現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

児童文学とSF

2018-05-16 08:19:59 | 考察
 かつてSFは、児童文学の確固たるひとつのジャンルとして存在していました。
 しかし、今では、安直なファンタジーに市場を席巻されて、本格的なSFは児童文学から姿と消しました。
 その理由のひとつには、子ども読者の受容力の低下があるでしょう。
 現在の児童文学の読者には、科学的な裏付けをもったSFよりも、夢とロマンだけで紡がれているファンタジーの方が心地よいのです。
 それには、現在の児童文学の読者が、幼年を除くと圧倒的に女性が多いことも影響していると思われます。
 一方で、書き手側の問題もあります。
 本格的なSFを書くには、科学の勉強が必要ですし、資料を集める作業も欠かせません。
 それよりは、既存の世界観に寄りかかった安直なファンタジーを書き飛ばす方がはるかに楽なのです。
 こうして、書き手と読み手の双方の理由により、本格的なSFは児童文学の世界に生まれにくくなっています。

夏への扉 (ハヤカワ文庫SF)
クリエーター情報なし
早川書房
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする