現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

児童文学の繰り返しの手法について

2017-11-22 08:39:15 | 考察
 児童文学の世界、特に絵本や幼年童話では、繰り返しの手法が有効です。
 自分自身の幼い頃の記憶でも、自分の子どもたちが小さかった頃も、自分の好きなことを何度でも繰り返して楽しんでいました。
 繰り返しの手法は、そうした幼児の特性を作品の中に取り込んだものです。
 同じような事柄が、少しずつ形を変えながら繰り返していくと、読者の興味はどんどんとかきたてられていきます。
 その盛り上がりをどのよう最後にストンと落とすかが、作者の腕前です。
 そこには、読者の期待通りに終わる場合も、読者の期待を鮮やかに裏切って見せる場合もあります。

三びきのやぎのがらがらどん (世界傑作絵本シリーズ―アメリカの絵本)
クリエーター情報なし
福音館書店
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伊坂幸太郎「BEE」AX所収

2017-11-22 08:37:33 | 参考文献
 この短編でも、主人公の凄腕の殺し屋の恐妻家ぶりがいかんなく発揮されています。
 題名のとおり、昆虫のスズメバチと、それと同名の主人公の命を狙う殺し屋とをうまくからませて描いて、読者を飽きさせません。
 庭に巣を作ったキイロスズメバチの駆除のシーンは、私も体験がありますが、まったく事実通りで著者も体験があるかよほど綿密に調べたのでしょう。
 こうした細部のリアリティも、良質のエンターテインメント作品には欠かせないものです。
 また、この作品でも、主人公と高校生の息子の会話や、近所の十年飼っていた猫が死んでペットロスになっている若い母親とそれをけなげにいたわる五歳の息子のやりとりなどに、児童文学テイストがあふれていて、中学生や高校生の読者に向いたヤングアダルトエンターテインメント作品と言えるでしょう。

AX アックス
クリエーター情報なし
KADOKAWA
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