雲のむこうはいつも青空

まったりもったり~自閉症息子のいる暮らし@ちびくまママ

「らしさ」へのこだわり(その2)

2007年07月23日 | 「発達障碍」を見つめる眼
ちびくまが全く考えていなさそうなことを「ぼくは…と思います。
(ました)」と書いてあるのも、私にとっては違和感大有り。
「なんで、本人の気持ちの部分にまでずかずか踏み込むかなあ」と
いう感じです。

そもそもちびくまはいまだに自分の感情をしっかりモニターして
文章化できるスキルはありません。せいぜい「嬉しかったです」
「楽しかったです」ぐらい。

それも、本当に「嬉しかった」のかどうかもあやしいもので、
「作文指導」の中で、「自分の感情を書くように」と繰り返し
指導されるなかで身につけてしまった「処世術」のようなものです。
(彼は「きらい」「いや」「苦手」といった否定的表現が嫌いなので
 どうしても「楽しかった」「嬉しかった」と書いてしまうようです)

本当は全然違うことを感じていたり考えているかもしれないのに
大人に「○○と思ったんだよね」と言われてしまうと、
「そうなんだ」と思い込んでしまいそうなうちの息子に、

(ちなみに、こうした「思い込み」を自閉っ子に抱かせてしまう
周囲の「失敗」については、成人自閉当事者の方々が著書の中で
わかりやすく文章にしてくださっています。
例えば「自閉症だった私へ」(ドナ・ウィリアムズ)
「ずっと普通になりたかった」(グニラ・ガーランド)
そして、ニキ・リンコさんの最新刊
「自閉っ子におけるモンダイな想像力」、いずれもお勧めです)


ちびくま自身がどう感じたか、どうしたいと思っているか、を
時間をかけて慎重に観察し、想像し、探ってみることもしないで
「ぼくは○○しようと思います」と書かせるなんて、13年近く付き合った
母親の私でも「やってはいけないことリスト」のトップに
大フォントで書いておきたいくらいなのに…。

今のちびくまの素直な思い、今のちびくまのありのままの力を
反映したものでないこんな作文は、どんなに上手に書けていても、
私にはちっとも価値のある成果だとはと思えないんです。