ジェンダーから見るカンボジア

南国のカンボジアからの日記、ジェンダー視点でカンボジア社会を分析します

コロナだから田舎に帰りたい僧侶たち

2021年02月28日 | カンボジアの子どもの権利
14日間の学校閉鎖や、イベントなどの開催中止期間。
うちも大学が閉鎖となり、教室でクラスをしていた講座は全てオンライに変更。
子どもたちが可哀想だな・・・でも仕方ないしな・・・と思っていたら、身近にとても困っている人間がいた。若い僧侶たち。

若い僧侶で仏教に帰依している男子なんていないから、みんな貧乏で実家にいられなくて仕方ないから、とりあえず出家して寺に住んでいる。
(だから僧侶をやめる時期を決めていたり、やめたら何をするか決めている僧侶がほとんど)
そうなると、この14日間の都市閉鎖は、「托鉢に行けない」事態で、ずっと寺にいてもつまらないし、何もすることがないのだそう。
アシスタントの僧侶が「実家のあるクラティエに戻ろうかなと思う、寺にいても食べるものがない」。
「PCR検査受けてからじゃないと、おばあちゃんにコロナうつすかも!!」って脅したのに、数時間後にはバスに乗って田舎に戻っていった。
お寺の生活も、大変だ・・・・



確かに、日銭で稼いで生きている若い僧侶たちはかわいそう・・・宗教イベントも開催できないから、小銭を稼ぐこともできない。

この国の仏教は、貧乏な男子・男性を保護するためのセーフティーネットであり、男子にとっては生活のために住まざるを得ない「孤児院」なので、こういう事態になると僧侶たちが食生活を確保できないから大変だ。

カンボジアは人々から寄付金を集めてどんどんお寺を建てて、改装して、仏教にはお金を使っているように思えるのだが・・・寺で生活する貧乏なだけの男子たちは相変わらず貧乏で生活にも困窮していて、仏教とは全く異なる現実的な貧窮世界に住んでいるのである。





お兄さんは21歳年上??

2021年02月27日 | カンボジアの子どもの権利

今回担当しているある男子学生、ZOOM講義や実際似合ってもマスクをしているとよくわかんないんだけれど、マスクを取るとジャニーズ系の凄まじく可愛い草食系男子。
シェムリアップに引率して、朝ごはんを一緒に食べたのでわかった(なぜだか男子ばかりと一緒だった)

↓プノンペンにいてもすることもないし家にいるしかないので、ケップにいることにした



この男子学生は、何とも言えないくらいとにかく「かわいい男子」。
完全に私の個人的な問題なのだが、この数年は、どの男子学生を見てもすぐ自分の息子と重ねて可愛いと思ってしまう。
(女子学生は自分と対等に見て、しっかりしてほしいと思うのも問題かもしれないが・・・でも実際に女子学生はしっかりしてる)

カンボジアは草食系男子が多く、女子は色々で、凄まじくおとなしいのや美人もいれば、攻撃的な女子もいる。
でも基本的には、女子の方が指導的立場にいるし、男子はたらたらニコニコしてたらたらしている感じが否めない(だから息子に重ねる?)。

↓田舎の村の区役所の張り紙、結婚申立書を張り出している(異議申し立て期間は二週間のはず)


男女を問わずに学生と話す際に誰にでも聞くのは、育った環境や家庭環境。
この超可愛い男子に話を聞いていると、兄弟は5人いて、両親は引退している。自分の学費は義理の兄が支払ってくれているということ。
なんかややこしいなと思ってると、「一番上の兄は21歳上で、多分41歳。自分の父は62歳」

↓定宿ではまた赤ちゃんが・・・・数匹は50ドルで買われていったそう、子犬の母は相変わらず世話せず祖母が世話してるのである


お父さんが46歳の時の子供か、こりゃあカンボジアではかなりめずらしい。でも移動時間になったので、母親の年齢を聞けなかったのである・・・・

21歳上の兄か・・・・、兄も弟ができるのをどう思ったのかな。
この男子は、話しているときょうだいとのつながりが相当強いようで、まあ両親がその歳ならそうかもなあと。




40歳といえば、老齢もいいところだ

2021年02月26日 | Japanese Books

ドフとエススキー「地下室の手記」。
大学で学部を超えて参加させてもらってた法学部政治思想史のゼミの同級生が大好きだと言っていた本だったので、当時読んだが全くわからなかった。
ドフとエススキーは、「カラマーゾフの兄弟」を時々手にとって読むのだが、読まないスパンが長いからか聞く力が悪いからか、毎回面白い新たな発見がある。

