1969年に森山良子さんが歌った「思い出のグリーングラス」は、中学校卒業後、高校の寮に入り、その後、あっちにふらふらこっちにふらふらしていたF老人に故郷の田舎町を思い出させるロマンチックな歌としてこころにしみるようでした。
汽車から降りたら 小さな駅で
むかえてくれる ママとパパ
手をふりながら 呼ぶのは
彼の姿なの
思い出のグリーン・グリーン・グラス・オブ・ホーム
帰った私をむかえてくれるの
思い出のグリーン・グリーン・グラス・オブ・ホーム
昔と同じの 我が家の姿
庭にそびえる 樫の木よ
<a href="http://www.3131.info/%E6%A3%AE%E5%B1%B1%E8%89%AF%E5%AD%90/%E6%80%9D%E3%81%84%E5%87%BA%E3%81%AE%E3%82%B0%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%82%B9/">思い出のグリーン・グラス 歌詞<a> - <a href="http://www.3131.info">J-POP 歌詞<a>
子供の頃に のぼった
枝もそのままよ
思い出のグリーン・グリーン・グラス・オブ・ホーム
悲しい夢みて 泣いてた私
ひとり都会で まよったの
生れ故郷に 立ったら
夢がさめたのよ
思い出のグリーン・グリーン・グラス・オブ・ホーム
笑顔でだれもむかえてくれるの
思い出のグリーン・グリーン・グラス・オブ・ホーム
都会での暮らしに疲れた人が故郷に帰って癒されることを歌ったほほえましい歌ー誰だってそう思うでしょう。
一方、アメリカでは前年に森山良子さんとは似ても似つかないイギリス人の歌手トム・ジョーンズが歌ってヒットしていました。それはまったく意味の違う歌だったからです。
その歌詞は次の通りです。
The old home town looks the same, As I step down from the train,
汽車を降りると、懐かしい故郷 その様子は変わっていなかった
And there to meet me is my mama and papa
そこにはぼくを迎えてくれるママとパパがいる。
Down the road I look and there runs Mary
道の向こうに目をやると、メアリーが駆けてくるのが目に入る
Hair of gold and lips like cherries
金色の髪とチェリーのような唇をして
It's good to touch the green, green grass of home
たまらんなあ、故郷の緑鮮やかな草に触れるのは
Yes, they'll all be there to meet me,
そう、みんながぼくを迎えてくれる
All creatures smiling sweetly
あらゆる生命が優しい笑顔を見せてくれる
It's good to touch the green, green grass of home
たまらんなあ、故郷の緑鮮やかな草に触れるのは
The old house is still standing,
懐かしの家はまだ建っていた
Though the paint is cracked and dry
でも、ペンキはひび割れ、ひからびていた
And there's an old oak tree that I used to play on
よく木登りして遊んだ懐かしい樫の木もある
Down the lane I'll walk with my sweet Mary
あの小径をぼくは一緒に歩いてみよう、あの可愛いメアリーと
Hair of gold and lips like cherries
金色の髪とチェリーのような唇をした。
It's good to touch the green, green grass of home
たまらんなあ、故郷の緑鮮やかな草に触れるのは
Then I awake and look around me
そうしているうちに、ぼくは目を覚まし、あたりを見ると、
Cold gray walls surround me
冷たい灰色の壁がぼくを取り囲んでいる
And I realize that I was only dreamin'
それでわかったんだ、ぼくは夢を見てたんだと
There's a guard and there's a sad old padre
そこには看守がいるし、悲しげな顔をした年老いた牧師もいる
Arm and arm we'll walk at daybreak
夜明けになれば、ぼくは両腕をとられて歩かされるだろう
Again I'll touch the green, green grass of home
もう一度、ぼくは故郷の緑鮮やかな草に触れることになるだろう
Yes, they'll all be there to meet me
そうさ、みんながあそこでぼくを迎えてくれる
In the shadow of that old oak tree
あの懐かしい樫の木の木陰で
As they lay me beneath the green, green grass of home
故郷の緑鮮やかな草の下によこたえ、ねかされるこのぼくを
そうなのです、この歌は死刑される寸前の犯罪者が見た夢の話だったのです。死んだあと、故郷に葬られるであろうことを歌ったのです。それをロマンチックなものに仕上げる平和の好きなフォークシンガーさんたちの定見のないいい加減さに唖然としたものです。
臭いものにはふたをして、他のことはどうなろうと心地良いものだけを相手にしていればいいーつけはたまるばかりです。