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「先住民族学校」祖先を知る・台湾 2013・08・09読売新聞
台湾東部・台東市の中心街から車で約20分離れた自然豊かな郊外の村で、先住民族・ピュマ族が自らの伝統文化を、その子供たちに教える「集落学校」が開かれていた。
ピュマ族で元軍人の林三郎さんが、クマよけの鈴のように腰につけて音を鳴らす伝統的な鉄器の使い方を子供たちに教えた。
「森の中で、敵と遭遇すれば、音のリズムが変わる。遠くにいる仲間に伝える警報機能があるんだ」
続いて、刀や楯の使い方も、実演をまじえた解説した。
ピュマ族は現在約13000人。
日本でもコンサートを開く女性歌手・張恵妹さんもその一人だ。
別の先住民族との縄張り争いを繰り返し、17世紀には台湾を占領したオランダにも抵抗した歴史を持つ。
林さんが紹介した武器類は、今では使われておらず、子供たちは興味津々で見入った。
この「集落学校」は、馬英九総督が打ち出した、先住民族に対する教育振興政策の一環として、今年設けられた。
授業は普段の土曜日や夏休みなどにある。
12才から15才の約30人が武器の扱いのほか、固有の言語や歴史、伝承、祭事など、学校教育カリキュラムには無い内容を3年間学び、民族のアイデンティティーを養う。
この日臨時の助っ人や教師として呼ばれた林さんを含め、教師も全員ピュマ族だ。
学費は無料、志願して入学した楊揮祖君は、「特に弓矢を習うのが面白い。家にいるより楽しい」と話し、評判は上々だ。
入学時に面接を課されるが、元警察官の校長によると、「選ばれたという名誉な気持ちを持たせるため」だという。
台湾当局は、ピュマ族を含め14の先住民族の「集落学校」を、10年間で30校以上設置していく計画だ。
背景には、多数派の漢族文化の流入で、先住民族の固有文化が失われつつあるとの危機感がある。
ただ武器類の扱い方などは実生活に役立つのか、意味はあるのか。
そんな疑問をぶつけると、校長はきっぱりと答えを返した。
「われわれの祖先がどうやって生きてきたかを知ることには、大事な意味がある」
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読売新聞2013・05・13には、次のような記事がありました。
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台湾の山岳地帯で自然と先住民文化を満喫するエコツアーが人気を呼んでいる。
森林と共生するブヌン族が案内人だ。
台東県の中心地から車で30分、亜熱帯高木のアコウなどがそびえる海抜500メートル以上の森林に、人口約900人のブヌン族の集落がある。
年間約15000人が参加する「森林文化博物館」と名づけられたツアーの拠点だ。
主催者は地元育ちのマティカラン・アリマンさん。
ツアーに先立ち、山で部族の繁栄を守っているとされる祖霊に酒を供えるよう、参加者にお願いする。
聖なる森林を大切に引き継ぐブヌン族ならではの慣習。
「文化体験を通じ、自然を尊重する心を養ってほしくてね」
ツアーでは、森林散策に加え、猪肉のバーベキュー、山菜料理も楽しむ。
リフレッシュを求める中高年の参加者が多く、木登り遊びに真顔で取り組む姿も。
ツアーは2004年から。
前年に集落一体で台北の開発業者によるリゾートなどの建設計画が持ちあがったことがきっかけだった。
「先祖伝来の地を守りたい」一心で、アリマンさんは予定地約8ヘクタールを約1300万台湾ドル(約4300万円)を借金してして買収。
「自然の大切さを人々が知れば、安易な開発も防げるはずだ」とのアリマンさんの発案で、ブヌン族仲間も案内役に加えたツアーが始まった。
「人間は主役ではなく自然の一部なんですよ」ーー濃い緑の中、参加者に語るアリマンさんの言葉に力がこもった。
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