ジェンダーから見るカンボジア

南国のカンボジアからの日記、ジェンダー視点でカンボジア社会を分析します

どう回答していいのかわからないです

2023年09月29日 | 代理母問題調査



夜の講義で担当している僧侶が5名いるので、ちょっと早く講義に来てもらって、代理出産とカンボジアの仏教について教えてもらうことにした。シェムリアップでも話してたし、個別にちょっと話す機会を持っていたので、堅苦しくなく大学で話聞けるかなと。

ただこの日は2時前から小雨が夕方まで降ってたので、5時にキャンパスに現れたのは22−24歳の僧侶4名。
とりあえず寺の話とか将来のこととか雑談をしてから、許可を取って代理母について話を聞かせてもらうことにした。

↓そろそろ飛ぶかな、日本直行便


「僕の寺で、代理母があって、男女問題がありました」(なんでも多分セクハラか性暴力だったらしい・・・本当にこれまでの講義を理解してたのか、代理母についてのすごい理解の仕方だ)

「僕の寺では、代理母問題はありません」。そりゃないだろう。

「代理母問題についても相談を受けたことないです」そらそうだ、20歳の僧侶(それも当然男女関係なんて分かってない)に、出産の悩みなぞ聞いてたら、聞く方が悪いかも(デスパレートならやりかねないが)。


「代理母をすることは無理です、夫は絶対そういうことを許しません。」
(これも伝統的代理母の話だった・・・・胚移植の話をしたら、理解できなかった)

「ブッダの教えでは、子どもを授からない夫婦は、カルマなのです』(過去に悪いことをしたからその償いというかその罰を現生で受けてる)。でもこれは代理出産を完全に否定したかというと、そうとも言えないだろう。

でこれまで何度か聞いた議論を尋ねた、「仏教では、困ってる人を助けることはいいことだって教えてるじゃない?」、「それはもちろんだ、でも代理母に当てはまるかわからない」、とのこと。

そうなのだよな、あまりにも新しい生殖技術だから、まずその技術そのものを理解することがほぼ不可能に近いというのを実感した。そもそも女性で不妊とか理解できない見たい(全ての女性は妊娠可能と思っている発言がかなりあった)。

↓ナスとチーズのサラダ、すっごく美味しいつまみ


とか20歳くらいの僧侶たちと話してたら、若く見えるが実は35歳の僧侶が来てくれた。
なんでも仏教では、「生まれることは苦悩である」というサンスクリットの言い回しがあるそうで、生まれてきた子どもを誰かが責任を持って育てなければいけないそう。なんか理論がかなり飛躍していてイマイチわからないんだけれど、仏教で代理出産を説明するにはこれしかないかなって。

思うのだが、この僧侶学生たちは、そのうち僧侶を辞めて普通の男子になろうとしている人ばかり。カンボジアでは、青年まで普通にいて僧侶になるのではなく、貧しいから僧侶になって、大人になったら普通の男性になる。でも青年期を僧侶として過ごすと、世の中の普通からかなり取り残されて、その後の人生、苦労するんじゃないかなと・・・・杞憂かな、老婆心かな、でも話していて、ちょっと20歳の男子とは思えない「無垢さ」を感じたのであった。

カンボジア滞在も終わり、5日間はあっという間だった。
代理母問題でかなりインタビューをとって、出張授業と大学での講義をして、理事をやってる団体で職員にモチベーションを高めてもらうための研修を実施して・・・代理出産って面白い問題だ。いまいち描く方は進まなかったけれど(ビリオンズを見ているせいもある)、今回出張の成果は大きかった。




















カンボジア政府がジェンダー平等の精神で不妊カップルへ支援政策を立案したら?

2023年09月28日 | カンボジアの子どもの権利



「カンボジア政府がジェンダー平等の精神で不妊カップルへ支援政策を立案したら?」という問いを、学生にしてみた。書く方が自由に回答できるので、書いて提出してもらった。

そもそも、不妊カップルへの支援という意味がわかってない学生が多い・・・・・
身近じゃないんだろう、不妊という問題が。



回答で圧倒的に多いのは「養子縁組の支援」。

そうだよな、この国では絶対養子を勧めた方がいい。ある学生は、「養子にするのもお金がかかるので、不妊治療に大金を払うなら、養子に払った方がいい」




一人目は精子提供で二人目は卵子も精子も提供して出産

2023年09月28日 | 代理母問題調査



テレビ(CNC)を見てたら、婦人科の医者が出てきて、出産について延々と説明してた。人形を使って、子宮内で子供がどう動くかを実演。20代のアナウンサー(そいういう職業があるのかな?)の男性がかわいそう・・・・と思いつつ、真面目に聞いてるから偉い。
「帝王切開と、自然分娩とどちらがいいのですか」という20代の女性アナウンサー(?)この先生によると、「どちらも悪い点もいい点がある」と語り始めた。
で、その段階で代理出産のインタビューに出かけないといけなくなったのだが・・・・
そりゃあ「自然分娩するべきだ」くらい言って欲しかったなあ。

