1993年のアメリカ映画です。
アメリカのさびれた田舎町で暮らす閉塞した状況の青年を、若き日のジョニー・ディップが好演しています。
主人公は、父の自殺をきっかけに過食症になって、鯨のように太ってしまって(何百キロもありそうです。アメリカなどではこうしたいろいろなタイプ(すごく太った、すごく痩せた、すごく背が低い、すごく背が高いなど)の俳優がいるようです)家から一歩も出ない母親、知的障害のある弟(レオナルド・ディカプリオが好演して、アカデミー助演男優賞にノミネートされました)、二人の妹をかかえて、小さな食料品店で働いて古い父親の手作りの家を修理しながら、懸命に生きています。
そんな彼のせめてもの息抜きは、お得意さんの奥さんとの、配達の時の不倫です。
二人の関係は夫に感づかれているようなのですが、ある日、その夫は変死(子どもプールでおぼれます)して、疑われた奥さんは子どもたちを連れて町を出ていきます。
その一方で、主人公は、祖母と二人でアメリカ中をキャンピングカーで旅している、自由な生き方(それは主人公が一番望んでいるものです)をしている少女と知り合います(キャンピングカーを牽引している車が故障して、この町に足止めされています)。
主人公は、彼女やその生き方に強く惹かれているのですが、やがて車がなおって町を出発する彼女を、自分の生き方を見つめ直しながらも知的障碍者の弟と二人で見送ります。
急死した母の死体とともに古い家を燃やす(母の死体を運び出すのに軍隊やクレーンが必要になり、地域の人に笑われる(それは母親が一番恐れていたことでした)のを防ぐためです)ことが、主人公を拘束している現実から解き放つことを象徴しているようでした。
そして、一年後、再びこの地を訪れた少女と再会するラストに、おおいなる救いを感じました。
日本での公開後に、演劇をしていた若い友人(高校生でした)から見るのを勧められた映画の一つです(他には、「恋する惑星」(その記事を参照してください)などがありました)。
困難な状況でもそれを投げ出さずに、その一方で自分の生き方を見つめ直している主人公の生き方は、格差社会の困難な状況にいる今の日本の若い世代にも共感を持たれると思います。
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