ジェンダーから見るカンボジア

南国のカンボジアからの日記、ジェンダー視点でカンボジア社会を分析します

カンボジアでの2020年は「メンタルブレイクダウン」

2020年12月31日 | COVID 19の影響

2020年は、誰もがコロナで人生が変わった経験をしたかなと思う。

今年を振り返ると、カンボジアで頻繁に聞いた単語は、「メンタルブレイクダウン」。
4月に元学生がメンタルブレイクダウンを起こしたのを開始として、学生の何人がメンタルブレイクダウンを起こしたか・・・
両親と自宅にいないといけないって言うのが、相当ストレスなんだなと思った。

12年生の卒業試験がなくなって全員合格した時、ある女子学生に聞いてみた。
彼女は、一昨年卒業試験に落第して、苦労して12年生をもう一回勉強して合格して、うちの大学に来た。
「どう思う?」って聞いたら、「実は弟が12年生で、卒業試験を受けなくて良くなった、まあいいんじゃないかと思う」とのこと。
「でも、弟はメンタルブレイクダウンを起こしてて、喜んでない、引きこもってる」のだそう。

↓年末最後の買い物は、イギリスから届いた・・・・・



カンボジアでは、メンタルヘルスケアはとっても遅れていると思う。
アシスタントが、「妹が2ヶ月で流産して、今回すでに2度目なので、もう子どもができないかもしれない。心配だから村に帰る」って連絡してきて、「他人のことより自分の彼女のことを心配しろ」と思ったのである。でも、妹にしたら、情報がいまいちないなか、さらに長くカジノで働いていたって言う経験があるから、いろいろ不安らしい。でも、兄がそんなこと心配するか?夫が一緒にいればいいんじゃないの?


家族との時間がポジティブに過ごせるようになった

2020年12月30日 | COVID 19の影響



コロナのせいで、お客さんがいなくなって閉店に追い込まれそうなお店がたくさんある中で、あるカンボジア人男性経営者がラジオで発言していた。


「コロナのおかげで、家族との時間がポジティブに過ごせるようになった。」

ポジティブというのがどういう意味か不明なのと、女性(妻)の側でも同じ印象なのかは疑問だが・・・・

↓コロナ第一波3-5月ごろ、3人で1日中過ごしていたのが遠い昔のよう・・・



カンボジアでは、経済的打撃は大きいのに、家庭内暴力が増えたという報告もないし(減ったというコミューンの人たちの発言は結構聞く)、自殺も増えていない。

でも、ずっと家にいたらストレス溜まると思うのだが、若者以外にはあまりストレスを感じでない様子。

日本では、アンケートに参加した人の半数以上がコロナが始まってから、健康面で不安を感じたことがあるそう。
半数くらいが感じていない方がびっくりなのだが。

ストレスが溜まったり減ったりとややこしいテレワークなんて、カンボジアでは1%くらいの人口しか関係ないだろうし、農業従事者は淡々と働いている。

結局、ワクチン購入のために政府に何億円も寄付できる大金持ちが数名いたりして、人口の1%くらいはそういう超金持ちなんだろう。
(私もカンボジア人の知り合いからSKIIを買ってきてくれと何回頼まれたか・・・・カンボジア人金持ちなのである)
多分5割くらいは平均的家庭で、コロナで困るけれど、まあ生きていける環境。そもそも現金は持ってないという意味で「貧乏」なのだ。
問題は、社会の底辺にいる1−2割の人、特にそう言う家庭の子どもたちだろうか。

2021年は、スラムのあたりに住んでいる子どもたちを対象に、学生を動員してエンパワーメント活動を展開する。
家庭環境が悪かったり、アル中や無職の大人たちと一緒に生活する子供達。
立派な大人(モデル)のいない貧困環境で育つ子どもたちを、ちょっとでもエンパワーできるといいな。










