雲のむこうはいつも青空

まったりもったり~自閉症息子のいる暮らし@ちびくまママ

火事(その1)

2007年07月12日 | 「発達障碍」を見つめる眼
今日は午前中、保健センターで開かれた地元の親の会の月例会に
出席していました。
話し合いの合間に、ふと窓から外を見ると、我が家のある方向から
真っ黒な煙がもうもうと立ち昇っています。

そのうち、会場の近くにある消防署から、サイレンを鳴らしながら
消防車が何台も走っていくのが見えました。
「あれ、やっぱり火事なんだ~」
思わず声を出した私に、メンバーが一斉に窓の外を見ます。
「でもあれ、ちびくまママさんの家の方角じゃない?」
「そうなのよ、それで気になって。近くかなあ」

私がそう答えた途端、携帯が鳴りました。息子の担任、K先生からです。
「あ、おかあさん、今、そこのマンションからものすごい煙が
 出てますが、大丈夫ですか?」
ちびくまのいる障級の教室からは、うちのマンションがよく見えます。
反対に、うちのマンションからも中学校が良く見えるので、
私は時々、不審者よろしくバルコニーから双眼鏡で
プールを楽しむ息子の様子を眺めたりしているのでした。
「え?今、出先なんです。うちのマンションですか?まさか、
 うちの部屋じゃないですよね?」

実は、雨続きで洗濯物が乾かないので、今朝家を出る前に、
たまった洗濯物をリビングにずらりと干して、
その下で除湿機をフル稼働させてきたのです。
まさか、と思うけれど、家電の部品の不具合から出火した、という
ニュースは後を絶ちません。
もし、うちの家だったら、と思うと、背筋が寒くなりました。

「いや、お宅や、その上下ではなさそうです」との返事に、
とりあえずはほっとしますが
「でも、真っ黒な煙がかなり出てますし、消防車もかなりの数
 来たようです。それでお母さんが大丈夫かと気になりまして」

私はK先生にお礼を言って電話を切ると、すぐに家にとって返しました。
駐車場に車を入れることはできましたが、エントランスに向かうと、
そこには消防車が何台も止まっていて、まだ放水が続いているようです。
消防士さんたちだけでなく、おまわりさんの姿も見え、エントランスと
その奥のエレベーターは封鎖されていました。
あたりにはなんともいえないきな臭いにおいが漂っています。
そして、あちこちの廊下や階段には、マンションの住人たちが鈴なりに
なっていますし、私の後からも、外出先や仕事先からあわてて駆けつけた
らしい住人たちの数がどんどん増えてきます。
みな一様に不安そうな顔で事の成り行きを見守っていました。


9年目に解けた謎

2007年07月11日 | Wonder of Autism
無料動画配信サイトとして有名なYou tube
ちびくまはなぜかこのサイト検索の達人で、大好きなアニメの
外国語版だとか、よその国のCMだとか、お気に入りのビデオを
どんどん探し出しては、毎日楽しんでいます。

そんなちびくまが、今日何度も再生しては笑い転げていたのが
このビデオ(注:音が出ます)。
これは、私たちが米国に住んでいたころPBSというチャンネル
(日本で言うNHK教育テレビのような感じ)で放映されていた
"Puzzle Place"という小学生向けの番組のエンディング部分です。
そして、私にも何度も画面を示して、「どうだ、面白いだろう、
びっくりしただろう」と言いたげなのです。

まあ確かに、あの頃家ではちびくまの強いこだわりで、一日中
ずっとTVをつけておかねばならなかったので、せめて教育番組なら
さほど害はなかろうと、幼児向け・小学生向けの教育番組や
ニュース放送ばかりをつけていましたので、

"Puzzle Place"の番組自体には全く今日興味を示していなかった
ちびくまが、当時頻繁に耳にしていただろうそのフレーズを見つけて
面白く思うこと自体はさほど驚くことではないのだろうと思っていました。

ところが、ちびくまが言いたいのはどうやらそんな単純なことでは
ないらしく、私の反応を見て、いかにも不満そうなのです。
そのうち、自分が言いたいことを私がわかっていない、ということに
気が付いたらしいちびくま、にやっと笑うと、
「お母さん、『あ~そんで~で~』だよ」
あっ、と思いました。

