現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

柳田理科雄「空想科学読本」

2024-09-13 09:37:26 | 参考文献

 1996年の大ベストセラーです。
 空想科学研究所主任研究員という肩書を持つ作者(実は学習塾教師)が、テレビの空想科学番組や映画に出てくるヒーローや怪獣、ロボットなどを大真面目に(時にはユーモアを交えて)科学的に解説した本なのです。
・ゴジラ2万トン、ガメラ80トン、科学的に適切な体重はどちらか?
・仮面ライダーが一瞬で変身するのはあまりにも健康に悪い!
・ウルトラセブンが巨大化するには最低でも15時間が必要だ!
 最初の3章の副題を並べただけでも、かつては男の子だった人たちならば、みんなわくわくすることでしょう。
 それが、ズラリと16章も続くのですから、ベストセラーになったのも当然です。
 これらの誰もが知っているヒーローや怪獣の設定や必殺技が、科学的にはどんなにとんでもないものかを解説しながら、実はそれらに対する作者の並々ならぬ愛情が感じられるところが成功の秘訣でしょう。
 さらに、作者は1961年生まれなのですが、学習塾で普段から子どもたちに接しているおかげか、ゴジラやガメラのような1950年代や1960年代から活躍している怪獣やヒーローから、1990年代当時の新しいロボットやヒーローまで登場するので、幅広い年代の男の子たちを熱狂させました。
 我が家でも、1954年生まれの私だけでなく、1988年生まれと1990年生まれの息子たちも愛読しました。
 こんな魅力的な本が児童文学界にあれば、男の子たちの本離れは防げたことでしょう。
 この本の大成功のおかげで、続編も次々に出版されたので、作者の研究資金は潤沢になったと思われますので、本が売れない児童文学作家にはうらやましい限りです。

空想科学読本1[新装版] (空想科学文庫)
クリエーター情報なし
KADOKAWA/メディアファクトリー

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 誰も知らない | トップ | 椎名誠「銀座のカラス」 »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

参考文献」カテゴリの最新記事