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「尖閣国有化一年・沖縄独立最悪のシナリオ」読売新聞2013年9月22日
今年5月、沖縄の独立を目指す民間団体が結成された。
「琉球民族独立総合研究学会」。
龍谷大の松島泰勝教授(石垣島出身)が中心となり、事務局は沖縄国際大に置かれた。
メンバーは約150人で、民主党の照屋衆院議員も名を連ねている。
設立趣意書は謳う。
「琉球は日本、米国の植民地となっている。
日本から独立し、すべての軍事基地を撤去し、平和と希望の島を自らの手で作り上げる必要がある」。
地元のマスコミは「学会」に好意的だ。
「琉球新報」は5月17日の社説で
「歴史の局面が転換した。そんな感を禁じ得ない。
沖縄の人々の幸せには、自己決定権の拡大こそが欠かせない」と書いた。
現時点で沖縄民の多くが独立を望んでいるとは言えない。
しかし日本が尖閣諸島を失えば、「沖縄独立」 が絵空事ではなくなるおそれがある。
どういうことか?。
朝日新聞元主筆の舟橋洋一氏が理事長を務める財団法人「日本再建イニシアティブ」は、今春、日本が直面するかもしれない国家的危機を考察した「日本最悪のシナリオ 9つの死角」を出版した。
尖閣問題も取り上げ、自動小銃で武装した漁民風の中国人グループが島に上陸し、居座るケースを想定。
日本政府はこれを排除できず、外交交渉に失敗し、中国人グループが島に施設を作って中国の実行支配が確立する事態を「最悪のシナリオ」として紹介した。
その上で、尖閣諸島喪失の影響をこうシミュレーションした。
「中国が西太平洋を庭にしたことで、米軍との衝突の可能性は当然高まった。
米中の板挟みになった沖縄が取った道は中立化である」。
米中の対立激化に危機感を抱いた沖縄が、日本とも距離を置くようになる・・というのだ。
同書は、尖閣の喪失は沖縄の喪失につながると警鐘を鳴らした。
ただ日本国内でこうした危機感はまだ薄い。
「尖閣問題で譲歩したって構わない」と言わんばかりの主張もまかり通っている。
6月25日、香港のテレビで「中国側から見れば日本が尖閣を盗んだと思われても仕方ない」と発言した鳩山元首相。
同日夜、東京都内の自宅前に集まった記者団に発言の論拠をとうとうと説明した。
「ポツダム宣言」に書いてあるでしょう?北海道・本州・四国・九州が固有の領土だと。日本は戦争に負けて、それが固有の領土になったんです」。
確かに「ポツダム宣言」には日本の領土を「本州・北海道・九州及び四国、ならびに我ら連合国の決定する諸小島に局限されるべし」と記している。
だが「諸小島」の範囲は具体的に明示されていない。
鳩山元首相の立場によれば、尖閣どころか沖縄すらどこの国に帰属するのか分からなくなってしまう。
尖閣の領有権を主張する中国も、「沖縄独立論」に注目している。
中国共産党機関誌「人民日報」系の「環球時報」は社説で繰り返し取り上げた。
「中国は琉球問題を歴史的に未解決の問題として指摘すべきだ。
(5月22日)
「沖縄の独立性には正統性がある。
中国側は国際法が許す範囲で後押しすべきだ。(5月16日)
日本政府はこうした中国紙の主張は明らかに、米軍がアジアの拠点とする沖縄への揺さぶりを狙ったものと見る。
そして中国の動きに神経を尖らせ、公安当局は「沖縄独立派」と中国の関係に目を光らせている。
尖閣をめぐる日中の暗闘は、沖縄をも巻き込もうとしている。
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「琉球民族独立総合研究学会」HPあります。
このような記事があったことも記憶に新しいです。
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「帰属の再議論要求・・人民日報、論文を掲載」
日本政府は、琉球藩を置いた1872年、廃藩置県で沖縄県を置いた1879年には、沖縄が日本の一部であったおとは確かだとしている(2010年6月18日政府答弁書)。
また第二次大戦後の日本の領土は「ポツダム宣言」ではなく、1952年発効の「サンフランシスコ平和条約」で法的に確定したとする。
同条約は沖縄を米国の信託統治下に置いたが、日本政府は沖縄に「潜在主権」があると主張を続けた。