↓走り回ってる鶏を焼いた料理、でもちょっと焼きすぎだった


たまた本棚を片付けていたら「地下室の手記」が出てきたので、サクッと読み直してみた。
性格が悪いのは肝臓のせいかも・・・・てところから、「40歳といえば老齢だ」が目を引いた。


「40歳以上生きるなんて、みっともないことだし、俗悪で、不道徳だ!!」



40歳以上で生き延びているのは、バカと、ならず者だけだそうな。
とはいえ、ご本人は70歳まで生きるつもりなんだから、このロジックにはかなり奥深い皮肉と自己反省が感じられるのである。

国連人権委員会の独立独立が、「高齢者女性問題」について意見を集めているので、学生を動員して、国連に提出する文書を準備しているところ。
カンボジアの高齢者って、何歳からなんだろう・・・と、何度も学生と話したことがあるが、近年は高齢者の定義も変わってきているんじゃないかと思う。
日本だと、本当に豊かな生活を送っているのは高齢者だけじゃないかと思ったりする・・・。

それにしても、暗いのである、地下室の手記。
この本が一番好きだと言っていたクラスメートは、明るいだけが取り柄の女子だったのだが(それも確か社会学部から混じってきてた)、なんでこの本が好きだったんだろう。

ドフトエフスキーの持つ本格的な憂鬱さ、絶望的かつ悲観的な思想、カンボジア人が読んで分かったりするんだろうか・・・




漁業で生きてます

2021年02月25日 | カンボジアの子どもの権利

コンポンプルックでの半日インタビュー。

学生たちは相当面白かった様子で、「村に来て生活のことを色々と知れてとても面白かった!」
そもそも、シェムリアップが初めての学生も多く、コンポンプルックにきたことがあるのはたった1人。



私も、興味深く聞いていたのが、「小さい頃は魚食べて、漁業をしてて、80年代も漁業をしてて、今も漁業。毎日魚食べてる」みたいな発言。

数年前から魚が取れなくて困ってはいるんだけれど、それでも魚ばかり食べてる。
ちなみにこの地区には市場はなく、ちょっとした物売りがいるのと、外から野菜とかを売りにくるだけ。


↓しばらく見ていた干し魚を作る作業、まず魚を串刺しにする(その前に頭を全部とる)


小さい魚にもいろんな種類の魚があって、それぞれ骨が多かったり、肉が少なかったり、色々特徴がある。



↓息子が魚を干していく


小さい魚の値段、卸は1キロ三千五百リエル、これが市場に行くと一万リエルで販売しているそう。



学生たちは、「ここの人たち、一週間7日間魚食べてるんですって!!!」と驚きまくってたのである。
確かに、私もだがプノンペンではそこまで頻繁に魚を食べない。

↓5時間程度干したら出来上がり、今の季節だけの作業


干し魚、みんなで大量に買って帰ったのである。




夫との再会が一番嬉しいことだったねえ

2021年02月24日 | クメール・ルージュ時...

学生たちに、自分の祖母にお願いして、高齢女性のライフ・ストーリーインタビューを取ってもらった。
祖母がいない学生は、近所の人。
みんな苦労してインタビューしてくれた。

質問項目の最後の方は、人生を振り返って色々聞いているのだが、そのうちの質問の一つは「これまでの人生で、一番嬉しかったことはなんですか」

↓私にとっては美味しい酒との出会い楽しみ、人生の喜びは美味しいお酒と美味しい食べ物に象徴されると思う



インタビュー対象は、みなさん、70歳とか80歳の高齢者女性。
孫とか子供の成長とか結婚を見るのが嬉しいっていう人が多い中、ある女性は、「クメールルージュが去って、夫と再会できたのが一番うれしかった」
この言葉を見て、この人は、きっと多分総合的に見れば幸せな結婚生活だったんだろうなと。
40年前の出来事以降、それ以上に嬉しかったことはないんだろうか・・・それとも、クメールルージュ時代がそれほど辛かったってことなんだろうか。

いずれにしても、こういう発言ができるような相手と巡り会えて人生を過ごしてきたことは、幸せだな。


シェムリアップでの調査結果の25名のインタビュー記録は、これから学生が提出してくれる。
読むのがとてもとても楽しみ。