山本ひろ子氏の「異神」のご紹介を続けます。
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(引用ここから)
経典は、次のように述べている。
・・・
舎利弗は次のように尋ねた。
「なぜ未来世の貧しい衆生に福徳を施すのですか?
いかなる因縁で、衆生の運命は貧困から富貴へ、また富貴から貧困へと転変するのでしょうか?
仏は答えると、城の北西の方角に向かって三度弾指した。
すると乾の方角から、一人の美しい天女が現れた。
頭上に白蛇を乗せ、四方に如意宝珠、ほこ、剣、棒をたずさえた天女は、15人の童子と35000の眷属を率いていた。
仏の前に進み出た天女は「如意宝珠」という名の神呪を受持していると告げ、その由来を次のように語る。
「如意宝珠は悠久の昔に空王如来より授けられたものです。
「宇賀神王」はこの力を仰ぐことにより、福の神として貧窮無福の衆生を利生してきたのです」というのだ。
仏は「宇賀神王」を讃嘆しつつも、次のように言う。
「その福徳にあずからない者もいる。それは障碍神(しょうげしん)である」。
「宇賀神」の住まう所は、吉祥の方位であった。
しかしその反対側、辰巳(東南)には三悪神がいるという。
三悪神とは「飢渇神」、「貧欲神」、「障碍神」という名の悪神である。
経文には彼らのおぞましい姿が描かれているが、とりわけ「貧欲神」は“ガマ”と表現されている。
「宇賀神」が降伏する対象は、しばしば“ガマ”の姿をとる。
「宇賀神」の冠上の“白蛇”は、“ガマ”の姿の「貧欲神」をしりぞけ、剣の力で「障碍神」を破り、如意宝珠の効能で「飢渇神」を降伏する、という。
「宇賀神王」は三悪神のいる辰の方向と対峙していることで、三神の障碍の働きを封じているのだった。
舎利弗が再び、仏に向かって問う。
「なぜ長者は今世に七度富貴、七度貧困になったのか」の因縁を尋ねる。
すると仏は、「長者が仏事を怠ったため、「荒神」の怒りをかい、福徳を奪い取られて貧と福が逆転した」と答える。
七貧の原因は荒神にあった、とされるのだ。
この経典から、「宇賀神王」の物語は、仏典に「荒神」因縁譚を取り込んだものであることがわかる。
そのためにプロットに無理がありストーリーの展開がなめらかでないにしても、福を与える者と奪う者という両極の関係において、「宇賀神」と「荒神」が劇的に交渉する場面が浮かびあがってくるのだ。
(引用ここまで)
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筆者の論考はまだまだ続くのですが、今回はこのあたりで止めておきます。
蛇年の蛇が十二支の中にあるように、蛇と人間は深いかかわりがあるのだと思われます。
年明けには弁才天の信仰、天台宗の信仰、荒神の信仰、神仏混交に分けて、調べていきたいと思います。
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