God is in the details ~神は細部に宿る~

一箱古本市専門店《吉田屋遠古堂》主人のぐうたらな日々。。。。

六根清浄 3

2007-03-11 17:23:20 | 歴史/民俗/伝統芸能
参道も中程をすぎ、結構のぼったと感じるあたりで(個人差あり)
仁王門にたどり着きます。



ここからさきに山院が点在するのです。
ちなみに、来た道を振り返るとこう。


さて、やはり岸壁は穴だらけではありますが、
このへんから少し事情が変わってきます。
まずは見てください。



中央の岩の裂け目に何かあるのがおわかりですか?
そう、石製の五輪塔が納められています。



こちらは五輪塔というよりは角柱状の供養塔でしょうかね。
よく見てください、ここにもあります。



これが山寺の本来の姿なのです。
先人たちは、この風穴を供養の場所として利用してきました。
たとえば、亡くなった人の遺骨や遺髪の一部、歯などを
回忌供養の際にこの風穴に納め、追善を行ったのです。
その際、柿経や小型の石製卒塔婆や五輪塔なども
一緒に納めています。その五輪塔が山寺の風穴の
至る所で見られるのです。

これはいわゆるお墓ではなくて、あくまで供養所です。
埋葬施設ではなく、亡き近親者の冥福を祈る場所です。
同じような行為は会津河東町の八葉寺雄島の岩窟も同様です。

泉崎にある観音山磨崖供養塔婆群なんかも同様の形態です。
山寺の場合は風穴を使った供養から、磨崖碑に変化していくというのが
特殊と言えば特殊かもしれません。

さて、このあたりになるとけっこう下界からは隔絶されており、
修行の場と行った雰囲気も出てきます。



岸壁の中腹には修行の場がしつらえてあります。そこに行くまでには
鎖をたよりに岸壁を上ったり、丸太橋をわたったり、それこそ修行です。
さらに山を分け入った奥の方なんかにも修行場があるそうですが、
一般の人は立ち入りを許されていません。


最新の画像もっと見る

5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ひす)
2007-03-12 12:45:49
さすがに霊場霊場してきましたね。
私は、こういう場所では怖くてシャッタ-押せません
う~ん、
やっぱ押せないな~。
霊感なんてまったくないのに・・
返信する
それは大きな誤解です(笑) ()
2007-03-12 19:43:53
霊地・聖地と呼ばれるところですから、
当然ながらすべての霊は成仏しているはず、です。
いたずら半分でなく、無心にシャッターを切れば
余計なものはうつりません。
というか、考えたことも無かったです(笑)
恐山でもシャッター切る人ですから、私・・・

ちなみに、私も全く霊感なんてありません。
返信する
供養所 (mamekichi)
2007-03-13 06:07:08
供養所ということですが,霊地・聖地と呼ばれるところだからこそ,こういう険しい山の中にでも,そういう場所を求めたということなのでしょうか?供養に出かけるにしても,相当苦労して行かなければなりませんね.そういう行為自体が,供養につながるというような考えなのでしょうかね.
返信する
異界 ()
2007-03-13 15:01:35
mamekichiさん、核心をついてますね!
しかし、険しいという点については
修行の上では必要条件でしょうが、
供養の上ではそれほど必要とされては
いないようです。

むしろ、現世といかに切り離されているか、
という点が重要視されますので、
たとえば、少し海を渡った島であるとか、
川の対岸であるとか、
あるいは村と村の境界であるとか、
なにかしら日常の空間と離れていさえすれば
それで十分だったようです。

ですから、人里離れた場所で突然、
予想もできないような風景が目前に現れれば、
それはもうそれだけで異界であって、
それだけで彼岸を思い浮かべてしまうのでしょう。

物理的なものではなく、精神的にいかに
日常を離れた場所であるかが
供養所のポイントの一つだと思います。
返信する
そういえば…… (mamekichi)
2007-03-14 20:40:02
既に亡くなりましたが,大正14年生まれの私の父親は,実家のある自治体からみて,ある川を挟んだ東側の,別の自治体のことを言うときに,「川向こう」とか,「川東<かわひがし>」とよく言っていました.これも川が,重要な境界とか,異界との境になっていたことを示す表現なのでしょうね.
返信する

コメントを投稿