新しいミシン

2020年12月29日 | COVID 19の影響
50年以上使っていたミシンが調子悪くなったらしく、母親が新しいミシンを買った。

JANOMEにいる79歳のおじいちゃんの整備士さんが家にミシン修理に来てくれて、これは昔のですねーって言いながら修理してくれたのだけれど、古すぎてダメだったみたい。
ブラウンカフェにあるような素敵なクラシックのミシンで、ぜひ将来レストランとかで置きたい感じの、レトロ感あふれるミシン(30年以上物置台になってた)。



私も毎年積み立てでミシンを買ってもらう予定があったはずだが、確か3年くらいで解約したはず・・・
昔は毎月数千円積み立てして、5年とか支払う頃が成人の時期になってて、成人か結婚くらいの時期にミシンを買ってもらうのが当たり前だったのだ。
(ミシンなんていらないって解約してもらった記憶が・・・・・)


私は手縫いでマスク作成に励んでいたのだが、あまりもたくさんのマスクがある。
自分で作ったのでも大量なのに、まあ色んな人がマスクをくれるのだ。

大学の講義で、学生が発表中にこちょこちょ内職するのにちょうどいいのがマスク作成で、また来年になったら講義は発表が続くのでマスク作ろうと大量に準備中。





とりあえずお金を借りて・・・・

2020年12月28日 | COVID 19の影響


ある50歳くらいの田舎に住む女性、お父さんを昨年亡くして、たった一人で生活している。
カンボジアにいた際に仕事先で出会ったので、話を聞いた。

コロナのせいで、3万円ほど借金をしたそう。
ただ、銀行とかからではなくて、その地区にある自助組合みたいなグループから借りていて、毎月25ドルほど積み立てしているそう(なので借りたお金からもこのお金を払う)。

3万円の借金は、とりあえずの生活費と、近所の人のお葬式だか何かの参加費と、「不安だから、現金を持っておきたくて」。
うーん、このロジック。わかるようで分からない。

確かに、私も不安でちょっとだけ現金で持ってたが、必要以上に借りようとは思わないなあ。
だって、不安は解消されたとしても、利子を払っていかないといけないから、それも3000円ほど毎月の利子。


↓ベトナム国境から数キロの町で見た、昼間から賭け事をやっている女性たち



この女性は収入がゼロになったので、「どうやって生活してるの?」って聞いたら、炭になる木を集めているそう。
彼女の住んでいる周りには、沢山木があって、それを採って、買い手が来たら売るらしい。「1日で五百円くらい集められる」そうな。
それでも、お金を借りるのだよな・・・・

このメンタリティ、よく分からない。

「一人って、辛いわよ、寂しい」と何度か言った彼女。
きょうだいは全員結婚していて、自分だけ、父親の面倒を見るためなのか、両親のためか、結婚しないまま歳を重ねたらしい。

私の周囲には、沢山一人の女性がいるのだが、みんな強いよな。









靴を履いてない子どもたち

2020年12月26日 | カンボジアの子どもの権利

カンボジアの地方に行くと、靴を履かずに学校に行ったりしているこどもがいる。
家の周りで裸足の子どもや、裸の子どもまでいる。


↓歳の末に靴の買い出しにお出かけ、靴を気に入ってすぐに履いた上の子(5CMくらいヒールあり?)


近所の人で海外生活が長かった人に、「カンボジアはコロナって言ったって、あったかい国だから餓死する人はいないでしょう」と言われた。

11月にクラチェに出張した際、事務所にあったバナナに目をつけたら、「近所でとって来た、どうぞ」って束でもらった。
そうなのだ、確かに、本来ならクメールルージュみたいなことはあり得なかったはず。

でも、今回のコロナで、餓死する人はいないんだろうか。

11月に調査員が実施してくれた調査を読んでいると、女性が食べ物を我慢している話が出てくるし、私がインタビューしたNGOの職員も「女性はまず夫に栄養のあるものを出し、次に子供にだし、自分は最後」って言ってた(夫が最初っていうのはカンボジアらしい)。

↓カロリー高そうな、イタリア人が販売してるフレンチフライを食べた二人


日本にいると、若い世代はお金持ちが多く、それ以外は高齢者ばかりの地区にいるせいか、貧困が身近にない。
子どもたちにとっては、多様性を実感できない環境だなあと思うのである。