現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

早見和真「新橋ランナウェイ」東京ドーン所収

2018-05-07 08:18:26 | 参考文献
 作品論ではないのですが、簡単にあらすじを述べます。
 全共闘世代の父親に反発して、主人公は一流企業でサラリーマンになりました。
 猛烈主義の課長のもとで仕事や社内の付き合いに疲れ切り、主人公はうつ病にかかって休職しようと考えています。
 しかし、恋人が妊娠したことを知り、会社に踏みとどまり結婚式をあげます。
 披露宴のスピーチで、課長がこれまで以上に頑張るようにハッパをかけたことに反発した父親が、妻や子どもや会社のためでなく自分の好きなように生きろと言い返します。
 時代設定がはっきりしないのですが、猛烈型の課長といい、団塊の世代の父親といい、人物造形がかなり古く、しかも型にはまっていて、まったくリアリティが感じられません。
 一応、会社生活を舞台にした小説なのですが、エピソードに具体性が乏しく、作者はこの作品の舞台になっているような会社で本当に働いたことや真面目に取材したことがあるのかなと、疑問に思いました。
 サラリーマン物のエンターテインメントはこんな程度の物なのかなというのが、率直な感想です。
 最近の児童文学のエンターテインメントもお手軽なものが多いのですが、大人の小説も似たような状況のようです。

東京ドーン
クリエーター情報なし
講談社
 
コメント
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