ジェンダーから見るカンボジア

南国のカンボジアからの日記、ジェンダー視点でカンボジア社会を分析します

女性への暴力を容認する社会

2016年04月30日 | 疎外化された女性たち

「女性がレイプされたって訴えたら、ほんとはセックスしたかったんだろう、セクシーな洋服を来てたんだろう、とか逆に批判されるのはなぜか分析しなさい」という問題を期末試験で出してみた。回答は、ざくっと以下の通り。 ちょっと勘違いというか、的を得てないない回答もある。


↓イーサンの飲茶、上の子の注文はなかなか適切だった



男性

ーセクシーな洋服を着ている女性は下品な女性だから、特に夜セクシーな洋服を来て歩いていたら、セックスしたいってアピールしていると思われる
ー一般的にカンボジア社会は女性に価値を与えないから、女性は着ている洋服で差別される
ーセクシーな洋服を来ていると差別されて偏見を持たれるとわかっていてもセクシーな洋服を着る女性に問題がある
ー女性は男性と同じ権利を持たず差別されているため、男性は複数のパートナーを持ってもいいが女性が同じことをすると批判される
ーちゃんとしたカンボジア女性は、家庭にとどまって料理や家事をし、セクシーな洋服を来て外出するべきでない
ー女性は夜に一人で歩くべきでなく、セクシーな洋服をきて外出するべきでないため
ー教育レベルが低いため、男性たちがセクシーな洋服を来ている女性をレイプしてもいいと考えている
ー女性は夜に外出するべきでない
ーもし「良い女性」であれば、男性がレイプすることはない
ー女性に価値がないと思っている男性が多く、セクシーな洋服を着て歩いているような女性はレイプしてもいいと思っている
ーセクシーな洋服を着ることで、女性は自分の尊厳を失っている。そういった女性は、男性に自分を見下して欲しいっていうメッセージを送っている。もし男性に本当に愛されたいなら、貞節な洋服を着るべきである。(僧侶の意見)
ー女性は自分が良い女性であることを示せられるようなちゃんとした洋服を着るべきである



↓日本の焼売とはちょっと違って、もちもちしてておいしい



女性
ー男性は欲望を抑えられないから、セクシーな女性をみるとレイプする
ー男性に注意を向けられないようにシンプルな服を着るべき
ーレイプされた女性は一生差別に苦しむだけでなく、家族も非難されて差別される
ーセクシーな洋服を着る女性は、「良い女性ではない」ため、レイプされても仕方ないと社会が偏見を持っている
ー男性が権力を持つ社会なので、男性は何をしてもいいと思っていて、女性に暴力をふるってもいいと考えている
ー妻は夫に養ってもらっていると思っていて、自分は何もできないと思っているから、女性が暴力の被害にあっても仕方ないと思っている
ーセクシーな洋服を着る女性は、「売女」だとみなされるため
ーセクシーな洋服を着ることでその女性は男性をセックスに誘っていると思われる
ーYoutube やFacebookでポルノが出回っていて、男性たちが同じようなことをしようとしているだけ(注:セクシーな洋服を来ている女性をレイプして女性が喜ぶっていうポルノがあるのだろうか???)
ー女性が暴力などの被害にあったら、女性自身がちゃんと伝統的な振る舞いをして自分を守っていなかったと批判されるため
ー女性が外出する際には両親の許可をとるのが普通であり、セクシーな洋服を来て出かけることは不可能、したがって、セクシーな洋服を来て出かける環境で生活していることが問題である
ー女性は立ち振る舞いで評価されるため、セクシーな洋服を来て下品な振る舞いをしている女性は、レイプされても仕方ないと批判される
ーレイプされる女性は、女性が十分に注意を払っていなかったから女性に非があると社会が考えている
ーカンボジア社会は「処女」を重要視する社会なので、女性自身が自分を守るべきである
ー「ライオンは目の前にある餌にとびつく」という諺通り、欲情を抑えられない男性を止めることはできない、つまり女性が批判される社会基盤となっている
ー女性は価値がない生き物だと考えらえているから




ある女子学生(シエムリアップ出身)は、「宿題をみて、ネットを調べたら、レイプ事件はたくさんあった。Facebookのコメントもいろいろあって、その中には、女性側を批判するものがたくさんアップされていた」男性を批判するコメントはなかったそう。また別の女子学生もネットで調べてみると、「レイプ事件はたくさん報告されているけれど、たいていがお金で解決していて、政府は加害者をちゃんと処罰していない」。

