山田風太郎賞を受賞した短編集の冒頭の短編ですです。
江戸時代の太地の鯨漁を、丹念に調べて描いています。
鯨漁の部分は実に詳しく書かれていて迫力も十分です。
しかし、肝心の人間ドラマが弱すぎます。
出てくる登場人物がパターン化されすぎています。
エンターテインメント作品なのですから典型的な人物の配置は当然なのですが、人物像が古すぎますし(まるで股旅物か、西部劇の「シェーン」を思わせます)、魅力がない(キャラがたっていない)のです。
これでは、従来からの時代物の読者である年配の読者は満足させられても、若い新しい読者は開拓できないのではないでしょうか。
児童文学でも史実を調べて書いた歴史物はかつてはよく書かれましたが(例えば、今西祐行の「肥後の石工」や岩崎京子の「花咲か」など)、最近はその伝統はノンフィクション物を除くと廃れてしまったようです。
ノンフィクション作家を除く現在の児童文学作家は、丹念に資料を調べるような手間を惜しんで、安直なエンターテインメント作品を書くようになってしまっています。
また、それは現代の子どもたちの読解力の低下とも関係していると思われます。
つまり、こういった歴史物を読みこなせる子ども読者は、すでに希少化してしまっているのでしょう。
江戸時代の太地の鯨漁を、丹念に調べて描いています。
鯨漁の部分は実に詳しく書かれていて迫力も十分です。
しかし、肝心の人間ドラマが弱すぎます。
出てくる登場人物がパターン化されすぎています。
エンターテインメント作品なのですから典型的な人物の配置は当然なのですが、人物像が古すぎますし(まるで股旅物か、西部劇の「シェーン」を思わせます)、魅力がない(キャラがたっていない)のです。
これでは、従来からの時代物の読者である年配の読者は満足させられても、若い新しい読者は開拓できないのではないでしょうか。
児童文学でも史実を調べて書いた歴史物はかつてはよく書かれましたが(例えば、今西祐行の「肥後の石工」や岩崎京子の「花咲か」など)、最近はその伝統はノンフィクション物を除くと廃れてしまったようです。
ノンフィクション作家を除く現在の児童文学作家は、丹念に資料を調べるような手間を惜しんで、安直なエンターテインメント作品を書くようになってしまっています。
また、それは現代の子どもたちの読解力の低下とも関係していると思われます。
つまり、こういった歴史物を読みこなせる子ども読者は、すでに希少化してしまっているのでしょう。
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