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現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

女の都

2021-05-11 10:27:26 | 映画

 1980年公開のイタリア・フランス合作映画です。

 フェデリコ・フェリーニ監督らしい、めくるめく官能的な映像が展開されます。

 お馴染みのマルチェロ・マストロヤンニ扮する中年男が、列車で知り合った官能的な女性に導かれるように途中下車して、女性優位の世界「女の都」に迷い込みます。

 フェミニストの集会、女性の暴走グループ、官能の館、別れた妻との再会、幼い頃からの女性に関する思い出の世界などをさ迷います。

 それを通して、男性優位の社会、セックス、フェミニズムなどのあらゆるものを風刺しています。

 フェリーニの他の映画にも出てきますが、彼は胸やお尻が豊満な女性が好みのようです(実生活の妻であるジュリエッタ・マシーナは痩せ型の小柄な女性なのですが)。

 

 

 

 

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甘い生活

2021-05-11 10:24:38 | 映画

 1960年公開のイタリア・フランス合作映画です。
 巨匠フェデリコ・フェリーニ監督が、マルチェロ・マストロヤンニの演じるゴシップ記者の目を通して、ローマの、特に上流階級の退廃した生活を描いています。
 1950年代のフェリーに作品と違って、社会批判や風刺の力は弱くなっていて、フェリーニ好みの絢爛たる映像美が目を引きます。
 この変化の象徴として、かつては私生活でもパートナーのジュリエッタ・マシーナのような決して美人でない演技派の女優が主人公だったのに対して、この映画にはたくさんの美人女優が出演しています。
 中でも、アニタ・エグバーグ演ずるアメリカ女優は群を抜いてゴージャスで、彼女とマストロヤンニが、あのトレヴィの泉で戯れるシーンは有名です。
 ちなみに、有名人を追い掛け回すゴシップカメラマンのことをパパラッチと呼ぶようになったのは、この映画で同様の仕事をしている男の役名パパラッツィオからきていると言われています。
 