意見をまとめていて、なんとも複雑な気分・・・・多くの女性が、「セクシーな洋服を着る自由があるべき」とも述べているけれど、セクシーな洋服を着る女性は悪い、っていう意見も同様にもっていて回答が錯綜している。男性側は、女性は家にいるべきや夜外出するべきでない、と、典型的なレイプ神話に凝り固まっているのであった・・・・

↓「あ!!!」って、発想の転換がほしいなあ









夜のオンナはいくら稼ぐか

2016年04月29日 | Japanese Books


いつだったか、一度読んだことがあった夜の世界の経済、今ちょうどセックスワーカーのことを分析しているので再読してみた。



仕事がちょっと谷間なので、やる気もでないし、なんだか飲み歩いている今日この頃・・・・やることはいろいろあるんだけれど、子どもの学校のこととか、成績の苦情の嵐とか(なんでこんな低い成績なの???って苦情)、まあ大事なことだけれど自分の仕事ではないことで忙殺されてるのであった。

↓夕方の経済、ハッピーアワーは5時からで残念だったのだがしっかり飲んだのであった


門倉さん、エコノミストだそうで、いろいろ計算しているんだけれど、どの程度信ぴょう性があるんだろう・・・・ざくっとあってればいいかって気もするけれど、何兆円とかの話を推計しているのでちょっと規模が大きい。

カンボジアやタイの人身取引問題や、日本で働く外国人に人身取引の被害者が多いことも触れていて、なかなかちゃんと調査しているなって思う。

↓タイヤがパンク・・・・暑すぎ??ありえない〜


セックスの値段を比較していて、数万円の日本と、ガクッと値段が下がる諸外国・・・・・カンボジアは1回500円。門倉さんに教えてあげたい・・・・セックスの値段って、その国の女性の地位を表していると思ったりするんだけれど、日本でも女性の地位は低いから、簡単二はそう言えないかな?でも、一回のセックスが、バーのカクテル一杯の値段だものなあ・・・2005年にはビール一杯とセックス一回が同じだったから、まあ、インフレにあわせて、値段が上がってるのはまちがいないかな?



人を助ける仕事

2016年04月28日 | Japanese Books


ルポを読んで、自分の調査手法を向上させるのを目指しているのだけれど・・・・



江川紹子さんが、とっても短い文章で、誰かを助ける仕事をしている人たちへのインタビューをまとめている本。



カンボジアで義足を作っていた人もいるけれど、介護の関係がとっても多い。人を助ける仕事って、自分を助けることにつながっている、って多くの人が言っていたそう。えらいな、って単純に思う。自分のことだけで精一杯だったり、お金儲けで必死だったり、なかなか誰か他人を助けることを仕事にするって、利益がそれに見合うくらいないとできない気がするけれど、本に登場する人たちは、みんな楽しんで人助けをしてる。


カンボジアにも、こういう若者が増えていくといいな。生活レベルが向上してくるとそういう余裕もうまれるかな。



ローラ、叫んでごらん

2016年04月27日 | Japanese Books


「ローラ、叫んでごらん」は、実の両親にフライパンで焼かれて大やけどをおった少女に根気よく治療をした精神科医の実話。




アメリカで実際にあった話を本にしたもので、精神を病んでてアル中の両親に、泣くのがうるさいから、ってフライパンの上で焼かれているとこを発見されたのが、ローラが1歳半の時。


↓飲み過ぎをやめないと・・・って思いつつ、どうもやめられない


親から引き離されて、病院で治療をうけながら4年過ごし、そのあとはクリスチャンの施設でシスターたちといっしょに育てられたローラ。話すこともできなかったんだけれど、精神科医のおかげで、看護婦になるところまで社会復帰する。

↓子どももいっしょにバーへとお出かけ、店員さんたちの子どもがいてアットホームなバーなのであった


↓ジャガイモ、切りました!!揚げました!!ってかんじのフレンチフライが、ほくほくしてておいしい


ローラへの虐待はひどいと思うけれど、この本で感動的なのは、シスターたちの熱意と忍耐、それと、精神科医の負けず嫌いなんじゃないかと思わざるを得ないくらいの治療へのこだわり。人を助ける仕事、って、自分が学ぶことで、自分を助けることだって、思ったのである。


月の街 山の街

2016年04月26日 | Japanese Books

相変わらず、韓国大好き。「月の街 山の街」は、仁川へのフライトで読もうと思って、芸能人が翻訳したっていうのに惹かれて、持参してみた。


短編小説ばかりで、玉石混淆というのか・・・・心を揺さぶられる話もあるし、さっと読み飛ばす話もある。



韓国って、日本と同じような文化背景を共有していて、Humbleであることが美徳となってるなって思う。相手が気づかないように、ひっそりと優しさを見せる、そういったところって、カンボジアにもあるような気がするけれど、どうだろう・・・