冗談ではない。本当に恐いよ。

もう一つの理由は、ウエリントンで第4レグのスタートを見てから日本に帰ると、2月20日になる。2月20日の最終便で沖縄に行き、21日から座間味島でサバニ合宿第2弾、というスケジュールがシーカヤッカー内田によって組まれている。
成田空港からそのまま羽田空港に行って、沖縄行きに乗ることは理論的には不可能ではないが、精神的には少し躊躇する。

サバニは、さかのぼっていけば、丸木舟の時代にまで遡ることができる、日本古来の船だ。
その船には、自分の祖先たちのスピリットが内部に入り込んでいるように感じている。
サバニに乗るときには、こちらも精神的に十分な準備をしてから乗らなければ、それらのスピリットが歓迎してくれないように思えてならない。
だから、そのための時間的余裕が欲しかった、というのが、ニュージーランドに行かないと決めた2つめの理由だ。

メルボルン市内では、一昨日からメルボルン・モーターショーが始まった。チケットが手に入れば、今夜行ってみようかなと思っている。
そういえば、3月末にはF1グランプリもメルボルンで開催される。
昨日、メルボルン市内にある、そのサーキットを車で走ってきた。
普段は公園を一周する公道として使われている道で、グランプリの時にはサーキットに改装される。大きな池(湖?)が真ん中にある、とても美しいサーキットだった。観客席を組上げる大工事が始まっていた。

明日は、スタートを見た後、ハーバーにもどったら、すぐにダッシュでメルボルン空港に行ってシドニー行きの飛行機に乗らなければいけないので、第3レグのスタートの様子報告など、次の更新は月曜日に日本に戻ってからになります。
では、あと1日だけ残された夏を楽しむことにします。