God is in the details ~神は細部に宿る~

一箱古本市専門店《吉田屋遠古堂》主人のぐうたらな日々。。。。

こんにちは~、こんにちは~、世界のぉ国から~

2006-05-03 07:24:19 | 歴史/民俗/伝統芸能
 ドングリを含んだ食生活は、なにも岩手県に限ったわけではありません。北日本では多かれ少なかれ、堅果類がその食生活の一端を担っていた場合が少なくないのです。その一方で、ドングリについては三年に一度はけかちつまり不作のときがあるため、その補助として安定して実を結ぶトチが絶対的に必要となるそうです。逆に、栗やトチは量的にはドングリよりも収穫しやすい、つまり大きいので拾いやすいのですが、甘いので飽きるのだそうで、主食にはならなかったようです。

 考えてみれば葛粉は葛の根茎から取り出した澱粉だし、ワラビ粉や片栗粉についても同様です。地下から掘り出すか地面に落ちたのを拾うかの違いはどちらかと言えば植生の違いと必要量(依存度)の違いでしょう。植物から澱粉を取り出すという意味においては、それほどかわるものではありません。たとえば彼岸花も救荒植物で、鱗茎をさらして食用にしています。現在では本葛は高級品ですが、これは澱粉を分離するのに手間がかかるのと、取り出した澱粉の純度が高いため、白くて癖ないことなどによるものです。片栗粉は今となってはもちろん馬鈴薯から作られており、コーンスターチとかわりありません。

 さて、このドングリ、食べるのは日本人だけではなかったのです。韓国では現在でも普通にドングリ粉(トトリないしトドリ)を店頭で売っています。韓国では食生活において、いわゆる雑穀の占める割合が日本よりも高く、様々な穀類が流通しています。そんななかで、ドングリの粉も500グラムほどの袋詰めで売られています。
 この粉でもって、韓国の人たちは「ムック」と呼ばれる豆腐のようなものを作ります。トトリ・ムックです。私は食べたことがありませんが、やや癖のあるごま豆腐のようなものなのでしょうかね??そのほか、冷麺もかつてはドングリ粉で作られていました。ドングリ粉はグルテンが豊富であるため(このへん、想像です)、通常の麺類のようにこねたりのばしたり切ったりはできません。(熱湯で)ドロドロに溶いた粉を、湯を沸かした大鍋の上に底に穴をあけた缶を据え、その缶の穴から直接お湯の中に流し込みます。穴の大きさが面の太さになり、麺が固まったら冷水にとって丼に入れます。冷麺のコシは本来ドングリによって作られていたのです!!なので、スーパーとかでパッケージに入っている半生の冷麺は、やはり本場ものの食感にはかなわないようです。