現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

フランク・カーモード「適格の読者層」アメリカ文学作家論選書J.D.サリンジャー所収

2019-09-05 12:02:28 | 参考文献
 1958年に書かれた「キャッチャー・イン・ザ・ライ」(その記事を参照してください)の読者論です。
 この本がこれほどヒットした理由として、彼の作品の本来の読者である「ハイブラウ」な(知識や教養のある)読者以外の読者がすごく大きかったからだとしています。
 著者は典型的な教養主義者のようで、「ハイブラウ」な読者が少数の「真の」読者であり、「その他の読者は偶然の添え物でしかなかった」としています。
 しかし、「キャッチャー・イン・ザ・ライ」のその他大勢の読者は、「ありふれているがなかなか鋭い、新しい種類の読者」だとし、「目の肥えた消費者でもある」として、「彼(ら)に供給される商品は、すぐに廃れてしまう」としています。
 そして、「私が『キャッチャー・イン・ザ・ライ』を再読してみて、魅力がいくぶん減退していると感じた理由がこれである」と断定して見せています。
 しかし、この文章が書かれてすでに60年以上も経っているのに、「キャッチャー・イン・ザ・ライ」が今でも世界中で読まれていることは、ご存じのとおりです。
 

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