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現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

ジュディ 虹の彼方に

2021-07-11 18:39:29 | 映画

 2019年公開のイギリス・アメリカ合作映画です。

 「オズの魔法使い(その記事を参照してください)」の大ヒットで一躍人気者になった、ジュディ・ガーランドの最晩年(といっても、47歳で亡くなっているのですが)の姿を描いています。

 主演のレネー・ゼルウィガーが、かなりのダイエットとメイクで(ブリジット・ジョーンズ(その記事を参照してください)とは別人のようです)、憔悴したジュディを熱演し、アカデミー賞主演女優賞を獲得しました。

 特に、吹き替えなしで歌ったステージのシーンは圧巻で、ラストで歌った「オズの魔法使い」の主題歌の「虹の彼方に」には、感動させられました。

 子供のころにスターになった人にはよくある話ですが、ジュディ・ガーランドもまた、大人たちに搾取されて身を持ち崩し、アルコールや薬物の中毒でボロボロになってしまったようです。

 

 

 

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老人と海

2021-07-11 16:08:35 | 映画

 1958年のアメリカ映画です。
 1952年に書かれたアーネスト・ヘミングウェーの小説(1954年にノーベル文学賞を受賞した時に、この作品が寄与したそうです)を、ジョン・スタージェスが監督して映画化しました。
 原作がそれほど長くない作品なので、ほぼ忠実に描かれています(ナレーションで原文と思われる文章が語られる箇所もあります)。
 老優スペンサー・トレイシーの一人芝居と言ってもいい映画で、彼の名演技なくしてはこの映画は成立しません。
 労働とは何か、人生とは何か、そしてそのころのジェンダー観で言えば、男とは何かを、この老人の格闘(初めは巨大なカジキマグロを釣り上げるため、後にはそれを狙ってきたサメの大群との戦いのため)と、彼を慕う少年との会話で語り尽くします。
 ディミトリ・ティオムキンが、アカデミー作曲賞を受賞しています。
 文豪の傑作を、名匠が監督をして、名優が演技をして、巨匠の音楽がそれを彩った、まさに古典的な名画です。



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情婦

2021-07-06 15:04:24 | 映画

 1957年公開のアメリカ映画です。
 アガサ・クリスティの有名なミステリー小説、「検察側の証人」を映画化したものです。
 殺人犯の夫を救うために一世一代の名演技をした元女優の情婦(もう賞味期限が切れた言葉ですね)のストーリーはあまりにも有名ですが、原作が短編なので、本来はない味付けをしていて原作のファンには好悪分かれる作品になっています。
 主役の軽薄な美男子をタイロン・パワー、その情婦をマレーネ・ディートリッヒという、当時でもやや盛りを過ぎた大スターが演じたので、二人に過度な芝居をさせるようなシナリオになっています。
 特に、ディートリッヒに原作にはない年上女性の悲哀を出させるために、ラストで男の裏切り(若い愛人の登場)と彼女による男の殺人といった場面を加えたのは、誰が見ても蛇足でしょう。
 原作の持つ、ラストの切れ味が失われてしまいました。
 もうひとつは、チャールズ・ロートンが演じる法廷弁護士の方を主役に据えて、彼の付き添い看護婦(エルザ・ランチェスター)とのユーモアあふれるやり取りを加えたことですが、二人は実生活では夫婦なのでさすがに息がぴったりで、こちらは楽しく見ることができました。



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コンタクト

2021-06-28 17:41:58 | 映画

 1997年のアメリカ映画です。

 かつて非常に人気のあったカール・セーガンの近未来SFを、当時としては最新のCGを使って映画化しました。

 高度の文明を持つ宇宙人の存在を、狂信的なほど追い求める天才科学者を、ジョディ・フォスターが熱演しています。

 原作の持つ宗教的だったり、哲学的だったりする雰囲気を良く伝えていますし、映像もすごくきれいなのですが、その分エンターテイメントとしては少々難しかったかもしれません。

 ストーリーが御都合主義だったり、変な日本が出てくるのは、ご愛敬でしょう。

 

 

 

