F老人の気ままな島暮らし日記

尾道市生口島で気ままな島暮らしの日々。

読書記録063「桑港にて(植松三十里)」

2012年05月15日 09時35分55秒 | 読書記録

植松三十里さんの「サンフランシスコにて」のオリジナルバージョンの「桑港にて」を読みました。改訂版のほうがエピソードが多く臨場感がありました。

後半は「燃えたぎる石」で幕末黒船を見てその燃料である石炭の供給に目を付けた常磐炭鉱開発・石炭業の祖と言われる片寄平蔵という人の物語です。

石炭が豊富であったことが日本経済の発展に大きく寄与した時代がありました。幼いころ落盤事故と労働争議が大きく報道されていた記憶があります。また一時、石炭の液化が盛んに行われていたことも思い出されます。現状はどうなのでしょう。原油価格の上昇と不安定さからみれば商機はあるのではないでしょうか。

片寄平蔵は現在の福島県いわき市内郷白水町で石炭の露頭を発見し、幕府海軍に納入。その後、開港間もない横浜で各国の船に石炭を供給する商店を経営し、四倉港(小名浜港の北にある漁港、津波で大きな被害があったそうです。)の築港などの社会貢献にも熱心でした。商人としての成功を妬み、外国船へ石炭を供給することをよしとしない攘夷浪人の襲撃にあい命を落とします。昔、野毛山に平蔵を祀る「片寄神社」があったそうです。いまではどこにあったかもはっきりしないようですが。

また、一人素晴らしい人を知ることができました。機会があれば、いわき市の弥勒沢という最初に石炭を採掘したところに行ってみたいと思います。

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