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アニメ感想:タユタマ -Kiss on my Deity-

2009年06月25日 22時26分15秒 | 2009春アニメ
監督元永慶太郎、シリーズ構成上江洲誠のコンビでは、『School Days』『あかね色に染まる坂』と18禁PCゲーム原作を手掛けている。衝撃的な内容の『School Days』はともかく、『あかね色に染まる坂』や本作は独創的な内容ではなく、高い評価を与える出来とは言いかねる。
それでも最後まで見てしまったのは、しっかりとした演出であったり、キャラクターの内面描写の確かさであったりする。

『タユタマ -Kiss on my Deity-』は、主人公の男の子の元に、神様の女の子が転がり込むというありがちなもの。主人公・裕理、たゆたいの少女・ましろ、主人公の幼馴染・アメリの三角関係を軸にストーリーは展開する。一方、封印の解かれたたゆたいの「三強」との戦いがもう一つの軸となる。
ありがちな内容を、一定の水準まで引き上げたのはやはり演出の力だ。凝った演出ではないが、分かりやすさと、何より作品のポイントを絞り込むことで芯の通ったストーリーにまとめ上げた。キャラクターの内面もシンプルだが丁寧に描いている。
全体にひねりはなく、秀作とは呼べないものだが、作り手の意志は感じられる作りになっている。

11話でのましろとアメリのやり取りは、見ているときは演出として弱いように感じられた。だが、最後まで見るとそれで十分だったようにも感じられる。カタルシスを狙った演出ではないので、インパクトには欠けるが、人とたゆたいが心を通わせるというテーマを丹念に描いたと言えるだろう。
最終話が単純なハッピーエンドでない点も、作り手の真摯さの表れと受け取った。残念ながら全体的な厚みのなさはいかんともしがたく、感動的なシーンも薄さが感じられてしまったが、物理的にこれが精一杯ということだろう。

佳作と呼べるかどうかも怪しいところだが、こういう作りは嫌いではない。制約の中であれもこれもと欲張ってもうまくはいかないだろう。削ぎ落とすことで作品の精度を高めるのも一つの道だ。作り手の狙いが伝わるだけの出来になっているのは確かで、その意味では成功と呼んでも差し支えないだろう。

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