奇想庵@goo

Sports, Games, News and Entertainments

第43回スーパーボウルプレビュー

2009年02月01日 23時58分00秒 | アメリカンフットボール
いよいよ日本時間の明日朝スーパーボウルが開催される。アメリカにおける最大のスポーツイベントであり、一種の祭典ではあるが、やはり興味は勝敗の行方に他ならない。

2008年シーズンは、強いディフェンスと徹底したボールコントロールオフェンスを擁したチームが躍進した点で強い印象を残すシーズンとなった。もともとフットボールでは勝利をもたらすものは強いディフェンスであり、そのディフェンスを助けるためのボールコントロールオフェンスは見た目は地味でも勝利のために必要なものとされている。今シーズンのトレンドは原点回帰と言えなくもない。
NFCでは、カロライナを筆頭に、アトランタ、NYジャイアンツ、ミネソタ、シカゴがこのスタイルで好成績を残した。ジャイアンツは昨年優勝した時よりもはるかにグラウンドアタックに重きを置くようになった。アトランタはRBターナーの加入、シカゴもルーキーRBフォルテの活躍がチームの原動力となった。
AFCでは、テネシー、ボルチモア、マイアミがこのスタイルで成功を遂げた。特にマイアミはワイルドキャットフォーメーションの多用という斬新なスタイルも持ち込んでドアマットチームから地区優勝に躍り出る大躍進となった。本来このスタイルだったジャクソンヴィルはOLに怪我人が相次いだためにシステムが崩壊してしまったが。
これらのチームは接戦には強みを発揮できるが、キャッチアップが必要になると辛くなる。リスクの低い攻撃を行うが、それでもミスは発生する可能性があり、ミスが起きると建て直ししにくいという特徴もある。上述したチームのうちプレイオフに出場したチームは全て、自らのミスを契機に敗退してしまった。プレイオフという舞台では、単純なボールコントロールオフェンスでは勝ち切れないということが証明されたとも言える。

3年前のスーパーボウルに勝利したピッツバーグは当時RBパーカーやRBベティスのランを軸とした徹底したボールコントロールオフェンスのチームだった。守備は伝統的に非常に強く、このスタイルにマッチしていた。しかし、その後QBロスリスバーガーのパスを生かすべくオフェンスのスタイルを変えている。プレイオフでもサンディエゴ戦ではランが有効だったが、ランが機能しなかったボルティモア戦でもなんとか攻撃の形は作れた。今シーズン、エースRBのパーカーが負傷がちだったにもかかわらずAFC2位の成績を残したのもラン頼みのチームから脱皮できたからだ。ただ、ロスリスバーガー中心のパスオフェンスが有力かと言うとまだそこまでは言えないだろう。ロスリスバーガーは器用だが安定感に欠ける。レシーバー陣もエースのワードこそ素晴らしいが他は一流とまでは言えない。ディフェンスの力とホームフィールドアドバンテージがプレイオフでの勝因だったのは間違いない。

アメリカンフットボール黎明期から存在するカージナルスだが、1947年のNFLチャンピオンシップでの勝利を最後に頂点から見放されている。当時はシカゴにチームがあり、その後セントルイスに移り、フェニックスへとやって来た。私が知るのはフェニックス時代からだが、チーム名をアリゾナと変え期待されるシーズンもあったが長くドアマットの時期が続いた。1970年に6地区制となった時にNFC東地区という激戦区に入ったことも災いした。74、75年と地区を連覇したもののその後は低迷が続き、フェニックスと名乗っていた6シーズンは全て負け越し、アリゾナ時代も勝ち越しは98年の一度のみだった。8地区制となり西地区に移ったことで俄然期待は高まったが、シーズンが始まると期待はしぼむばかりだった。
ここ数年明らかに他地区と比べてレベルの低さが目立つ西地区ということで、今シーズンの躍進もかなりフロックという目で見られた。実際他地区の強豪には歯が立たず、地区内での6勝が地区優勝の原動力だった。地区外のチームに対する勝利は、2週のマイアミ戦(マイアミがブレイクする前)、5週のバッファロー戦(試合開始早々にバッファローのQBエドワーズが脳震盪で欠場)、6週のダラス戦(QBロモを欠いた試合)である。16週のニューイングランド戦で全く成すすべなく敗れた試合を見ると、とてもプレイオフで勝ち抜けるとは予想だにしなかった。
ところがアトランタに快勝するとチームは勢いに乗り、劣勢という前評判を覆して初のスーパーボウル進出を決めた。アリゾナ低迷の原因として常にOLの弱さが指摘されていた。今シーズンもパスプロテクトがもたなくて攻撃が組み立てられない試合もあり、地区優勝したものの大きな改善があったとは思えなかった。しかし、プレイオフに入るとOL陣が健闘を見せている。稀代のパサーであるQBワーナーと現在NFLナンバーワンと言ってもいいWR陣を擁するだけにパスを投げる時間さえ与えられれば攻撃は十分機能する。リードしている時の戦い方などに不安も残すがプレイオフで力をつけたチームは強いのは確かだ。

常識的に考えれば守備力の強いピッツバーグの優位は動かない。しかし、チームの勢い、特にストーリーがあるチームは本来の力以上のものが試合で発揮される。ピッツバーグが優勝した06年のスーパーボウルも地区6位から、引退するRBベティスを故郷デトロイトのスーパーボウルに連れて行こうと燃え上がった。07年のインディアナポリスや昨年のNYジャイアンツもプレイオフに勢いを持って戦ったチームが勝ち残った。思えば2000年のスーパーボウル、ドアマットチームだったセントルイスを大躍進させたワーナーのあのシーズンも忘れられないストーリーだった。
フットボールでよく指摘されるモメンタム。勢いというものの怖さ、強さは長年フットボールを見てきたファンには決して馬鹿にできないものだと分かっているだろう。ピッツバーグの守備は強い。しかし、厳寒の地ではなく温暖なタンパベイでの試合だ。アリゾナの破壊力を果たして完璧に止め切れるのか。20点を越えるような試合展開になれば攻撃力のあるアリゾナに勝機があると見ている。ストーリーの完結に期待して28-17でアリゾナの勝利と予想しておこう。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