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映画好き、円柱野郎のブログです

「虐殺器官」と「メタルギア ソリッド ガンズ オブ ザ パトリオット」を読了

2012年03月30日 23時51分32秒 | 本・雑誌
ひと月半ほど前に買った伊藤計劃氏の小説3冊の内、2冊を読み終わりました。

読書は主に通勤時間と昼休みの間…、と言っても電車に乗っている時間は正味十数分しかないので、ほんとに毎日少しずつ読み進める感じでした。
各小説のあらすじはAMAZONの紹介文などを参考にしてもらうとして、ここでは簡単な感想をば。

虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)
「虐殺器官」

「虐殺器官」はタイトルの"虐殺器官"という設定が話の根幹なのだけど、SFとしてのその世界観の構築が見事。
全くの絵空事というわけでもない、現実世界の延長(近未来)に"虐殺の文法"という1つのSF要素を入れただけで世界構造を俯瞰して描き切ってしまうという…。
この作者、デビュー作とは思えない筆力です。
基本的に世界に対して悲観的なのだけど、でも悲観性が物語としての熱になってる。
"どこかの戦争と、かりそめの平和"という「パトレイバー2」的なテーマも見え、作中で引用される映画ネタの数々も俺の趣味にハマったなあ。
特殊部隊員という主人公と、潜入作戦の描写などはかなり「メタルギア ソリッド3」だねw


メタルギア ソリッド ガンズ オブ ザ パトリオット (角川文庫)
「メタルギア ソリッド ガンズ オブ ザ パトリオット」

その「メタルギアソリッド」シリーズの4作目にあたるPS3用ゲームのノベライズ版が、伊藤氏の長編2作目の小説。
映画原作のノベライズは何度か読んだことがあるけど、ゲームのノベライズは初めて。
まあ「MGS4」は元々ストーリー…会話のボリュームが大きいので、文章へのし甲斐もあるだろうと思って読んだのだけど、普通にイメージするノベライズのしょぼさとは別格の、実に重厚な本になってました。
ゲームではサポート役だったオタコンを主人公にして、共に世界と戦い続けたスネークへの想いを描くことで実に深みが出ている。
ストーリーはかなり忠実(ボスキャラであるBB部隊が出ないというのはあるが)で、それどころか内包しているシリーズ1~3の流れを、原作ゲーム以上に表現したMGSファンとしても全く違和感のない内容。
作者がいかにMGSを…スネーク好きかというのが、行間からひしひしと伝わってきます。

ただ、長いシリーズの4作目だけの小説なので、そこまでの1~3を知っているのが前提として読んだ方が良いとは思った。
確かに作中で説明もあるのだけど、やはりそれだけではこの大河的シリーズの深みは受け取り方が変わってくると思うし。
でもファンであれば納得の作品ですよ、「こいつわかってないな」なんていう描写は皆無!


この「ガンズ オブ ザ パトリオット」の巻末にあるゲーム作者・小島秀夫の寄稿によると、本当はこの後に「メタルギア ソリッド3」と「メタルギア ソリッド ピースウォーカー」を合わせたノベライズを書いてほしいと思われていたそうです。
「3」と「PW」はこの「4」の主人公のオリジナルであるネイキッド・スネークの物語。
所謂エピソード・ゼロというやつだけど、これがまたゲームでは「3」がシリーズ中でも傑作なので、俺もその話を伊藤氏の文章で読みたかった…。

そう思うと、伊藤氏が早くに亡くなられたことは本当に残念です。
氏が遺した長編小説はあと1冊。
「ハーモニー」も読まさせていただきます。
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