雲のむこうはいつも青空

まったりもったり~自閉症息子のいる暮らし@ちびくまママ

喪に服する、ということ

2006年01月06日 | 時には泣きたいこともある。
祖母が亡くなったばかりだというのに、
例年通りにお正月を祝おう、と考えたのは、
変化を嫌う息子のためだけ、というよりは
「おばあちゃんが亡くなったのに、とてもそんな気にはなれない」
とは感じていなかったからじゃないかと思います。

私自身がもともと情の薄いタイプなのかもしれないけれど、
99歳という年齢で病院に入院することもなく、
普段どおりの朝、ほとんど苦しむこともなく逝った、という
その人生の終わり方はどこか「清々しい」ような気がしたのです。

最後に対面した棺の中の祖母は、白い着物に赤の袴を身につけて
(神様のもとへ行くので、巫女さんと同じなんでしょうかね)
化粧も要らないくらいつやつやのきれいな肌をして
安らかに眠っている可愛い小さなおばあちゃんでした。

もちろん、全く突然のことだったので驚きはしたけれど、
不思議に悲しくも辛くもありませんでした。
「向こうでも元気にやってね」というような、旅立つ人を
送り出すような感じ。もう会えないんだな、と思うと寂しいけれど

残された私たちが悲しみ続けているよりは、ニコニコ笑って
暮らしていれば、それが何より祖母への供養ではないか、と
思えました。

でも、そんな私にも「お正月を祝う気になどなれない」と思ったことは
あるのです。
1999年のお正月、息子が自閉症の診断を受けた直後のことでした。

このときは、年賀状をわざわざアメリカまで送ってくれた人たちの
心遣いが却って無神経に思えたし、毎日毎日泣いてばかりいました。
なんだか「すべてが壊れてしまった」ような気がしていました。
もう2度と幸せなんて感じられない、もう2度と笑うことなんてない、
そう思っていました。

喪中というならば、あの時のほうがふさわしかったかもしれません。
自分の手の中に変わらずいる息子を受け入れるために、
私は自分の頭の中にいた一人の子ども像とそこにつめこんだ
様々な思い全てを弔わなければならなかったのでした。

喪の期間、というのは、大切な人やものを失った喪失感や
悲しみと存分に向き合って、再び立ち上がるために
必要な時間なのかもしれません。
だとすれば、それは人によって1週間だったり、数十年にも
わたったりすることもあるでしょう。

今年も心から「おめでとう」と言えない気持ちで新年を迎えた方が
沢山いらっしゃることでしょう。
どうぞ存分に大切なものを悼む時間をおとりください。
そしてまた、あなたがたに暖かな陽があたるよう、
あなたがたに微笑が戻る日が一日も早くくるよう、
遠くからお祈りしています。

2006年スタート

2006年01月02日 | Wonder of Autism
ここにも書きましたが、昨年暮れに祖母が亡くなりました。
なので、今年はお正月のお祝い(年賀状・おせち料理・初詣など)を
控えるのがしきたりなのだそうですが、

「お正月」はこういうものだ、と信じているちびくまの
期待を裏切るほうがずっと大変そうなので、結局普通に
お年賀状も出し、おせちの用意もしてしまいました。
あのおばあさんなら、「ええがな、ええがな、生きてるもんが
ええようにしたらええんやが」とか言ってくれそうな気がして。

でも、喪中は神社の境内に入ってはいけないのだそうで、
初詣だけはやめておこうかな、と思っていました。

ところが。今日朝ごはんを食べ終わったちびくま、
こう言い出しました。
「おかあさん、ことしのランドセルは、いつ、かいにいくの?」
はあ?今年のランドセル…って?
話が読めない私に、ちびくまが続けます。
「おかあさん、ちびくまくんのランドセル、小さい
ランドセルついてるね」

それでわかりました。
彼のランドセルには、ランドセル型の交通安全のお守りが
下げてあるのです。毎年、M小の近くの神社におまいりに行った
帰りに買ってくるものです。

「ちびくまくんは、今年もランドセルのお守りが買いたいの?」
「うん。かいたい」
「じゃあ、行こうか」
「はい、何時出発?」

毎年何気なく連れて行ってた初詣でしたが、そのルーティンも
しっかり彼にはインプットされていたようです。

酒気帯びなので、バスを使って駅まで行き、そこから
神社まで歩きます。
私は一応神道のしきたりに従って、境内には入らず、
夫とちびくまと2人でおまいりをしてもらいました。
例年通りランドセル型のお守りもゲットして
ご機嫌なちびくま。
「おかあさん、かみさまおねがいします、のあとは
 どこへいくのかな~

初詣のあとはトイ*ラス、というのが毎年のコース。
「そう来たか~」とは思ったのですが、とりあえず
「ええ?どこへ行くんだったっけ?」ととぼけてみると、
「おかあさん、ほら、トとイと*とラとスの付くところだよ」
(なんてわかりやすい誘導なんだ)

で、お望みどおりトイ*ラス周遊の旅に出ました。
何時間も大喜びで見て回りはするけれど、
「買ってあげようか」と言っても「いい。いらない」と
言うのも、毎年のお決まりです。

結局例年どおりの初詣コースを完了したちびくま、
とても満足した風情で、帰宅するなり年末に買った
「おかあさんといっしょ」のビデオを見始めました。

普段、しきたりとか形式とか全くこだわらない生活を
していて、こんなときだけ付け焼刃でもだめってことですね。
まあ、我が家の場合、こんなもんでしょう。

なにはともあれ、

新年あけましておめでとうございます。

皆様のご健康とご多幸をお祈りいたします。
今年もどうぞよろしくお願いします。
平和で穏やかな1年となりますように。