カードを無くして見つかって。ww

お昼前に電話がかかる。

母からだ。

モゴモゴしている上に慌てているから、何を言っているんだか分からない。

何度も聞き返して、ようやく理解する。

先日買い物をした時に使ったカードが見当たらない、というのだ。

 

大丈夫、ちゃんとお財布に入れてたじゃない？

それがないのよ、全部探したけれど。

どうしよう、どうしよう・・・

もう母はオロが来てしまって、どうしようもない。ww

 

大丈夫、カードを利用停止にしたらいいだけよ。

それ以前に誰かが使っていても、保険がかかっているから問題ない。

 

それがないのよ、どうしよう、どうしよう・・・

 

嗚呼、負のスパイラルに入ってしまった。

昨日まであんなに楽しそうにしていたのに。

とりあえず、カードをとめた。

悪用されている形跡もない。

 

もう何も心配ないよ。でも万一カードが見つかったら、ハサミを入れて廃棄してね。新しいのは10日くらいで送られてくるから。

しかし母は、ブツブツとあそこを探した、ここも探した、あの時ああだった、この時こうだったと独り言のように呟き続ける。

 

ねえ、今日もヘアスタイルすごく素敵♪

ちゃんとセットしたんよね？

そう、髪にボリュームが出てすごくいいでしょ？

途端に、華やぐ母。

なんやねーーーん！！ww

帽子のことに話が移ると、途端に明るく饒舌になるのである。

老いてもやはり帽子は女の命なのね。ww

 

この表現、違和感満載だとお思いでしょう？

そう、何を隠そう、母の買った『帽子』とは、レディースアートネ○チャーの、ぽん、と頭に乗せるタイプのウィッグだったのだ。

頭に乗せるんだから、帽子と同じです、え、違う？ww

髪自体が痩せてボリュームがなくなってしまったことを、ものすごく気にしていたのだ。

禿げてはいない、綺麗な白髪だ、ただ地肌は少し透けて見える。

廉価なタイプからオーダーメイドの超高級版まで、値段を見せずに試着して、結局母の一番気に入ったのが、一番お安いタイプだったというラッキー。

 

近所でテイクアウトして持っていったカレーライスは、電話口の様子では食べられないかと思ったけれど、なんとかご機嫌を取り戻した母は、美味しい美味しいと食べる。今回も誤嚥なし。

カツサンドとカレーライスのフライ類はすべて私がいただきました。ww

 

 

夜になって、仕事中に電話が鳴る。

何かあったかと、慌てて出る。

 

カードあったんよ、もう一つのお財布に入ってた♪

 

お財布二つ持ってたんかーーーい！！

知らんかったし。

そのカードは直ぐにハサミを入れてね！と念を押して電話を切る。

昼から今までずっと探していたんだな、多分そうだろうとは思っていたけれど。

 

急になんだか切なくなる。

 

老母物語３連チャン、これにておしまい。