雲のむこうはいつも青空

まったりもったり~自閉症息子のいる暮らし@ちびくまママ

講演会に行ってきました。

2006年01月15日 | 「発達障碍」を見つめる眼
神戸で開かれた、吉田友子先生の講演会に行ってきました。
吉田先生は、私の大好きな本、「その子らしさを生かす子育て」(中央法規)を
書かれた方です。

さすがに事前申込みで既に定員に達したとかで、会場は満員でした。
吉田先生は、テレビにもお出にならないし、著書にも写真が
ないのですが(先生のポリシーだそうです)書かれる文章から
受ける印象以上に、とてもたおやかで優しそうできれいな方でした。
凛とした強さ、とでもいうのでしょうか、何事にもポリシーを
はっきりさせて、誠心誠意向き合う方のようにお見受けしました。

およそ6時間の講演、聞くほうもお尻が痛くなりましたが
お話されるほうはそれ以上に大変なことだと思います。

私が先生のお話で一番印象に残ったのが「受動型のリスク」に
ついてのお話です。

受動型の子どもは、指示には従えるし、我慢もするし、
従順で「問題のない子」と考えられがちだけれど、それゆえに
限界まで行ってしまって、爆発することがあるのだということ。

最近の「発達障碍ブーム」(とあえて言ってしまおう)の中で、
「教室で問題行動を起こす子ども」にばかりスポットが当たりがちな
風潮があるなかで、教育・福祉の分野の人も沢山集まったその席で
「問題を起こさない子」の抱える辛さ、リスクについて
先生が言及してくださったことを、とても嬉しいと思いました。

ちびくまは、たぶん受動型です。もともと穏やかでおとなしい
性格でもあると思います。
でも、それゆえに、「手のかからない子」として放置され、
注意が向けられるのは「不適切な行為をしてしまったとき」しか
ない、というのが、通園施設時代、私の一番の不満でした。

おかげで息子は達成感も自己有能感ももてないまま、1年を
過ごさなければなりませんでした。
小学校に入って、息子を「ガラス細工」と表現してくれる先生に
出会って、とにかく丁寧に、本人の気持ちに沿って
支援してもらえるようになると、息子の表情は見る見るうちに
別人のように明るくなりました。
今の学校が息子にとって最も良いところは、「手のかからない子にも
きちんと手をかけてくれる」ということです。

ちびくまはいつも強い感覚過敏と不十分な言語理解の中で
周りを一生懸命見ながら周りに合わせて動こうとしています。
一見、「多少ついてこれないところもあるが特に大きな問題を
起こすわけでもない」子どもが、見えないところでどれだけ
頑張っているのか、そのことをわかってくれる人にでなければ
息子を安心して託すことはできません。

これから息子の進路を考えていくうえで、そのことに
気が付いてくれる人、環境に出会えればいいなあ、と思います。

私が大切に思っていたことを、第1線の先生に再確認させてもらった、
そんな感じがしました。
久々に「行ってよかった」講演会でした。

吉田先生の講演をお聞きになれる機会がありましたら、皆様もぜひ。
あくまで「当事者の気持ち」に寄り添った明快な論理と
ユーモアを交えた聞きやすいお話しぶりで、大変お勧めです。