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ゴーストバスターズ

2021-06-22 14:45:17 | 映画

 1984年のアメリカ映画です。

 ビル・マーレイ、ダン・エイクロイド、ハロルド・ライミスという一流のコメディアンが主演した幽霊退治を描いたコメディです。

 エイクロイドとライミスは脚本も担当しています。

 幽霊退治業者という奇抜な設定としゃれた会話でけっこう笑えますし、CGも当時としてはよく出来ています。

 特に、ラストに登場する巨大化したマシュマロマンはかわいさと恐さが共存していて、一番印象に残っています。

 エイリアン・シリーズのシガニー・ウィーバーが一転してセクシーな演技を見せていますし、リック・モラニスがこうしたアメリカ映画には欠かせない眼鏡ちびキャラを演じています。

 レイ・パーカー・ジュニアが歌った主題歌も、世界的にヒットしました。

 

 

 

 

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インターステラー

2021-06-19 12:42:13 | 映画

 砂嵐が吹き荒れて食糧危機に陥った、近未来の地球(といっても出てくるのはアメリカだけですが)を舞台にしたSF映画です。
 SFといっても、「オデッセイ(その記事を参照してください)」のような科学技術的な映画(どこまで正確かはわかりませんが)ではなく、アクションシーン重視の娯楽映画です。
 荒唐無稽な設定(例えば、主人公は元飛行士の農夫ですが、特別な訓練もせずに突然地球の危機を救うために派遣される宇宙船のメンバーに選ばれます)、偶然の多用、デフォルメされた登場人物(ロボットも含めて)、ご都合主義のストーリー展開を駆使した典型的なエンターテインメントの手法で作られた作品です。
 オマージュなのか、監督は、彼が好きなのであろう過去の名作SF(ファンタジー)映画(「2001年宇宙の旅」、「未知との遭遇」、「エイリアン」、「スターウォーズ」、「フィールド・オブ・ドリームス」など)を連想させるシーンを連発させています。
 といっても、宇宙旅行の間に主人公が時空を超えてしまい、愛する娘と見た目の年齢が逆転してしまうことをうまく使っていて、父娘の愛情にホロリとさせられます。
 また、最近の同種の映画と同様に、音楽とSFX映像はすばらしく、三時間近い作品を飽きさせません。
 
 

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荒野の七人

2021-06-11 15:49:57 | 映画

 1960年公開のアメリカ映画です。

 黒沢明の名作「七人の侍」(その記事を参照してください)を、国境近くのメキシコの農村を舞台にした西部劇でリメイクしています。

 原作の持つ思想性や野武士に対抗する策略のおもしろさはなく、オールスター・キャストによる娯楽映画になっています。

 こうした映画(例えば「大脱走」(その記事を参照してください)など)を得意とするジョン・スタージェス監督が。ユル・ブリンナー、スティーブ・マックィーン、チャールズ・ブロンソン、ジェームス・コバーンなどの大スターにそれぞれ見せ場を用意するのに、抜群の手腕を見せています。

 世界中で大ヒットしたので、次々と続編が作られました。

 

 

 

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アイ・フィール・プリティ! 人生最高のハプニング

2021-06-09 16:59:09 | 映画

 2018年公開のアメリカ映画です。

 ぽっちゃりした体型と容姿にコンプレックスを持っている主人公が、スポーツジムで頭をうってから、「自分は最高の美人」に見えるようになることによって引き起こされるドタバタコメディです。

 主人公は、自分に自信を持つことにより、あらゆることにポジティブになり、仕事も恋愛も成功します。

 最後は、再び頭をうって魔法が解け、また自信を失いますが、やがて自分自身を受け入れるようになるというありがちなハッピー・エンディングです。

 何かのショックで主人公が変身する話は、映画でも児童文学でもよくあるのですが、この作品では外見は変わらないで自分に対する評価だけが変わるという点が新しいかも知れません。

 自己評価の低い人が多い現代では、このようなポジティブ・シンキングの映画は受け入れやすいかも知れません。

 映画としての出来はいまいちですが、主役のエイミー・シューマーの迫力ある演技は一見の価値はあります。

 

