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ジェンダーから見るカンボジア

南国のカンボジアからの日記、ジェンダー視点でカンボジア社会を分析します

「女の残り時間」

2019年04月30日 | Japanese Books


かなり後ろ向きなタイトル、「女の残り時間」、亀井早苗さん。とは言っても、内容はかなり刺激的というか、前向き。

彼女も、年齢を経るごとに追っかけるトピックが変わっていくなあ・・・・と思わされるルポライターの一人。

この本は、40代女性の性問題を取り扱った本で、読んでみると、ルポというよりも卑猥な小説に近いものが・・・

↓偏食の子ども、でも蕎麦は大好き


ちょっと恐ろしいような内容だけれど、40代の女性の残された時間を「残り時間」と呼ぶよりは、まだまだ成長していく時間だと前向きに捉えてほしいなあ・・・・。

亡くなった夫の弟(義弟)と恋愛関係になってしまう女性の話があって、こういうことが無理やり強制されている文化もあるのに日本ではタブーなんだなと。

↓高齢者女性も元気な日本、カンボジアはまだまだかな・・・



色々な視点から社会問題を取り上げていて、なかなか面白い亀山さん。また調査のアイデァをちょっともらったのである。


女性の指導者に関する状況

2019年04月29日 | カンボジアの女性指導者たち



数ヶ月かけて、女性と若者のリーダーシップに関する調査をすることになった。

カンボジアに戻るなり、これまでの仕事の仕上げ(それも4つもある)に加えて、これから取り組む2つの調査の打ち合わせに追われるのである。

↓Dukeホテルで開催されたまさにそのトピックの会合に参加




KAS、ドイツの政党の設立した基金で、ずいぶん前にベトナムやシンガポールとか、色々ゴージャスなホテルに泊まって会合に参加させてもらったなあ。

300人以上を招待してのセミナー。
金曜夜で、さらに、ドリンクが出てからのセミナーだったので、子供も連れて、顔出しだけでもと思って出かけた。
ホテルの生ビールは美味しい・・・・・2杯しか飲めなかったのが残念(大臣が話し始めたら飲み物が提供されなくなった)




女性省大臣、スピーチというか発表を作らせたスタッフが統計の専門家だったのか、20分以上延々と統計ばかり紹介したのである

↓退屈した子ども、ホテルのベーカリーでパンを買って空腹をしのいだのである(自分で買いに行ってもらったら2個も買ってた・・・)


第4次革命にどう対応していくか・・・・・という話題もあって、そういえば第4次革命ってジェンダー用語集を作るのに色々検索したなと。

長年知り合いの有名な国際刑事法の学者が近寄ってきて、日本からサントリーを輸入する会社をベンチャーでしないか、あるいはペン工場とかを一緒に投資して作らないかという相談を持ちかけられた・・
「このままじゃ食べていけないからね」だって、色々仕事をしているけれど国際裁判所で働いる彼、予算の関係で6月で多分契約が更新されないそうな。でも次のことを考えててすごいな。


これも残酷な扱い・・・・家族に無視される

2019年04月28日 | 疎外化された女性たち


カンボジアのLBT、家族から本当に悲惨な思いをさせられているのだけれど、これは酷い・・・と思ったのは、「家族から完全に無視されている」トランスマン。



すでに成人していて民間の会社と教員との2つの仕事をしているトランスマンは、両親に自分たちの子だと認めてもらってない。

「自分が両親のこともだって言ったらダメだって指示されている。例えば、一緒に出かけて、母が知り合いに会った時、私のことを指して、この人は誰?って聞かれることがある。母はいつも、この人は親戚の家の子(おい)、って答える。一緒に住んでる姉は、自分のことを妹(弟)だと紹介してくれない」

↓春らしくて超美味しいバジルのパスタ


部外者だから勝手な発想かもしれないけれど、この人はいい仕事もあって、自立できるのに、なんで家を出ないんだろうか・・・・

彼の願いは、「みんなが自分の存在を認めてくれること」





日本の差別も同じ構図が垣間見えるけれど、「異なるグループ」に属する人たちに対する差別ってなくならないんだろうか・・・

でも、家族からの差別というか無視はひどい。早くそんな家族をさって、自分の家族を作って(おひとりさまでもいいが)、抑圧から解放されてほしい。人生一回なのに、もったいなさすぎる。