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帰らざる日々

2021-05-07 20:57:34 | 映画

 早朝の新宿駅に、飯田行き急行に乗りこむ野崎辰雄の姿がありました。
 父の突然の死が、作家を志していた辰雄に六年振りの帰郷を促したのです。
 そこから辰夫の回想シーンが始まります。
 一九七二年の夏、辰雄の母は若い女のもとに走った夫と別居し、辰雄は母一人子一人の生活を送っていました。
 高校三年だった辰雄は、溜り場の喫茶店のウェートレスの真紀子に思いをよせていました。
 そんな辰雄の前に、真紀子と親しげな同じ高校の隆三が現われました。
 マラソン大会があった日、辰雄は隆三に挑みましたが、デッドヒートの末にかわされてしまいます。
 数日後、辰雄の気持を知った隆三は辰雄をからかいますが、隆三と真紀子がいとこ同志とも知らずにむきになる辰雄に隆三は次第に好意を持ちました。
 卒業後、東京に出ようと思う辰雄、学校をやめて競輪学校に入る夢を持つ隆三、そして真紀子の三人は徐々に友情を深めていきます。
 夏休みの盆踊りの晩に、辰雄と隆三は、真紀子が中村という妻のいる男と交際しており、すでに子どもを宿していると知らされ、裏切られた気持で夜の街をさまよい歩くのでした。
 翌日、二日酔でアルバイトをしていると、隆三が足に大怪我を負ってしまいました。
 競輪選手への夢もこれで終りです。
 ここで回想シーンは終わります。
 飯田に近づくと、辰雄は見送りに来ていた同棲相手の螢子が列車に乗っているのを見つけました。
 それは、彼の母に会いたい一心の行為であり、結局辰雄は螢子を連れていくことに決めます。
 飯田に着くと、父は隆三の運転する車で轢死したことを知らされます。
 隆三も重傷を負っており、昏睡状態の彼を前に、辰雄は六年前の苦い思い出をかみしめます。
 父の葬儀の夜、真紀子が北海道に渡ったことを知らされます。
 翌朝、かつて隆三と走った道を歯をくいしばって走る辰雄と、その後を自転車で追う螢子の姿がありました。
 この映画は、カット・バックを大幅に導入して、青春の日の恋や友情を感動的に描いていると、公開当時に評判になりました。
 6年ぶりに帰郷する主人公が、列車の中で高校生の頃の自分を回想するという構成で、親友との三角関係、性体験、親子の確執などが語られていきます。
 ドラマティックなラストの良さはもちろん、誰もが体験するような小さなエピソードがこの作品の魅力でしょう。
 特に、主人公と初体験の相手との別れのキスシーンは、日本映画史上においても屈指の出来と言われました。
 この作品は、「キネマ旬報」というマニアックな映画雑誌の読者投票で、1978年の日本映画の第1位に選ばれたほど、映画ファンの人気を獲得した映画でした。
 城戸賞という映画脚本の新人の登竜門の賞を受賞した中岡京平の自伝的な脚本「夏の栄光」を、「八月の濡れた砂」などの青春映画の職人的な監督だった藤田敏八が、徹底的に娯楽的な要素を強調して演出しています。
 自分の中途半端さを持て余している少年の倦怠感、父親の不倫、年上の美しい女性への憧れと失恋、男同士の汗臭い友情、過剰なまでのエネルギーの濫費、異性との初体験、大人との間の越えられない壁、そして、友との悲しい別れなど、およそ青春映画にはありがちな要素をすべて詰め込んだようなベタな青春映画です。
 映画のタイトルまで、当時人気のあったフォークグループ「アリス」のヒット曲の「帰らざる日々」にしてその曲を主題歌に使い、娯楽性を徹底的に追及しています。
 舞台である長野県の飯田にロケして、低予算、短期間に撮影されたいわゆるプログラム・ピクチャー(当時は映画は二本立てで上映されていて、そのうちのメインではない方)なので、ストーリーもかなりご都合主義ですし、俳優の演技やセリフ回しも生硬さが目立ちます。
 そんな映画がこれほど当時の映画ファン(といっても男性だけですが)に支持されたのは、彼らの青春へのノスタルジーをうまくかきたてたからでしょう。
 将来の夢、飲酒、喫煙、同性の友だちとの熱い友情、そして、何よりも異性への欲望を十分に満たしてくれます。
 年上で上品な美しいあこがれの女性、対照的にちょっとはすっぱだけど一方的に主人公に好意を寄せてファーストキスや初体験を許してくれるかわいい幼馴染、主人公をあれこれ面倒を見てくれる世話女房的な今の同棲相手と、この時代の男の子たちが望むあらゆる女性のタイプがそろっています。
 当時のほとんどの若い男性(特に恋人がいない人たち)に、「あるべき青春」(実際の彼らの青春はこんなにうまくはいかなかった)を見せてくれます。
 それも、24歳になった主人公が六年前の高校三年生の時を振り返るという作りなので、青春そのものとそれらへのノスタルジーの両方を味あわせてくれるのです。
 三十数年ぶりにDVDで見た感想は、「やっぱり見なければよかった」、「なぜだか悲しい」というものでした。
 「やっぱり見なければよかった」というのは、若いころ(あるいは子どものころ)に夢中になったエンターテインメント作品(まんが、テレビ、映画など)を久しぶりに見たり読んだりした時にいつも感じることです。
 こういったエンターテインメント作品は、その時その時の時代の雰囲気の中にいてこそ本当の意味で楽しめるもののようです。
 感性も考え方も変わってしまった現時点で見直しても、魅力を感じるのは当時これらの作品に夢中になっていた自分へのノスタルジーの方で、作品そのものの魅力ではなくなってしまっていることが多いのです。
 「なぜだか悲しい」という感想は、この「帰らざる日々」の原作者や主人公が自分と全く同年齢であることが大きな理由かもしれません。
 この映画のテーマは、すでに述べたように「青春へのノスタルジー」なのですが、現時点でこの映画を見ると、「青春へのノスタルジー」を観ていたころのまだ若かった自分へのノスタルジーという、ノスタルジーの二重構造になってしまっているからでしょう。
 また、この映画に出演していた女優たち(特に幼馴染を演じた竹田かほり)は、この後すぐに結婚(相手は甲斐バンドの甲斐よしひろです)して引退してしまった(しかも彼女たちはB級アイドルだったのでテレビなどで回顧されることもない)ので、映画の中に若い魅力的な姿のまま封じ込まれていて、なんだか昔のクラスメートの女の子に当時のままの姿で再会したような不思議な気分を味わったのも、「なぜだか悲しい」という気持ちになった理由なのかもしれません。
 残念ながら、児童文学のエンターテインメント作品は子どものころにまったく読まなかった(まんがやテレビアニメが今よりも全盛の時代でしたので、児童文学のエンターテインメント作品はほとんど駆逐されていました)ので、この感覚が児童文学のエンターテインメント作品でも同じなのかは、自分では検証できません。
「ズッコケ」や「ゾロリ」などを読んで育った当時の子どもたち(すでに四十代、五十代になっている人たちもいるでしょう)は、今それらを読み返したらどんな感じなのでしょうか?


