雲のむこうはいつも青空

まったりもったり~自閉症息子のいる暮らし@ちびくまママ

おむつばなれ(その2)

2006年08月03日 | Wonder of Autism
タイトルから推察できるとおり、今回もビロウな話ですので、お食事中には読まないでくださいね。

とうとう紙おむつが最後の1枚になったのは、交流キャンプに
出かける朝でした。
私はちびくまに「これで最後だよ」とそれを見せてから
荷物につめました。万が一おねしょをするようなことがあっては
いけないので、夜宿舎で履かせてもらおう、と思ったのです。

でも、翌日、ちびくまはそのオムツを未使用のまま持ち帰ってきました。
先生が忘れたのかはたまた必要ないと判断したのか、あるいは
息子が履くのを拒否したのかはわかりません。

そして、帰宅するとすぐ、履いていた布パンツを脱ぎ捨てて、
その紙おむつに履き替えました。
「ちびくまくん、それが最後のダイパーだよ」と声をかけると、
はっとしたように私を見ましたが、そのまま遊び始めました。

その夜、ちびくまがなんだかごそごそ家の中のあちこちを探っています。
「ちびくまくん、なにを探してるの?」と訊くと
「ダイパーがなくなっちゃったの」

私がまだどこかに紙おむつを隠しているのではないかと思って
探していたようです。でも、そんな中途半端な覚悟で、11年半も引きずった
強いこだわりに対抗できると思うほど、私も甘くはありません。
「ちびくまくん、さっき履いたのが最後のダイパーだよ。もうダイパーは
 おうちにはありません」

ちびくまはしばらく考えて「・・・ダイパーは廃車?」
彼は何かが使えなくなることを車にたとえてこう言うのです。
「そう、廃車になったね」
「新車はアンダーウェア?」
「そうよ」
「でも、ちびくまくんはダイパーがはきたいの」

彼が言葉で主張したことを無視することは滅多にありませんが
ここは頑張りどころ。
「アンダーウェアを履いてね」と布パンツを渡しました。

ちびくまはしばらく無言でパンツを見つめていましたが、
やがてそれをはくと、トイレに入っていきました。
便座に座ると、少しいきむ様子が見られます。
これまでちびくまは「大」はいつもオムツを履いてしていました。
でもどう探してもオムツが見つからなかったので、ついに諦めたのでしょう。

「わあ、ちびくまくん、トイレでうんちするの?すごいなあ、かっこいいなあ」
すかさず褒めにかかります。
気を良くしたのかちびくまも珍しく「うーん、うーん」と声をだして
いきみます。私も彼の前に立って、一緒に「うーん、うーん」
無事に排便できました。後始末はまだ難しいようなので、私が
介助します。息子は最後に水を流して、トイレから出てきました。

「やったあ、ちびくまくん、おうちのトイレでもうんちできたねえ。
 すごいねえ、さすが6年生だねえ、なんておりこうさんなんやろ、
 ちょっと抱っこしてもいい?」
私はひたすら褒めちぎり。息子はまんざらでもないような顔で
ちょっと私とハグをしました。

その翌日もまたその翌日も、ちびくまはひとしきり紙おむつを
探しては、「ほんとうにダイパーなくなっちゃったのかなあ」と
つぶやいていました。

でも、その夜、「おかあさん、なんだかお尻がむずむずするよ」と
言い置いてトイレに入ったのを追いかけていくと、またしっかり
「大」ができていました。
もちろん、今回も褒めちぎり大会です。

7月31日の登校日には連絡帳に事の次第を書いて、障担からも
「ダイパーなし」で過ごしていることを褒めてもらえるよう依頼しました。
障担はしっかり周りの子どもたちにもそのことを披露して、
みんなで拍手をしてくれたようです。

そして今日。ちびくまは4回目の「トイレでうんち」に成功しました。
まだダイパーに未練はあるようですが、夜の失敗も最初の1晩だけで
その後は早朝にトイレに走っていく姿も見られるようになりました。

どうしても本人にとって苦痛であるならば、もう一度ダイパーに戻すという
選択もあり、と考えてはいたのですが、この分ならなんとか頑張れるのでは
ないかと思います。本人に他のストレスが少ない夏休みを選んだのも
正解だったようです。

ちびくまのトイレットトレーニングは、結局長い長い「待ち」の集大成でした。
焦らずせかさず、でも諦めず。子どもを信じてじっと待つことも、
時には成長のために必要なのだと思います。
何ヶ月も何年も辛抱強く待ちながら、わずかなチャンスを見逃さないように
じっと見続けていること、ちょうどいいタイミングでちょうどいい強さで
子どもの背中を押すことは、親だからできることかもしれません。

でも最終的に頑張ったのは息子。だからこれは「おむつはずし」ではなく
「おむつばなれ」です。
ちびくまが、また1つ大きな自信を抱えて2学期を迎えることができるよう
願ってやみません。