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現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

板垣巴留「BEASTARS8」

2019-06-23 17:05:10 | コミックス
 この巻では、肉食獣と草食動物の微妙な距離感が描かれています。
 主人公のハイイロオオカミのレゴシ(高校二年生)は、肉座禅(肉の塊をつるした前で、肉食欲に耐える)の影響か、あごの噛む力が衰え、その分四肢の力がパワーアップします。
 学園内での食殺事件が起きてから、肉食獣と草食動物には溝ができてしまっていますが、それぞれの動物がその溝を乗りこえる努力を始めています。
 うがった読み方をすれば、荒廃してしまった学園を、生徒たち自身が、大人たちの力を借りずに(パンダの精神科医のゴウヒンを除いて)自分の力で立て直そうとしているとも読めます。
 そうしたストーリー構成は、かつての現代児童文学(1980年代の後藤竜二や長崎夏海の作品など)を思い起こさせて興味深いです。
コメント
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