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タンポポ

2021-05-05 13:54:50 | 映画

  1985年公開の伊丹十三監督のコメディです。

 はやっていないラーメン屋を、行列のできるような人気店にしていく過程を、なぜか西部劇調で描いています。

 本編(宮本信子、山崎努という、伊丹映画おなじみの二人が主演しています)はまあまあのでき(それにしても伊丹監督は、妻の宮本信子を、この映画でもなんと魅力的に撮っていることか)ですが、その周辺で描かれている本編とは直接関係ない食に関するコント(役所広司、中村伸郎、津川雅彦などの名優たちが大まじめに演じています)の数々が秀逸で、そちらの方が強く印象に残ります。

 グルメ、アンチグルメ、皮肉、批判、シュール、エロス、コミカルなどの様々なテイストを持ったそれぞれのシーンで、伊丹監督の唯一無二の才能がきらめいています。

 

 

 

 

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十二人の怒れる男

2021-05-02 14:30:32 | 映画

 1957年公開のアメリカ映画です。

 1954年に作られたテレビドラマの映画化です。

 ほとんどが、陪審員室の中で、評決をするために議論する12人の男を描くだけで、一本の映画ができています。

 その点で、優れた脚本と俳優の演技さえあれば、費用をかけなくても優れた映画ができる手本としてよく語られます。

 スラム街の少年による父親殺しの事件の、12人の陪審員たちは、ほとんどが有罪に傾いていました。

 ただ一人陪審員8号だけは、少しも話し合わずに有罪(それは死刑を意味します)にすることにためらいを持ち、話し合うために無罪を主張します(全員一致でないと評決できません)。

 それからは、12人の個性と個性がぶつかり合う中で、ひとつひとつの証拠や証言が吟味されて、やがては全員が無罪の評決をします。

 その過程で、感情的だったり、論理的だったり、御都合主義だったり、日和見的だったりする陪審員同士のやり取りが、密室劇にもかかわらず(あるいはそのせいで)、非常にスリリングに展開されます。

 縁もゆかりもないスラム街の少年のために、懸命に議論する互いに全く関係のない男たち。

 評決後、裁判所を去るときに初めて名乗り会う陪審員8号と9号の老人のラストシーンが鮮やかです。

 この映画は、良くも悪くもアメリカの陪審員制度を語る上で、よく引き合いに出されます。

 ヘンリー・フォンダが演じた陪審員8号は、まさに「アメリカの良心」とでも呼ぶべき、静かだけど強固な意思を感じさせ、一人の典型的なアメリカのヒーロー像として、高く評価されています。

 

 

 

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荒野の決闘

2021-05-01 21:02:47 | 映画

 1946年の、西部劇の巨匠ジョン・フォード監督の作品です。
 有名なOK牧場の決闘を描いています。
 カウボーイ、保安官、西部の町、ガンファイト、復讐、酒場、ばくち、教会、男の友情、女の愛情、駅馬車など、西部劇のすべての要素をちりばめたベタな映画です。
 そんな70年前の古い映画が、今でも魅力を持ち続けているのは、ジョン・フォード監督の手堅い演出と二人の男性俳優の魅力のおかげでしょう。
 ヘンリー・フォンダが演じる武骨で誠実な保安官ワイアット・アープと、ビクター・マチュアが演じる男の色気にあふれたやくざな医者ドク・ホリデイ。
 映画の中でも女性にもてるのは当然ドク・ホリデイですが、映画の主役はワイアット・アープなのです。
 ヘンリー・フォンダは、有名な「十二人の怒れる男」でもそうですが、こうした古い言い方でいえば男のなかの男を演じたらナンバーワンです。
 死んだドク・ホリデイのいいなづけ(懐かしい言葉ですね)のクレメンタインと別れるとき、ひそかにに恋しているのに、くちびるではなくほほにキスして、「あなたが好き」と言うのではなく「あなたの名前が好き」と言って去る後姿に、有名な主題歌「いとしのクレメンタイン」が流れるラストシーンはしびれます。
 そう、これは、映画の主な観客が男性だった古き佳き(語弊がありますが)時代の映画なのです。

 

