1957年公開のアメリカ映画です。
アガサ・クリスティの有名なミステリー小説、「検察側の証人」を映画化したものです。
殺人犯の夫を救うために一世一代の名演技をした元女優の情婦(もう賞味期限が切れた言葉ですね)のストーリーはあまりにも有名ですが、原作が短編なので、本来はない味付けをしていて原作のファンには好悪分かれる作品になっています。
主役の軽薄な美男子をタイロン・パワー、その情婦をマレーネ・ディートリッヒという、当時でもやや盛りを過ぎた大スターが演じたので、二人に過度な芝居をさせるようなシナリオになっています。
特に、ディートリッヒに原作にはない年上女性の悲哀を出させるために、ラストで男の裏切り(若い愛人の登場)と彼女による男の殺人といった場面を加えたのは、誰が見ても蛇足でしょう。
原作の持つ、ラストの切れ味が失われてしまいました。
もうひとつは、チャールズ・ロートンが演じる法廷弁護士の方を主役に据えて、彼の付き添い看護婦(エルザ・ランチェスター)とのユーモアあふれるやり取りを加えたことですが、二人は実生活では夫婦なのでさすがに息がぴったりで、こちらは楽しく見ることができました。