 

 

 

 

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大脱走

2021-06-05 15:58:16 | 映画

 1963年公開のアメリカ映画です。

 戦闘シーンのない、捕虜収容所からの集団脱走を描いた異色の戦争映画です。

 残酷なシーンはまったくなく、シリアスなシーンもできるだけ簡略化して、大勢の捕虜をどのように脱走させるかに的を絞って、いろいろな難問を解決していって、観客の一種の知的な好奇心を満足させる、ある意味健全な娯楽映画に仕上がっています。

 結果的には、最後まで脱走に成功したのは数名にすぎず、大半が途中で捕まり、そのほとんどがゲシュタポに銃殺されるという悲劇的な結末なのですが、なぜかスポーツの好ゲームを見たときのような、不思議な爽快感が得られます。

 スティーブ・マックイーン、チャールズ・ブロンソン、デビット・マッカラム、ジェームス・ガーナー、ジェームス・コバーンなど、当時日本でも人気のあった大スターたちが大勢出演しているので、それぞれに見せ場があり、彼らのファンがすべて満足できるよう、監督のジョン・スタージェスが絶妙のバランスを取っています。

 

 

 

 

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パルプ・フィクション

2021-06-03 21:32:16 | 映画

 1994年のアメリカ映画で、アカデミー賞脚本賞やカンヌ映画祭のパルム・ドールなどを受賞しました。
 犯罪や暴力をファッショナブルに描く、クエンティン・タランティーノ監督の出世作です。
 この映画でも、マフィア組織の中の様々な人間(殺し屋たち、ボス、ボスの若い妻、八百長を引き受ける落ち目のボクサーとその若い恋人、殺人などの現場の後始末屋など)が引き起こす様々な事件(殺人、殺人の後始末、麻薬取り引き、麻薬による事故、暴力など)が、全編に流れるサーフィン・ホットロッド・ミュージックにのせて、軽快な調子でランダムに描かれます。
 特に、一見でたらめのように時系列を無視して並べられたエピソードが、実は互いに関係性を持っているのが斬新です。
 特に、最初と最後に現れる安っぽいチンピラの強盗カップルが、パルプ・フィクション(低質な紙に印刷された安っぽい大衆向け娯楽雑誌に載っている物語)を象徴していて、全体に不思議な統一感をもたらしています。

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鍵泥棒のメソッド

2021-05-26 16:50:16 | 映画

 ひょんなことから人生が入れ替わってしまった、自殺未遂した(失恋のため)売れない役者の男と殺し屋(実は、用意周到な計画と巧みな芝居で、殺されそうな人を逃がす「闇の便利屋」)の男、それに、何ごとも極めて計画的に推し進める雑誌編集長の女(結婚予定日を決めてから結婚相手を探しています)が、入り乱れて繰り広げるドタバタコメディです。
 堺雅人、香川照之、広末涼子といった、それぞれの役にピッタリな芸達者が熱演していて、けっこう笑えます。

 このような荒唐無稽な設定にも一定のリアリティを与えて、最後の大団円のハッピーエンドを迎えます(かなり強引ですが)。

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頭上の敵機

2021-05-19 09:17:59 | 映画

 1949年のアメリカ映画です。

 実話に基づいた戦争映画の傑作です。

 人情派の司令官の元で戦果が上がらなかったアメリカ軍の爆撃機の連隊に、新しい連隊長が赴任します。

 彼は、非情と思えるほどの厳しい姿勢で、連隊のメンバーを鍛え直します。

 隊員たちは反発しますが、連隊長は公私の区別なく厳しい態度でのぞみます。

 連隊は徐々に成果が上がっていくのですが、そのために連隊長ははかりしれないほどのストレスを受けてしまいます。

 ドイツへの直接の爆撃が始まり、非常に困難な爆撃の当日、とうとう連隊長は心身に以上をきたし、一緒に出撃できなくなります。

 爆撃を成功させ、連隊の爆撃機が21機中19機も帰還できた時、連隊長はようやく安心して眠りにつけます。

 戦争に限らず、困難な状況におけるリーダーシップのあり方について考えさせてくれる作品です。

 若者たちをどうしたら一人前に成長させることができるかについて、たくさんの示唆に富んでいます。

 もちろん、現代の若者たちとは気質も考え方も大きく異なりますが、部下との距離の取り方などでは、今のマネージメントにおいても参考になる点があるのではないでしょうか。

 映画の大半は基地内でのシーンですが、空中戦などのシーンでは、実際のアメリカ軍やドイツ軍が撮影した映像が使われていて、リアリティを高めています。

 

