雲のむこうはいつも青空

まったりもったり~自閉症息子のいる暮らし@ちびくまママ

楽しいお葬式?

2010年05月05日 | adorably autistic
今日は父の葬儀でした。無宗教の家族葬ということで
祭壇も遺影を山のようなお花で飾ってもらい、
読経もなく、クラシックをBGMに、
親族と40年住み続けた家のご近所の
方々にご焼香いただくだけの
シンプルでこじんまりした送りの儀式でした。

式後は親族だけでマイクロバスにのり、斎場へ。
バスの好きな息子は、嬉しそうです。
会場から斎場へ向かう道は、昔息子と共に
実家に居候して、そこから通園施設に通わせていたときの
スクールバスのルートでした。

そのことにすぐ気づいた息子、
「ねえねえ、おかあさん、この道、10年ぶりだねえ」と
しみじみと言います。
当時はまだニコニコとバスの座席におとなしく座っているだけで
言葉のほうも怪しかった息子でしたが、
あれから十年になることもわかっているんだなあ、と
なんだか私のほうもしみじみしてしまいました。

斎場で、棺が炉に入れられ、ガチャンと重い音がして
扉が閉められるのを見ると、息子は、
「おかあさん、あれ、エレベーター?」と
聞きました。
「うん、死んだ人の乗るエレベーターだよ。
 死んだ人をあの中で燃やすと、体がなくなって軽くなって
 煙になって空に登って神様になるんだよ」
そう説明すると、息子は「ふうん」とうなずきました。

その後は一度会場に戻ってみんなで食事をとり、
その後で母と弟と私の3人だけでお骨を拾いにいく
段取りになっていました。

会食に参加したのは母の姉(伯母)と兄(伯父)夫婦、弟(叔父)夫婦、
母と弟、私と夫と息子。
私たち一家と弟以外は全て60代と70代、という
平均年齢のものすごく高い会食です。

もともと知らない人と一緒に食事をするのが苦手な息子、
お膳も高齢者向きのものを選んであったのでどうするかと思いきや、
出された料理の中から自分で食べられそうなものを選んで
静かに落ち着いて食事をしていました。
やはり十年前、夫の父が亡くなったときには、
通夜や葬儀に出すのがはばかられる状態だったことを
思えば、やはり確実に成長しているのだな、と思いました。

会食も終わり、さてそろそろお開きにしましょうかというころ、
突然息子が言いました。
「お通夜もお葬式も、とっても楽しかったです。
 また来たいです」

すると弟が
「それは何より。だからといって、リクエストにお答えして
 頻繁に開けるもんでもないけどね」
とにんまり笑って答えたので、一同大笑い。

自分の親の葬儀で良かった~

息子にとっては、ほとんど初対面の年寄りばかりに囲まれ、
ただ静かに座っていなければならない席が、
楽しかったわけはありません。
でも、自分が招かれてここに来ていることと、
特別な意味がある会食であることはわかっていて、
精一杯の礼儀として「楽しかった」「また来たい」と
言ったのでしょう。

息子に障碍があることは親族はみなある程度
知っていることとは言え、息子のせめてもの挨拶に
うまく答えてくれた弟の機転をありがたいと思いました。

散会後、息子は「2日間、よく頑張ったご褒美」として
夫に、初めてのバス路線に乗せてもらって
大回りして自宅まで帰ったようです。
こちらは「本当に」楽しかったようでした。

ゴールデンウイーク中、バタバタで、息子に休日らしい
楽しみを与えてやることはできませんでしたが
せっかく慣れ始めた学校を一日も休むことなく、
連休明けからは何事もなかったようにまた登校できることも
ありがたいと思いました。父の、たった一人の孫に対する
せめてもの心配りだったのかな、という気もしています。

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