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マイ・フェア・レディ

2021-05-01 13:08:33 | 映画

 1964年公開のアメリカのミュージカル映画です。

 ひどい下町訛のある花売り娘イライザが、言語学の教授の特訓によってレディになっていく様子を描いています。

 初めはたんなる賭けの対象(舞踏会へ彼女を送り込んでも、レディとして通用するかどうか)でしかなかったのですが、あまりに見事なレディぶり(かなりの部分は彼女の美しさでしょう)に、最後は独身主義者の教授も心引かれるようになります。

 この映画の成功の原因はなんといっても、オードリー・ヘプバーンの魅力でしょう。

 アカデミー賞の作品賞や主演男優賞(教授役のレックス・ハドソン)など八部門も受賞し、オードリーは主演女優賞にノミネートさえされていませんが、花売り娘からレディに変身していく随所に、オードリーの魅力があふれています。

 イライザの歌の大半は吹き替えになっていますが、彼女も実際に歌いながら演技しているそうです。

 それにしても、名曲の数々とゴージャスな衣装やセット(特に競馬場や舞踏会のシーン)は、このころが映画の全盛期だったんだなあを感じさせてくれます。

 

 

 

 

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聖の青春

2021-04-26 15:10:04 | 映画

 2016年の日本映画です。

 29才の若さで亡くなった将棋の村山聖九段の生涯を描いた作品です。

 ノンフィクション的でなく、無理に人間ドラマを作ろうとして失敗している感じです。

 悲惨な病気の様子や破綻した日常生活を描くのに終始していて、肝心の棋士としての村山九段の魅力が描けていません。

 主人公以外で唯一実名で登場する羽生七冠の描き方も、これではたんなるものまねで、彼の棋士として、そして人間としての魅力を生かせていません。

 もっと村山九段の棋士としての魅力を前面に出して、ノンフィクション的に描いた方がよかったのではないでしょうか。

 

 

 

 

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ラ・ブーム

2021-04-26 11:28:22 | 映画

 1980年公開のフランス映画です。

 この映画で一躍アイドルになった、美少女ソフィー・マルソーのデビュー作です(この映画にはオーディションで選ばれました)。

 中学生たちの大胆な恋愛シーンが評判になり、フランスだけでなく日本も含めた世界中で大ヒットしました。

 ブーム(子どもたちだけで開くダンスパーティ)やかっこいい男の子にあこがれる女の子の等身大の姿を、両親の浮気や別居などとからめて、コミカルに描いています。

 ストーリー自体は他愛のないものですが、当時(今も変わりませんが)の日本の中学生には考えられないきわどいシーンの連続なので、それにあこがれる世界中の中高生にうけて、それこそブームになりました。

 特に、主役のソフィー・マルソーは日本人好みのかわいい女の子なので、日本でも受け入れられたのでしょう。

 また、主題歌のリチャード・サンダーソンの「愛のファンタジー」も大ヒットしました。

 

 

 

 

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ロボコップ

2021-04-22 13:44:05 | 映画

 1987年公開のアメリカ映画です。

 殉死した警官を元に作られたサイボーグという斬新な発想と、従来にはない迫力ある(ある意味残酷な)戦闘シーンがうけて、低予算の映画ながらヒットしました。

 そのため、シリーズ化されたり、リメイクされたりしています。

 いま、見返してみても、CGに頼らない特撮シーンはなかなか迫力がありますし、生前の記憶(妻や息子)に悩むなどの人間性を感じさせるシーンもあって、少なくともこの第一作目は、一見の価値があります。

 

 

 

 

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ダイ・ハード2

2021-04-20 14:03:29 | 映画

 1990年に公開された人気アクション映画シリーズの第2作です。
 今度は、クリスマス(また?!)の空港を舞台に、ブルース・ウィリスが大暴れします。
 前作と同じキャストで、続き(一年後?)の感じで制作しているので、前作のファンは安心して楽しめます。
 ただ、前作よりアクションを派手にしなければならないので(シリーズ作品の宿命です)、荒唐無稽なシーン(例えば、爆発と同時に飛行機の操縦席の射出装置で脱出する、離陸した悪役の乗る旅客機を漏れているジェット燃料に引火した火が追いかけて爆発させるなど)が多く、主人公のやることにはなんでもありだと観客にもわかってしまって予定調和に陥り、その分スリルは減退しています。


 

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タバコ・ロード

2021-04-18 17:36:53 | 映画

 1941年のアメリカ映画で、1930年代の代表的なアメリカ文学であるコールドウェルの作品をベースにした戯曲をもとに作られています。
 濫作によりタバコも綿花も育たなくなったジョージア州の農民の悲惨な姿を、シリアスでなくコミカルに描いているのが原作の特長ですが、映画ではそれがさらに誇張されていて、教育も宗教も全く意味を持たないほど原始的な欲望が描き出されていて、アメリカのプアーホワイトの実態になじみがない現代の日本人から見ると、ほとんどシュールな世界に感じられます。
 ただし、こうしたプアーホワイトの人たちの共同幻想がトランプ大統領を生み出したのは紛れもない事実なので、この映画が描き出した世界はアメリカ社会の通奏低音なのだと思わざるを得ません。