 

 

 

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アクアマン

2021-05-18 15:32:56 | 映画

 いまはやりのアメコミのスーパーヒーロー物です。
 海底に沈んだアトランティスの王女と人間の男性との間に生まれたアクアマンが、超人的な活躍を見せます(もともと超人なので当たり前ですが)。
 ストーリー自体は、王国の血統だの、男女や親子の愛情だのに、欧米では根強い人気のあるアーサー王伝説(主人公の名前もアーサーです)をからませた他愛のないものですが、活躍する舞台がすでに他の映画で見慣れた地上や宇宙ではなく、海中や海底なのが目新しい点でしょう。
 海底の様子や海の生物たちをうまく生かしたCGはなかなか良くできていて、一見の価値はあります。
 主人公も頭の悪そうな筋肉ムキムキ男なので、昔のアーノルド・シュワルツネッカーやシルベスター・スタローンを主役にしたアクション映画(コナンやターミネーターやロッキーやランボーなど)のようで、観客には親しみが持てます。

 

 

 

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ゴジラ キング・オブ・モンスターズ

2021-05-17 17:24:01 | 映画

 2019年に日米同時公開された怪獣映画です。
 一言で言えば、薄っぺらい人間ドラマとインチキ臭い科学的説明と最新CGで作られた東宝怪獣オールスターズ(ゴジラ、モスラ、ラドン、キングギドラ)が、大暴れする映画です。
 怪獣大好きな男の子たち(私もそうですし、きっとこの映画の監督もそうでしょう)が、幼いころにやった怪獣ごっこを、すごくお金をかけて再現してくれているので、大満足でした(後で説明しますが、こうした映画には、薄っぺらい人間ドラマとインチキ臭い科学的説明は必要なのです)。
 全編、東宝の怪獣映画(特に初期の映画である「ゴジラ(1954年)」、「空の大怪獣ラドン(1956年)」、「モスラ(1961年)」)へのオマージュに溢れています(私はゴジラと同い年なので、これらの映画をリアルタイムでは見ていませんが、私が子どものころは夏休みには「怪獣映画大会」などと称して古い映画も上映されていたので、小学生のころに見ています。私が、初めて封切り映画を見たのは「キングコング対ゴジラ」(1962年)で、北千住にあった千住東宝というトイレの臭いがただよってくる場末の小さな映画館に、今は亡き父親に連れていってもらいました。恐いシーン(この映画ではキングコングが善い役でゴジラが悪役だったので、キングコングがピンチのシーン)の時に、顔をそむけていた私の目を父が手で覆ってくれたのを今でも懐かしく覚えています)。
 主役のゴジラについては、強さや破壊力(お約束通りに放射能の光線を放つのですが、今日日こんなことをやっていいのかと心配になります)だけでなく、天敵の芹沢大助博士(平田昭彦が演じ、戦争で右眼を失ったという設定で眼帯をしているのがかっこ良かったです)発明のオキシジェン・デストロイヤー(水中酸素破壊装置)で一度はお約束通りに死亡します。
 モスラに関しては、監督の一番のお気に入りらしく、卵、幼虫、さなぎ、成虫と、きちんとステップを踏んで登場しますし、特に根拠は示されずに(怪獣ファンなら誰でも知っているので説明するまでもないのですが)、最初から正義の味方として描かれています。
 ラドンに関しては、オリジナル通りに火山(オリジナルは阿蘇山)から登場して、一番の見せ場であるジェット戦闘機に追いつくシーンやラドンが飛び過ぎた後(ラドンの空飛ぶスピードは、軽く音速を超えています)の衝撃波で街なみを破壊するシーンもきちんと登場します。
