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映画好き、円柱野郎のブログです

読んだ本の感想あれこれ

2010年08月12日 23時55分36秒 | 本・雑誌
今日は最近読んだ感想を。

もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら
岩崎夏海 著 「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」

最初に「最近の」とか書いときながら、ずいぶん前に読み終わった「もしドラ」の感想から。
読後の感想を書いてなかったので一応書いときます。

まずは一言で言うと…、面白くなかった。

設定の目新しさは理解できるし、着眼点は評価するけど、いかんせんそれを表現する文章が小学生か中学生の作文みたいで俺には合いませんでした。
以前、まだ読んでいる途中の段階で「『~だ。』という言い切りがとても多くて、パッと見でどこかの誰かの作文みたいな文体が引っかかって仕方がないんですわ。」と書いたけど、結局最後までそれが引っかかったまま。
話は全然上手くできているとは思えませんでした。

というか個人的な好みの話なんだろうけど、主人公が女子高生で、難病で人死にが出てお涙ちょうだいのストーリーなんて、狙いすぎて鼻につく。
まあこの本の場合はドラッカーの入門の入門で、さらにたたき台として興味を持つ人のすそ野を広げたという点で価値があるのだと思うけど、実際俺が読んだ限りでは、中で紹介されるドラッカーのエッセンスが表面的なので、ストーリーは横に置いてもっと考え方を解説しろと思ったのも事実。
そうなるともう本末転倒だよねw
俺みたいな人間は、最初からマネジメントのエッセンシャル版を読んだ方が良かったのかもしれない。

結局、俺には著者の文章センス自体が最後まで引っかかった形なんだけど、別に「~だ」の言い切りだからと言って悪い訳じゃないはずなんだよなあ。
同じような文体でも主人公の主観で描いている小説などは読みやすいものもあるし。
この本の場合は完全に著者か神といった第三者の視点で語られているけど、その違いが文章の引っかかりに繋がっている?
いや、それ以前に文章能力だろうな。

同じ企画の本だとしても、もう少し著者に語彙や文章表現能力があれば面白く読めたかもしれないんだけどね。
もったいない。


小説家という職業 (集英社新書)
森博嗣 著「小説家という職業」

小説家・森博嗣氏が自身の経験から文字通り「小説家という職業」について書いた本。
著者が冒頭で書いていたとおり、所謂ノウハウ本ではありませんでした。
「こうすれば小説家になれる」という話ではなくて「私はこうして小説家になった」という内容。
氏のやり方をマネして小説家になれる人などいないだろうが、元々理系の人だから論理的で面白いねw
俺自身は今のところ小説家になろうなどとは微塵も思っていないので、氏の経験や考え方を客観的に読ませてもらいました。

プロたる小説家とはなんぞやという確固たるビジョンがある。
一般にイメージする芸術家としての“作家先生”像を否定し、金を稼ぐための物書きという職業としての小説家という考え方。
言われてみれば当たり前だわな。
仕事の姿勢から業界の批判まで、いちいちごもっともな話が展開されるので読んでいて小気味良かったけど、これは小説家という仕事に妙な夢を持っている人には全然向かない本だろうなあと思う。

「人に読んでもらいたいのが目標なら同人誌にとけ」とか
「読者の期待に応えるモノを書くことはしない」とか
「メジャーではなくマイナーを目指す」とか、
一見すると天の邪鬼なだけのようにも思えるけど、ちゃんと読めば筋が通っているのが面白い。

でもやはりこの本は森博嗣氏のやり方を紹介しているだけなので、参考になる人はなるだろうし、そうでない人は読む時間も無駄だろう。
考え方が違ってて参考にしようとも思わなければ、関係ないものね。


大阪ハムレット 3 (アクションコミックス) 大阪ハムレット(4) (アクションコミックス)
森下裕美 著「大阪ハムレット」3巻、4巻

「漫画アクション」に連載中のこのマンガ、俺は単行本で読んでるんだけど、3巻4巻を同時に買ったのでまとめて書きます。

この作品自体は関西の市井の人々の人生を切り取った、人情モノのお話が描かれてますが、これがなんともすごい。
様々な“個人的問題”を抱え込んだ人々の泣き笑いの機微がそこに描かれていて、人生の過酷さや素晴らしさが胸に迫ってくるんですわ。
これがまた、主人公が毎回違う1話完結モノで、長くても前後編2話で纏めるという構成力が見事。
実際には、世界観として各人物同士がどこかで繋がっているという地続き感があるんだけど、そこにも別の話では違った印象の人物の別の一面が描かれていたりと、実に深い。

森下先生というと「少年アシベ」が有名。
今は毎日新聞夕刊で「ウチの場合は」という日常漫画を書いてたりもするけど、そこから想像も出来ないくらい鋭い作風ですね。

この3~4巻では6つの物語が描かれるけど、特に3巻の「あいの探偵」の話は全体を通しての白眉かと。
愛情を求める人間の理由と執念をこれほどえげつなく、それでいて人情に切なさを感じさせもするストーリーにはもう本気で脱帽しました。
4巻の「おカアさんのいた街」も泣かせます。
ここまで“ある人生の断片”を感じさせる物語というのはなかなか読んだことがないですね。
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