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ラ・ラ・ランド

2021-04-15 13:39:41 | 映画

 アカデミー賞の作品賞を取ったと思ったのに、発表が間違いで取り損ねて評判になったミュージカル映画です。
 たしかに音楽とダンスは素晴らしい(特にオープニングの渋滞した高速道路での群舞は一見の価値があります)のですが、これもまたドラマが弱くて作品賞を取るほどの作品には思えませんでした。
 名もない若者たちが、恋は破れるものの、夢(女優になることと、昔ながらのジャズ・クラブのオーナーになること)はあっさりとかなえてしまい、ハリウッド好みのハッピーエンド(夢を捨てなければいつかはかなうという昔懐かしいアメリカン・ドリーム)です。
 また、見栄えを重視したせいか、貧しい(男はレストランのピアノ弾き、女は映画スタジオ内のコーヒーショップの店員です)はずの二人が、かなりいい車(男はスポーツカー、女はプリウス(わざわざ商品名を言うあたりはステマも疑われます)に乗っていて、かなりしらけます。
 まあ、しょせんはおとぎ話なのですから、あまり目くじらを立てる必要はないかもしれませんが。
 ただ、随所に流れるジャズの演奏は素晴らしかったの、音楽映画ファンには魅力的な作品でしょう。

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アリー/スター誕生

2021-04-06 16:51:51 | 映画

 レディー・ガガ主演の音楽映画です。
 1937年の映画「スタア誕生」(ジャネット・ゲイナーがアカデミー主演女優賞を受賞しています)のリメイク(ハリウッド映画から音楽界に舞台を変えて、女優ではなく歌手のスター誕生です)と言われていますが、上映後のクレジットには、1954年の「スタア誕生」(これも1937年版のリメイクでジュディ―・ガーランド主演のミュージカル映画)をもとにしていると書かれていました。
 場末の小さな舞台付きのバー(日本ならばニューハーフの人たちによるショーパブのような所)で歌っていた主人公が、ひょんなことからカントリーロックの大スターと知り合ってスターへの階段を駆け上り、グラミー賞の新人賞を得るまでを描いています。
 元の映画と同様に、新しいスターになっていく主人公の影で、難聴とアルコールやドラッグの依存症に悩む大スターは自殺するという悲劇的なストーリーで、特に大きなひねりはありません。
 ただし、主役のレディー・ガガの期待以上の演技と、いつもの派手なメイクをとった素顔(特に彼女自身がコンプレックスに思っている大きな鼻を強調して、主人公が実力があったにもかかわらず売れなかった理由に使っています)をさらけ出し、体当たりの演技(柔らかな表現にしていますがラブシーンやヌードシーンも結構あります)をしているのには感心しました。
 また、彼女と大スター役で監督も務めたブラッドリー・クーパーの歌声はさすがのものがあり、レディー・ガガのア・カペラを聴くだけでもファンならば一見の価値のある映画です。
 例によって、この映画でも黒人やLGBTの人たちにいい人役がをふってあり、ハリウッドでのダイバーシティの徹底を感じますが、純エンターテインメント系映画ほどは露骨ではなく、一定のストーリーのリアリティは保たれています。



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どら平太

2021-04-05 17:07:55 | 映画

 役所広司主演の娯楽時代劇です。
 新任の奉行が、藩の治外法権になっているような歓楽地で放蕩して、役所に一日も出仕しません。
 実はこの奉行は、殿様の上意を受けて、治外法権をめぐる藩の重役たちの不正を暴きに来たのです。
 まあ、遠山の金さん以来のよくある設定なのですが、にぎやかな殺陣シーンあり、男の友情あり、主人公が頭の上がらない女性との恋愛ありで、楽しませるシーンが満載です。
 ただ主人公がスーパーマンすぎて(百人ぐらいのやくざに囲まれても、平然とみねうちで全員倒してしまいます)、少しもハラハラしないのが難点でしょう。
 敵役のやくざの元締めの菅原文太がさすがの貫録の演技なのですが、それゆえに配下が倒されただけで、主人公にあっさり降参してしまうのには拍子抜けしてしまいました。

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