劣等生(小学校のころから学校をさぼって浅草を一日中ふらつき、やっと入った旧制中学も無期停学になりました)を自認している作者なので、世の中にいる劣等的な存在に対しては常にシンパシーを感じています。
まず登場するのは、戦後すぐのころ、人数合わせ的(多くのスター選手が、戦死したり戦地からまだ復員していなかったりしました)にプロ野球にいた選手で、信じられないようなエラー(二点リードの九回裏に、なんでもないレフトフライを落球して三人がホームインして、逆転サヨナラ負けを喫しました)がもとで、球界を去ります。
次に登場するのは、もっと昔の戦前戦中のころ、あちこちの盛り場(野球場、国技館、浅草など)にいた派手な衣装を着て一人で大はしゃぎしている、掛け声屋と呼ばれた女性(おそらく精神に障害があったようです)です。
後者は、噂では戦後九州あたりで乞食になって、野垂れ死にしてしまったようです。
しかし、前者は、プロ野球をやめて社会人野球に移り、そこでは主将を任されて都市対抗野球に出場して活躍します。
おそらく、作者は、後者の女性に自分の絶望的な未来な姿を見て、その一方で前者の野球選手に将来のかすかな希望を見出していたのでしょう。
まず登場するのは、戦後すぐのころ、人数合わせ的(多くのスター選手が、戦死したり戦地からまだ復員していなかったりしました)にプロ野球にいた選手で、信じられないようなエラー(二点リードの九回裏に、なんでもないレフトフライを落球して三人がホームインして、逆転サヨナラ負けを喫しました)がもとで、球界を去ります。
次に登場するのは、もっと昔の戦前戦中のころ、あちこちの盛り場(野球場、国技館、浅草など)にいた派手な衣装を着て一人で大はしゃぎしている、掛け声屋と呼ばれた女性(おそらく精神に障害があったようです)です。
後者は、噂では戦後九州あたりで乞食になって、野垂れ死にしてしまったようです。
しかし、前者は、プロ野球をやめて社会人野球に移り、そこでは主将を任されて都市対抗野球に出場して活躍します。
おそらく、作者は、後者の女性に自分の絶望的な未来な姿を見て、その一方で前者の野球選手に将来のかすかな希望を見出していたのでしょう。
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