コキュートスの記憶

日々の出来事とか戦果(買い物)とか。
主にガンダムを中心にしています。

エニグマ始動 part1

2014年06月03日 | ゲームブック
今週から完結編のエニグマ始動に入ります。

001:
「セルゲイ、ちょっと来い!」
振り向くと軍曹が手招きしている。キミは、今開けたばかりのCレー
ションを塹壕の縁に置いた。他の分隊長と一緒に地図を広げた小隊長
を囲んでいる軍曹に向かってノロノロと歩き出す。
つい20分程前までは怒号と銃声に包まれていた周囲は、今は静まり
返り、小鳥の囀る声さえ聞こえる。束の間の休息を貪ろうとする兵士
たちはさっきまで閉じ込められていた塹壕の縁に腰かけ、食事を摂り、
マリファナ入りの煙草を吹かし、思い思いの方法で来るべき次の試練
を忘れようとしている。
キミが敬礼すると、小隊長は黙って地図上の一点を指し示した。
「我が中隊は明朝までここに留まる。野営に入る前にこの先の森の様
子を探っておきたい。斥候に出てくれ」
「明日まで動かないつもりですか?夜までにはキエフは陥ちますよ」
軍曹がキミを睨みつけた。余計なことを言うな、という意味だ。
「それは我々の仕事じゃあない。左翼の機甲大隊が前進を開始する。
我々はその側面をカバーするという訳だ」
キミは黙って頷いた。
「5分後に出発。10:00時までには帰隊しろ」
敬礼、回れ右で装具を取りに塹壕に戻る。食べ損ねたCレーションの
シチューが旨そうな匂いを放っていた。

宇宙におけるネオジオン勢力が崩壊した後、地球に降下していた部隊
は連邦、エゥーゴ同盟軍の猛攻に晒された。宇宙からの補給に全面的
に依存していたネオジオンは、十分な兵站を整備する時間も与えられ
ぬまま、各地で撃破されていった。5月までにアフリカのジオン勢力
は消滅、7月にはシベリアも「解放」され、ジオンは黒海沿岸からキ
エフに至る狭い地域に追い込まれた。
半年近い間、キミは1人の少女の行方を追い続けていた。少女の名は
ミディ=ホーソン…キミを慕うナオミ=ワタセを精神操作で植物人間
にしてしまったネオジオンの軍人だ。ナオミは今もミンスクの病院の
一室で眠り続けている。
やっとのことでミディの部隊がキエフにいることを突き止めたキミは、
同盟軍に志願し、現地徴用兵として連邦軍に入隊した。袖の下、鼻薬
を駆使して配属先を第123機械化歩兵師団とした。もちろん、この
師団がキエフ攻勢に参加することは確認済だ。
同盟軍のキエフ攻勢は8月19日に開始され、3日後にキエフは完全
に包囲された。そして今、北と南西の機甲部隊がキエフ郊外15キロ
の線から前進を開始した…。

小隊長が地図で示した森まで来た時、樹々を揺るがして頭上を何かが
飛び過ぎて行った。見上げると、対地ロケットポッドを重そうに装備
し、同盟軍のカラーリングに塗り替えられたザクⅢがドダイ改に乗り、
市街地の方向に飛んで行く。ザクⅢ─ヘクタ・ドナ社のZシリーズ(
汎用)の機体である。激しい消耗に補給が追いつかない最前線では、
捕獲したジオンの機体が大量に使用されている。
機甲部隊が市内に突入し、市街戦が開始されてしまえば、ミディを捜
し出すのは困難になるだろう。キミは半月間世話になった中隊のいる
丘を振り返り、そして、キエフ市を目指して歩き始めた。もう連邦陸
軍二等兵、セルゲイ=イワノヴィッチ=マミヤという仮面は要らない。
森が尽きようとした時、強い異臭が鼻を突いた。広い街道に出たキミ
は、その源を悟った。4車線の道路には大小のクレーターが穿たれ、
ジオンの軍服を着た数十の死体が散乱していた。血に塗れたアスファ
ルトが夏の陽光に晒されて陽炎を立てていた。敗走中を襲撃されたの
だろう、森へ逃げ込む暇もなかったらしい。
キミは連邦軍の軍服を脱ぎ捨て、一応マトモな外見を保っている死体
の軍服と交換した。余り気持ちの良いものではないが、市内に潜り込
むためにはやむを得ない。
※士官と兵卒の軍服のどちらかを選ぶ。

道路から少し離れた所に投げ出されていたバイクを引き起こす。
今いるのはキエフ市の南、ドニエプル川沿いに下って20キロ程の筈
だ。この街道はキエフ市まで真っ直ぐ湿地帯を突っ切って走っている。
・ドニエプル川を泳ぎ、キエフ市まで行く:208
・この街道を直進する:160
・湿地帯を避け、西に迂回する:007
結局、街道を進むことになるので、160を選択します。
ちうとこで、次回に続きます。
コメント (2)
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