God is in the details ~神は細部に宿る~

一箱古本市専門店《吉田屋遠古堂》主人のぐうたらな日々。。。。

海賊の盤にのせて、人が聞いたことのない音楽を聞こう

2005-09-16 22:07:15 | その他
海賊版、ブランドのコピー商品のことではない。

通常、bootlegブートレグ、略してブートと呼ばれることが多い。
つまり、製作者、著作権保有者の許可/許諾を得ずに非合法に販売される
音盤(レコード/CD/DVD)等のことである。
みんなやっているCDを無断でHDやCD-Rなどに複製する作業は、
販売を伴わなければ「違法コピー」であって、海賊版とは呼ばない。

 内容は大きくわけて2種類ある。一つは既に入手困難になってしまった既発表音源(オフィシャル)の無断再発である。
たとえば、私の持っている「Brian jones presents the Pipes of Pan at joujouka」や、「Amon Duul / Psychedelic underground」は、違法な再発版である。しかし、ジャケットはオリジナルLPそのままで、何食わぬ顔で店頭に並んでいた。ご丁寧に「限定再発」の冠をかぶって!!
 そこで、問題である。違法な無断再発であるのに、もともとの音源はどこにあるのだろう?まさか商品化するために制作した録音のオリジナル音源(マスターテープ)をレコード会社やアーティストが無断再発者に提供するはずもないし、そうしてもらったとしたら無断再発のブートにはならないわなぁ。ごく稀にレコード会社と険悪な関係になったアーテイストが自分でマスターテープを横流しすることがあるらしいけど。

 で、まぁレコード会社の関係者からマスターが横流しされるのはまだ良いほうである。ひどいのになるとレコード盤を再生して、それをライン録音してCD化するという荒技を使うものもある。Amon Duulのほうがこれで、ちょっと凄かった。使用したレコードが「針とび」するものだったのだ!!ご丁寧に一度針をあげて、少し進めて針を降ろすという親切さ(笑)

 そんな内容は見抜けない!しかし、夢の中でまでアルバイトに励むものが続出したという「廃盤洗礼」を受けたものたちにとって、「聞いてみたい」という気持ちは抑えがたいものであり、多少のリスクは覚悟の上であるし、高い授業料を払ってそうした経験を積んで、初めて「こりゃだまされた」とちょっと愉快になるようになるのである。決して粗悪品を見抜いて手を出さなくなるわけではないところが始末に負えない。限定再発にはご用心!!

 ちなみに廃盤洗礼とは、70年代末にイタリアものを中心に、プログレッシブロックのアルバムが軒並み廃盤になり(というよりあまり売れなかったから再プレスできなかったのか?)、新○レコードを中心に価格が時代を先取りバブル経済状態になってしまった状態を指す。その頃から断片的なものではあるが少しずつイギリス以外のプログレッシブロックの情報が入り始め、人々は先を争って狂ったようにまだ見たこともないレコードを、値上がり前に押さえようと必死だったのである。

「廃盤セール」の前日にレコード屋の前に出来る徹夜組、レコード棚(通称餌箱)から1コーナー全部抜いてレジで札束を払い、レコード屋の階段でやおら品定めをして不要レコードを買い取りコーナーに持ち込む奴、さらにはそいつが手元に残しておいたお目当てのレコードを「譲ってください」となきながら抱え込む奴(これは珍しく若い女性であった。訳あり??)。ああ、いやだいやだと思いながらも「今度の再発はギリシャ盤らしいですよ」との店員の会話を小耳に挟んで、即座に価格未定オーダーを入れた私も、充分自分が嫌になっている(笑)ちなみにそのときにオーダーを入れたのはPeter hammillの「OVER」であった。

それで思い出した。渋谷にある「マ○”ーレコード」はこれに目をつけて、貴重盤をダビングしたカセットテープを売っていたっけ。この店の店長はフレンドリーに「どんなの聞いてるの?」と声をかけてきて、こちらがなんと答えようとじゃあザッパなんてどう?じゃなきゃクリムゾンと勧めてくる人だった。店長は後年、ザッパがCDで再発になったとき、名盤「シーク・ヤブーティ」の解説を書いていたので、その道では有名な人だったらしい。比較的良心的な価格設定の店であった。この店で前出の「OVER」の中古が5000円で売りにでていたのだが、お金をとりに戻ったすきに他の人に買われてしまった。それを買った方と後に偶然話す機会があり、非常に申し訳ながっていた(笑)

あぁ、余計なことで筆が進んでしまった。ま、とにかくそこまでして聞きたい音が、そこにはあったのだ!!

以下、bootlegについてはつづく!