奇想庵@goo

Sports, Games, News and Entertainments

勝ったときこそ冷静に―日本1-0カメルーン―

2010年06月15日 23時38分20秒 | インポート
大方のサッカーファンの予想を覆して、日本がカメルーンを破り地元以外でのワールドカップ初勝利を飾った。手のひらを返したようなマスメディアの騒ぎに浮かれることなく、勝ったときこそ冷静に試合を振り返らなければならない。

勝利の要因はある。しかし、カメルーンの出来の悪さや幸運にも助けられた勝利であることは間違いない。残念ながらサッカーの解説者などでもそうした冷静な指摘はほとんどなされていない。しかし、幸いながらオシムがいる。彼は経験豊かであり、その言葉は傾聴に値する。彼をコメンテーターとしたスカパーのスタジオコメンタリーも冷静な解説が行われた。

シュート数わずか3本という記録的な勝利だった。もちろんそれは不名誉な記録である。サッカーで日本がカメルーンに勝利したことは世界を驚かせた。しかし、それは勝敗の結果に対しての驚きであって試合の内容に対する驚きではない。各国メディアが試合内容を酷評してもそれに反論することはできない。

日本を勝利に導いたのは我慢強さである。1試合を通してあらかじめ決められた戦術に徹することは難しい。日本のみならずサッカーの成長途上の国々においてそれは困難な課題となっている。日本もこれまで徹することができなかった。だが、カメルーン戦ではかなりの時間我慢強く戦うことが出来た。終盤、ディフェンスラインが下がりすぎて危険な場面を再三迎えてしまったが。

一方で、この試合でも発揮できなかったのがしたたかさである。したたかさとは簡単に言えば相手の嫌がることをやるということだ。相手の嫌がることは局面局面で変化する。それを読み取り、チームとしてそれを実行する力、それは経験と呼ばれるものだ。日本は1点先取後は守り一辺倒になり、攻撃の仕掛けが減ってしまった。それによりカメルーンの攻撃を招く結果となった。

カメルーンは個人技に頼り、組織としての攻撃を発揮できなかった。守備を重視した日本がそう仕向けたという面はある。だが、それはカメルーンの弱さ、アフリカ勢の弱さでもある。オランダやデンマークに同じことをしても狙い通りにはいかない可能性が高い。
日本は技術の低さを運動量でカバーしている。それだけに終了間際スタミナが落ちてくると危険になる。カメルーン戦でもそれははっきりと出た。アジアでの戦いであればスタミナで相手を上回れるが、世界では立場が逆転してしまう。分かっていることではあったが改善できずにいる。それだけに急に修正できるものではないが、運に任せるのではなくなんらかの対策を取って欲しいところだ。

オランダ戦の戦い方も考えどころである。オランダに勝利、あるいは引き分けにもちこめれば最高の結果だろう。だが、実力差は相当開いている。グループリーグ突破を最優先に考えるのであれば、オランダ戦を捨ててデンマーク戦に全力で挑むという選択肢もある。最悪なのはオランダ戦で消耗し、デンマーク戦にベストを出せない展開だ。
もちろん全ての試合に全力で挑むという考えもある。日本はまだ成長途上であり、目先の勝利よりも経験を積むことが大切という発想も間違いではない。ワールドカップの舞台で超一流国のオランダと真剣勝負ができる機会というのは滅多に訪れるものではない。試合前にそれを明かす必要はないが、選手たちの間で意思統一し、またW杯終了後にはどういう意図で臨んだのかを明らかにするべきだろう。次に向けての検証の積み重ねこそがチームの成長に繋がるのだから。