「あの方どうしてるかな?」
ふと思ってグーグルで検索してみました。
すると、その方の名前の前に「訃報」の二文字。
信じられない思いでいくつかの記事を確認するも、
やはり私が検索結果を求めたあの方でした。
いろいろな経験や知識をもって
今の私に少なからず影響を与えてくださった方。
飲んだワイン、食べた料理、
そして聴いた音楽などが
堰を切った様に記憶の湖から川へと流れ込む。
水を掬い上げる様に手のひらを浸すけれど
指の間から溢れだす珠玉の記憶。
疎遠になったのは当時の私のせい。
もっとお話したかった、
と悔いても今となっては叶わぬ想い。
記憶の中のあの方は
鹿爪らしくワインを飲んだと思えば、
スピーカーから流れるクラシックに
エアーコンダクトで鼻歌まじり。
ご冥福…という言葉がピンとこない。
むしろ想い出は鮮やかな色を帯びるばかり。
悲しみよりも困惑の午後。