沖縄は1972年に日本へ返還された。
一方中国共産党機関紙「人民日報」は今年5月8日、沖縄の領有権が中国にあると示唆する論文を掲載した。
明朝や清朝の時代に沖縄(琉球)は「中国の属国」であったが、日清戦争で日本に奪われたと主張。
日本は「ポツダム宣言」を受諾したのだから尖閣諸島とともに沖縄の帰属も改めて議論すべきだとする内容だ。
筆者は政府系研究機関・中国社会科学院の研究員だった。
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また、10月28日の「沖縄新報」に次のような記事がありました。
10月に「琉球民族独立総合研究学会」の第1回の会合があったようです。
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「自治への自覚、団結を 沖縄独立で海外識者議論」 沖縄新報2013年10月28日
沖縄の自己決定権行使に向けて、学術的に「独立」を議論する「琉球民族独立総合研究学会」の第1回研究大会シンポジウムが27日、那覇市の沖縄大学で開催され、市民ら約150人が参加した。
「グアム・台湾・パラオから考える琉球独立」を主題に、パネリスト3人が世界の「独立」に関する動きや現状について報告した。
国立東華大学講師のサキヌ・テピク氏は、台湾原住民族の「民族自覚運動」により、2005年に原住民族の基本権利の保障をうたう「原住民族基本法」が台湾立法院で制定されたことを紹介した。
同法により、先住民族が望まないリゾートホテル建設を差し止めた事例などを報告し「原住民族として自治を行うという自覚を持ち、団結することが重要だ」と訴えた。
龍谷大学の松島泰勝教授は、米国を施政国とする国連信託統治から1994年に独立を果たしたパラオ共和国の歴史と現在の状況を説明した。
「パラオは独立して以降、大きな経済的問題はなく、国家主権を行使した外交や国内政策を展開している。
人口2万人のパラオに学ぶことで、琉球も独立した国を自分たちで造ることが可能になる」と提起した。
グアム政府脱植民地化委員会のエドワード・アルバレス事務局長は「現在、世界の17地域が国連の『非自治地域リスト』に登録されている。
沖縄をリストに登録することで、植民地状態に置かれている現状を国連に注目させ、沖縄の自治権獲得を世界に訴え掛ける戦略がある」と強調した。
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以下は「日本再建イニシアティブ」HPより・「想定される最悪なシナリオ・9つの死角」
「日本再建イニシアティブ」HP
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原発事故を経て、「想定外」とされた事態が本当に起こりうることを実体験した今でも、日本では直面する可能性のある危機に対して手をこまねいていたり、漠然とした不安を持ちつつも問題を直視することを避けていたりという状況が見られます。
本プロジェクトは、日本の危機管理体制の脆弱性を検証するべく発足しました。
プロジェクトメンバーは、中堅~シニアの研究者、ジャーナリスト、弁護士、保険・銀行などの実務家合わせて20名、
自然災害やテロ、軍事衝突など9つの危機をケーススタディとして取り上げ、テーマ毎にこれまで「想定外」とされているような危機の展開をシミュレーションする「最悪のシナリオ」を設定してそれを叩き台とし、半年にわたる関係者に対するヒアリング調査を経て現在の危機管理体制の課題を提示しました。
本プロジェクトの成果として、2013年3月に報告書『日本最悪のシナリオ 9つの死角』を新潮社より刊行しました。2013年度中に英語版、2014年には韓国語版の出版も予定しています。
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沖縄が独立するのが「最悪のシナリオ」なのかどうかは、わかりません。
沖縄の方たちがどう思うかが大切だと思います。
現時点では、沖縄の方たちに独立を願う気持ちが大勢を占めているとは言えないと思います。
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