「居場所」のない男、「時間」がない女

2019年04月27日 | Japanese Books


タイトルが面白そうなので買ってみた。早稲田を出た詩人?だか研究者だかわからない女性が書いてる。

懐かしい、粗大ゴミ論争から濡れ落ち葉、さらには「パンハシ妻」(そんなのあった?)。
男性は居場所がないのである・・・・
それにしても、「定年後すぐ夫に死んで欲しい」って思っている妻たちは、きっとお金の管理もしっかりできてるんだろうと思う。
そうでないと、まずお金のことが心配で、夫に死んで欲しいとは思えないだろう。



居場所のない高齢者の男たち(本では年齢を問わず居場所がないと定義されているが)。
確かに、街を見渡すと、元気な高齢女性が多い・・・でもこの数年は、元気な高齢者カップルが散歩したり買い物しているのもよく見るようになったけれど、気のせいかな?
私の住んでいる塩屋は、外国人居住区もあったり異人館もあったり、普通電車しか止まらないけれどちょっとおしゃれな下町なので、高齢カップルが散歩したりカフェを訪問しているのも見かける。
数年前はそういうカップルはいなかったけど。

「時間」のない女性、についても、妻が夫に期待する「家事労働」「育児」について、半数程度が期待していないという意識調査の結果があって、「よくそんなんで夫婦関係(というのか協同保育)ができるなあ・・・」という印象。それにしても日本政府や研究機関は、山ほど統計を取ってる。カンボジアでは全然ないので、感心感心なのである。

並行して、「定年女子」という岸本裕紀子さんという方が書いた本も読んでみた。60歳を超えて働いたり自分のやりたいことをやって人生を楽しんでいる女性の話。
私ももう人生の折り返し地点を過ぎたので、考えないといけないのだが、まあ子ども二人を成人に育てるまでをゴールに、それまでは稼ぐしかないと思っているのである。

カンボジアって、定年したら・・・・大抵孫の世話とかかな、田舎の人は。
都会の人はどうだろう。定年なんて役人くらいだし、幾つになっても働いているような気が。
LBT調査でインタビューさせてもらった人たちは、50代ですでに「年取ってるからのんびり生きたい」とか言ってて、かなりショックだったのだが・・・・
カンボジアの60代なんてすでに高齢者の域に入ってて、日本とは全然違うのである。



60歳まで働いた女性っていうのは、これからは珍しくなってくるだろうけれど、今の60歳以上の女性だと、均等法の前の採用になるから、結構厳しい思いをして働き続けてきた人たちだろうか。
定年女子では「離婚して幸せになった!」という女性が多い、という指摘があって、これは「時間がない女性」が、夫に見切りをつけて(水無田さんは「諦念」と定義)、子どもを連れて自立するのと同じ構図。



同性愛者だと信じてくれない彼氏

2019年04月26日 | 疎外化された女性たち



私がインタビューしたバイセクシャル女性、インタビュー翻訳を読んでいると、「彼氏には本当のことを言ったけれど、信じてくれない。」という発言が出てきた。
こんな重要なことを、聞き逃していたか・・・ぼーっとしたのか、彼氏のことなんてどうでもいいと思って聞き飛ばしてたか。



この女性はすでに2年ほど彼氏と付き合ってるんだけれど(それも、元僧侶)、彼は自分と結婚したいって言ってるし、ずっとアッシーしてくれてる健気な彼。
ただ、何人も彼女がいるそうで、それはちょっと嫌だろう・・・と思うのだが、バイセクシャルなので、気にならないそう。彼女は、昔振られた彼女が戻ってきてくれればそれでいいって考えているのだ。



「四巨頭会談」という、ちょっと古いけれど、MtF/FtM・レズビアン・ゲイの四人の性的マイノリティの漫画家が退団している本を読んでみた。漫画もたくさん入ってる。
当事者でも、トランスセクシャルとトランスジェンダーって何が違うかよくわからない、とか、レズビアンでも色々あるとか、本当に多様なのだなと思う。
日本ではビアン、と呼ばれているようで、それも知らなかった・・・日本では楽しいゲイの知り合いがいるけれど(それも結構仲良し、ゲイの友達って本当に楽しいのだ)、レズビアンって日本では短には誰もしらない。考えてみたら、カンボジアではレズビアンが身近に二人もいるのに、日本ではいないな・・・・

この本を読んでいて学んだのは、「それほど酷い目にあってない」という主張。被害者化するなというメッセージだと思われる。

カンボジアとは随分違うな・・・・カンボジアではサンプルのせいかもしれないけれど、本当に酷い目にあっている人ばかりで、「差別に合わなかった」なんて、六十人中二人くらいかな。