 敵役のキングギドラの圧倒的な強さや迫力はCGならではの魅力が満載(オリジナルでは、大勢のスタッフで演じなければなりませんでした)ですが、初登場の「三大怪獣 地球最大の決戦」(1964年)では、ゴジラ、モスラ、ラドンの連合軍と戦わされたのですが、この映画ではアメリカ人好みのフェアを大事にしたのか、ラドンが味方してくれます。
 また、怪獣の突然の登場に、後ろを振り返りながら逃げ惑う群衆というお馴染みのシーンも、CGだけに頼らずに忠実に再現されています(大量のエキストラを動員する予算の関係か、アメリカではなく、外国でのシーンでしたが)。
 主役のアメリカ人一家も、渡辺謙が演じる日本人博士も、それぞれの国の昔のメンタリティ(自己犠牲の精神で自爆してゴジラを復活させる日本人、やたらとヒロイックなアメリカ人)も、忠実に描かれていてけっこう笑えます。
 ここで、前述した薄っぺらい人間ドラマとインチキ臭い科学的説明がなぜ怪獣映画で必要かを説明しますと、前者は早くこんなシーンは終わって怪獣同士の戦いが始まらないかなあと観客の気持ちを高める効果がありますし、後者はできるだけたくさんの怪獣同士の戦い(一度死んだはずのゴジラを復活させたり、世界中に散らばって遠く離れていた怪獣たちを素早く集めて戦わせたりしなければなりません)を効率よく実現するのに有効だからです。
 ストーリー以外で私が気が付いた、怪獣映画へのオマージュを以下に列挙します。
1.日本を代表する作曲家である伊福部昭が作曲した名曲「ゴジラのテーマ」が、いろいろな形にアレンジされて、全編に流れています。
2.有名な「モスラの歌」がアレンジされて、エンドロールで流れていました(どうせなら、小美人(ザ・ピーナッツ)が歌うオリジナルの「モスラの歌」(これはきちんとインドネシア語でモスラをたたえる歌詞になっているそうです)を流して欲しかったですが)。
3.渡辺謙が演じる芹沢猪四郎博士の名前は、もちろんオリジナルの「ゴジラ」に登場する芹沢大助博士と映画の監督をした本多猪四郎監督の合成です(ちなみに芹沢大助の父親の芹沢英二は、特撮監督の円谷英二との合成であることは言うまでもありません)。
4.エンドロールで、ともに2017年に亡くなった「ゴジラ」や「モスラ」のスーツアクターたちに謝辞を述べています。
5.チャン・ツィイーの演じる女性博士は、同じ研究機関に勤めていた祖母、母も双子という設定で、明らかに小美人を意識しています。
 おそらく、私が気付かなかっただけで、他にもたくさん散りばめてあることでしょう。









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蜜蜂と遠雷

2021-05-12 16:48:49 | 映画

 

 

 恩田陸の二段組500ページ以上の長編(その記事を参照してください)を二時間弱の映画にどうまとめるのか、興味津々で観ました。
 私の浅薄な予想を裏切って、人間ドラマはできるだけシンプルにして、演奏シーンに十分に(それでも原作に登場する膨大な楽曲のほんの一部ですが)時間を割いていたので、音楽ファン(というよりはオーディオマニアかもしれませんが)としては、最近の映画館の非常に優れた音響で、才能ある若手ピアニストたちの演奏を、これまた才能のある若手俳優たちの演技付きで堪能できました。
 原作を読んだときと同様に、手持ちのクラシック音楽(特にピアノ曲)の音源をまとめて聴きたくなりましたし、映画館で聴いたせいで現在の自室の貧弱な音響設備を何十年かぶりで昔のように最新のものに更新したくなりました。
 そういった意味では、この映画はクラシック音楽やオーディオの楽しみを発見(再発見)させてくれるものなのかもしれません。
 ただ、人間ドラマをシンプルにしたために、原作を読んでいない観客には、ストーリーや人間関係がわかりにくかったでしょう。
 そのため、興行的にはやや苦戦するかもしれません。

 

 

 

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