まだ、アメリカの養護幼稚園に行きだしたばかりのころ。
ちびくまと私の言葉を介したコミュニケーションと言えば、
ちびくまが持ってくる絵本を読んでやることと、
ちびくまが私に言って欲しがるフレーズを
オウム返しに言ってやることくらいしかありませんでした。

そんなフレーズの1つに、「あ~そんで~で~IBM」と
いうのがありました。
「遊んで」という意味ではなさそうでしたが、どこが出処なのか
全くわかりません。当時私の使っていたPCがIBM製だったので
そのせいかとも思いましたが、なぜこういうフレーズになるのかは
全く謎のままでした。

でも、ちびくまが私に「あ~そんで~で~?」と
振ってきたときに、すかさず「IBM!」と返してやると
それはそれは嬉しそうな顔で笑うので、私は随分このフレーズを
口にしたものです。原因のわからないパニックで大泣きされたときや、
スーパーの床に大の字にひっくり返られたときにも、彼をなだめるために
何度もこれを繰り返しました。

「え?ちびくまくん、あの『あ~そんで~で~』って、
 このことだったの?」
ちびくまはまたクククッと笑って、「間違ってたね~」と一言。

つまり、このビデオに出てくる最後の部分、
"The Puzzle Place is supported by IBM."のフレーズが
当時の彼には「あ~そんで~で~IBM」に聞こえていて、
そのフレーズが彼のお気に入りになっていたのだ、ということを
9年後の今になって初めて彼自身が説明してくれたのでした。

彼がどうやってその動画を見つけたのか、意図的に探したのか、
偶然見つけたのか、探したのだとしたらなぜ今になって、
そしてどういう方法で探し出したのか、は依然謎のままです。

でも、昔、なぜなのかわからなかった謎をこうやって彼自身の口から
説明してもらえることが、これから段々に増えてくるのかも
しれない、と、ちょっぴり楽しみな気もしているのです。

初めての期末テスト(その2)

2007年07月01日 | 楽しい学校生活
すると、連絡帳の短い記述だけですばやく私の意図を察してくれたK先生、
2つ返事で次のようなスケジュールを組んでくれました。

27日 1限目:パソコン室でインターット
   2限目:数学(百ます計算:普段どおり)
   3限目:音楽のテスト(通常級と同じ問題で)

28日 1限目:国語(絵本の音読:普段どおり)
   2限目:K先生と2人だけでプール
   3限目:保健体育のテスト(通常級と同じ問題で)

29日 1限目:美術のテスト(通常級と同じ問題で)
   2限目:技術家庭のテスト(通常級と同じ問題で)
   3限目:障級1年生3人とK先生でプール

もちろん、ちびくまは大喜び。毎日楽しそうに、ニコニコ笑顔での
テスト期間と相成りました。

問題用紙・解答用紙は通常級と同じでも、受験するのは
障級の教室でK先生とマンツーマン、問題は本人が音読、
解答用紙の書き方や答え方を先生と一緒に確認しながら、という
変則的なやり方です。

テスト自体の出来は、答えられたのが音楽2問、保体2問、
美術は0問、と惨憺たるものでしたが(笑)、
技術家庭の、パソコンに関するところだけはかなり良い確率で
正解が出たようです。

今回のテストで、問題文自体は思っていたより理解できていること、
でも指定された解答形式を理解するのは難しいこと、
そして、通常級の授業で万遍なく情報を取り込むことは非常に
難しいのだけれど、自分の好きなこと、興味の向いたことだけは
きっちりインプットされているということがよくわかりました。

今回は生まれて初めてのぺーパーテストで、しかも半分も
授業に出ていなくてこれですから、今後授業にも出て、
テストにも慣れてくると、またちがってくるのではないか、というのが
K先生の感想で、「今後が楽しみですね」と言ってもらい、

テストの点数そのものには全く関心のない私も、
「テスト受けてみてよかったな~」と
すっかり嬉しくなってしまったのでした。