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映画好き、円柱野郎のブログです

「容疑者 室井慎次」を観てきました

2005年08月27日 21時45分25秒 | 映画(感想)
今作は本広克行監督ではなく、今までのシリーズで脚本家をやっていた君塚良一がメガホンを取るということで、どう言った具合に色が変わるかちょっと楽しみでした。

でも結論から言うと、俺にはちょっと不満の残る作品やったね。
確かにストーリーなんかは「踊る~」らしいんやけど、細かい演出に俺は疑問が残っちゃって…。
そういう見方をしては行けないと分かってはいても、気になる物は仕方がない。
…としか言いようがない。


<↓以後ネタバレ有るかもしないので注意>


上映後すぐに思ったのは、“画面が揺れる”こと。
どうも手ブレのように上下左右へ微妙に揺れる。
どう考えてもステディカムで撮ったとは思えない揺れで、最初はそれが気になって仕方がなかった。
監督があえてステディカムを使わなかったんやと知ったのは上映後。
立ち読みしてた雑誌に偶然書いてあった。
「今回はアンチ本広演出ということで、ステディカムは禁止でした。(監督談)」
「雨のシーンだけ使いましたけどね。(監督談)」
なるほど、揺れるはずやわなあ…。

今の時代、ステディカムを使わないことは確かにある。
「プライベート・ライアン」のオープニング戦闘シーンは有名やけど、ああいった主観的なシーンでは手持ちカメラの手ブレ映像は絶大な臨場感を生むし。
でもステディカムの流れるような映像に慣れ親しんだ今、あえて普通のカットで手ブレが起きると納得出来ないものが…。
監督の意図やと言われればそれまでなんですがね。


あと、全体的に演出過剰なとこ。

3台縦列に停車した車を正面からカメラで捕らえるシーン。
ライト一つ分ずつずらして3台が見えるんやけど、手前から奥の車順に停車して、ライトは順に奥の車から消されていく。
画面設計しすぎw
というか、これはまだ「踊る~」らしいところやと思う。

庁舎内、警察幹部のシーンはことごとく画面が暗い。
いや、部屋が暗すぎる。
「ちっさなライトをつけるなら、部屋の明かりをつけんかいw」
「停電かよw」と思わず心の中でツっこむw
いや、これも多少過剰にはなってるけど「踊る~」らしいお約束の記号。
わかってる、わかってるんやけど…。

敵役である灰島弁護士事務所。
でっかいテーブルがあります。
灰島弁護士(八嶋智人)はそのテーブルの上をズカズカ歩いて室井に迫る。
これは予告編にもある、俺の好きなシーンの一つ。
灰島のイカレ具合を象徴してるシーンやと思うから好きやね。
ただ、テーブルに置いたノートPCの配置、微妙じゃないすか?

目測やけど、たぶん手を伸ばしても届かない距離(テーブルの中央寄り)に置いてある。
演出意図として、灰島事務所の人間はサイボーグ集団のような描かれ方をしていたから、この配置もそういう意図があるんやろうけど、もはや実用性よりポーズに近い。
ケレン味がありすぎw


一番気になったのが、窪園検事(佐野史郎)のドアの閉め方。
検事室で検事と室井が話していると、部屋の外に灰島弁護士が。
ドアの隙間から余計なことを言う灰島にウンザリする窪園検事。
怒ったように席を立ち…(俺はここで文句を言いにドアの方に行くのかと思った)、おもむろに背後の窓を開ける窪園検事。
すると強風が吹き込み(巻き上がる書類で表現される)、その風の勢いでドアがバタンと閉じられる。

彼はドアを閉めるために窓を開けたのか?
窓を開けたら結果的にドアが閉まったのか?
俺は前者のような気がするけど、そうだとしたら窪園って検事はある意味スゴイ人物の様な気がする…。


ここまで散々ぱら書いてきてなんですが、別にこの作品が嫌いというわけじゃないです。
「踊る~」シリーズとしてちゃんと観られるもの。
室井と新城のやりとりは俺は好きやし、沖田の変化も意外ではあったけどなんか好意的に見られた。
津田弁護士を演じる柄本さん、相変わらず良いねえw
名バイブレーターやわあw
なにより、「踊る~」の世界では和久さんは生きていた。
存在が袴田課長から示されるだけやけど、これにはなんか嬉しかった。
「疲れるほど働くな」、和久さんのお言葉、良いっス!(今回は出てこないけどね。)

でも、全体的に見ると、個人的にはやっぱり「踊る大捜査線」は本広監督の作品やったんやなあと思ってしまいました。
君塚監督は、本広演出を消そうと意識しすぎたんじゃないか?
そんな気さえしてしまったもんなあ…。
考え過ぎかなあ?
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