↓久しぶりに240通りのDELIによった、パンが美味しい


代理母出産のインタビューでは、長年の友達に色々聞いたのだが、共通の友達が二人の子どもを精子提供で授かっていたと聞いた。一人目はタイで精子提供で産んで、その後子供もあったことあったのだがけれど、疎遠になってたのだ。二人目の時は、卵子がすでに老化してて使えなくて、知り合いの白人女性の無償提供を受けたそう。なんと、プノンペンにそういうクリニックがあるそうな。代理出産でないから合法。



精子は、ネットワークを使ってインドネシア人のを無償でもらったそう。
すごいなあ、身近にこういう人がいたんだ・・・・

知り合いに代理母についてインタビューしていると、次々いろんな新しいことを知れて、すごく楽しいのである。











自分の家で、嫌なルールある?

2023年09月27日 | カンボジアの子どもの権利




高校1年生ど小学6年生を対象にした特別出張講義。
小学校で教員をしている僧侶二人が手伝いにキレくれて、「2007年にジェンダー学取りました」、もう一人は「妊娠中の時に教えてもらって、出産して子供を連れてきた時にジェンダー学とってました」。
さらに写真撮影に来てくれた学生も、「僕も先生に教わりました」
なんだこの小学校、うちの大学卒業生しか採用しないのか?

↓高校は会議室で20名を対象に講義


小学6年生は、31名の子どもたちに対して、「自律について」の講義。

↓結構狭い、ぎゅうぎゅうに押し込んでる感じ

「家で嫌なルールある?」っていう質問から始めてみた。

ーご飯食べてる時に、口いっぱいに詰め込んだらダメってお母さんに言われる
ー勉強する前にシャワー浴びろって言われる(なんでも勉強をベッドの上で寝てやるらしい)
ー勉強してるのに、妹の面倒を見ろって言われる
ースクリーンタイム5分しかくれない


↓原神ステッカーを貼ってたので、写真撮って早速息子に送る


私と一緒に連れて行った大学生に、「嫌な家の規則ある?」と聞いたら、「11時までに帰宅しなきゃいけない」
うーん、それは遅いなと思ったら、講義が8時半まであるから、それから帰宅したらどうしても10時とかになっちゃうそう。

自己規律、小学生には難しすぎたが、「いい子どもになって、いい大人になるため、お家の大人が教えてくれてるんだよ」。
別にいい大人にならなくてもいいけど、犯罪おかしたり人の道を外れる行為しなければ。

明日は大学での講義、うーん、小学生はとっても楽しく勉強させてもらって、高校生はまあまあ(学生どうしてかなり話してて、それはいいなと思った)、大学生はボート聴いてる感じで、一番やりがいないかもしれない。








カンボジア人代理母に会ったことありますよー

2023年09月26日 | 代理母問題調査



博士課程で研究対象にしている「代理出産問題」のインタビューをプノンペン到着後開始、何しろこのインタビューが今回の渡航のメインの目的。
とりあえず、ジェンダーとか女性の権利関係の仕事をしている人で、インタビューができる身近な人から依頼してみた。

ある政府職員は、地方出張に行った際に代理母にあったことがある。
農村の収入についての調査に出たら、区長さんが「代理出産している女性がたくさんいるよ」という話をして、実際に代理母になった人の家の案内をしてくれた。

↓NAGA3の工事はどんどん進む



最後には7000ドルを得る契約で代理母をした彼女、自分の出産よりも圧倒的に手厚いケアを受けられた。
地方からプノンペンまで(車で4−5時間)定期的に検診のために病院に連れて行ってくれ、健康にいい生活をできるよう指導された。自分の出産では、そんな経験できなかった、何しろ極貧。
彼女は病院で出産後、すぐに子どもは連れ去られて顔も見ないまま、そのまま二度と会うこともなく、今どこにいるのかも知らない。

ちなみに、このインタビューをとってくれた職員と私の共通の知りあいが2人もタイで代理出産を依頼していたというのも聞いて、超びっくり。一人は何度か一緒に出張したし、もう一人は一緒に仕事してた頃すごく調子悪くて子供できないのよねーって話してたのを思い出した。10年以上前だったから、カンボジアでの代理母は無理だったみたい。「もちろん、子どもたちは自分たちの出自を知らない、カンボジアではそんなこと言うのは不可能」だそう。